あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

グリーンピースの行為は捜査妨害だった

2008年05月17日 20時26分22秒 | 法律問題
環境団体の「グリーンピース」が,調査捕鯨船乗員が鯨肉の一部を横領したとして東京地検に告発しましたが,その際の調査方法として,西濃運輸が保管していた荷物の一部を勝手に開けて調べたということで,今度は逆に西濃運輸が窃盗で被害届を提出しました。

宅配荷物紛失で被害届=環境団体持ち出しの鯨肉か-西濃運輸(時事通信) - goo ニュース

これが許されたら警察は令状いらない

西濃運輸が窃盗罪の被害届を出したのは,お客様から預かった荷物がなくなった以上当然の話なので,ここでは特に問題にはしません。
問題なのは,「グリーンピース」の告発です。世間では,この団体の胡散臭さが取りざたされていますが,胡散臭さを前提にすると争点がぼけるため,ここではあえて「ある人が勝手に人の荷物を開けた結果,横領の証拠が見つかった場合にどうなるか」という点に絞って説明したいと思います。
結論から言えば,これは「証拠として使えない」ということになります。人のものを勝手に開ける根拠がないからです。もし,これが許されるのであれば,警察は令状を裁判所からもらう必要がなくなります。イメージとしては,今あなたの家に警察が令状なしで「おい,ちょっとお前の部屋の中見せてもらうぞ」と乗り込んで室内を物色できるということになります。
それはどう見てもおかしいですよね。だから,憲法上の要請で他人の物を調べるためには令状が必要になっています。
警察でさえそうなのだから,一般人についてはなおさらのこと,「他人の物を無断で調べる」根拠はないのです。むしろ,他人が持っているものを勝手に調べるというのは,他人が管理保管しているものを取り出そうということにもなりますので,占有を侵害したとして「窃盗罪」になり得ます。

このように違法な行為で証拠を集めることを「違法収集証拠」といいます。そして,日本の刑事訴訟法では,このような違法収集証拠は裁判の証拠として採用されません。のみならず,違法捜査を抑制するという意味で,この違法収集証拠から派生した証拠についても「毒樹の果実」として証拠として採用されないのです。
今回のグリーンピースの行為は,担当弁護士が合法と言っていますが,西濃運輸との間に「荷物見て良いよ」という契約がない以上(そんな契約は普通はないが),違法行為となります。とすると,仮に警察が捜査をしたとしても,その段ボールやそこから派生する証拠は捜査資料に使えないと言うことになってしまうのです。あとは横領の事実として,伝票などを令状で押さえるしかありませんが,「じゃあ,なんで伝票を押さえる必要が出てきたの?」と裁判所は必ず疑問提示しますので,そこで「いやあ,実は一般人が勝手に開けた段ボールから横領のものが出てきたので,横領事実が分かったのですが,これ違法収集証拠なので使えなくなったから,別の証拠集めようと思って」と答えたら,令状は却下されます。これ認めたら,「とりあえず違法でもいいから勝手に見ちゃえ」が横行するからです。どうしても令状請求するならば,この段ボールとは全く関係のないアプローチで攻めるしかなくなります。しかも,攻めるきっかけも必要となるのです。
とすると,グリーンピースが行った行為は,「捜査協力」ではなく,「証拠隠滅行為という捜査妨害」にすぎないのです。
小さな親切のつもりかもしれませんが,捜査機関からすれば「大きなお世話どころかすべて台無しにしやがった」と思われても仕方ありません。

このように,世の中には,よかれと思ってもやって良いことと悪いことがあります。社会正義と思っても,それが実は社会悪になることがある,ということをこのグリーンピース問題から学んでください。これは,やった人が「グリーンピース」であろうと,報道目的のマスコミであろうと,信頼性の高いNPO団体であろうと同じことです。また,相手が暴力団であろうと,隣の家であろうと同じことです。
「**だから許される」という法理はありません。

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道路作れないから景気が悪いの?そりゃ違うだろう!

2008年05月14日 01時11分35秒 | 政治・選挙
予定どおり,いわゆる道路特定財源法案が衆議院で再可決し,成立しました。これにより,ガソリン税の暫定税率は再び道路特定財源となりましたが,一方で,来年度以降は一般財源化することについて閣議決定をしました。
そんななか,町村官房長官が,「できるだけスピーディーに各自治体で、道路その他の(工事の)発注ができなければ景気への悪影響が懸念される」と、早期の予算執行が必要との認識を示したようです。

景気への悪影響回避のため、早期の道路工事発注を=官房長官(ロイター) - goo ニュース

道路作れば景気が良くなる?

町村氏の認識が,今の自民党の認識と考えて良いでしょう。しかしながら,この見解,土建屋との癒着云々以前に,論理矛盾のオンパレードです。
まず,ちょっと前までは「景気がよくなったから所得税減税は廃止するね」といっておきながら,ここへ来て「道路作らないと景気が悪くなる」と言ってみたり,「ガソリン税の暫定税率取らなければ道路整備ができず,結果福祉教育に支障を来す」といいながら,一方で「とにかく道路整備だ」と言ってみたりなどなど,なんか「場当たり的な発言」としか思えないものが結構あります。
そして,何よりも「道路整備という公共事業こそ,国の景気維持に重要」という旧ケインズ理論を未だに信じ切っているという姿勢に,時代錯誤を感じずにはいられません。

そもそも,今景気が悪いのは,「物価上昇率に対する賃金上昇率が悪すぎる」という点にあり,その原因は,「内需低迷,外資離散,原油高,円安ドル安債券安のトリプル安,食料高,物価高,鉄鋼等鉱石高,中国内人件費高,賃金安により内需が低迷し,日本円が海外に流出していること」によるものです。
すなわち,「公共事業で税金ばらまけばどうにかなる」という代物ではないです。そもそも,道路や箱ものの原料費から高騰しているため,土木業者の粗利は低くなり,結果従業員に対する賃金もさほど払えないため,癒着や無駄遣いの点を無視したとしても,「税金をばらまく」ことすらできないのです。

今,本当に大切なことが本当に道路整備や箱もの整備なのでしょうか。確かに地方の道路整備が遅れている面は事実です。しかし,仮に今の状態で「全国くまなく4車線高速道路」が完成したとして,果たしてこれで日本経済は右肩上がりになり,国民の生活は急上昇するでしょうか?
むしろ,今の状態で道路だけ整備したら,「地域間格差が拡がる」というオチが待っていると思います。分かりやすい例が「四国」です。四国には橋が3本架かりました。当初計画では,「これで四国の経済は本土並になる」という夢のような内容でしたが,今現状がどうなのか,またその原因が何かは四国の住民の方の方が詳しいかと思います。

とにかく,「道路作ればみんな幸せ」という時代ではありません。
まずは,「国民生活の安定」が最優先でしょう。これなくして「内需拡大」はできません。現状では誰もお金を使わないからです。前述のとおり,税金ばらまいて公共事業起こしても,金は海外に行くだけで国民にはばらまかれません。であれば,「より生活向上のための施策」を重点にするべきでしょう。
ただし,ここで注意するべきなのは,「福祉だから」「教育だから」「環境だから」という「FKK」です。これらを冠にすればお金が使いたい放題という印象にとらわれがちですが,一歩間違えると「偉大なる無駄遣い」の元凶になりかねません。冠に騙されることなく,本質で判断するべきです。
いずれにせよ,今は,「経済政策」を重視する時代なのです。
そう考えると,やはり今日の再可決は「本当に日本経済のことを考えているの?」と疑わざるを得ません。

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まずは借金の整理からでしょう

2008年05月13日 01時12分58秒 | 増税問題
平成19年度末の国の借金合計が849兆円で,去年より約15兆円増加したようです。これを国民1人あたりの借金に換算すると665万円になります。

国の借金849兆円 1人当たり665万円(共同通信) - goo ニュース

一家4人だとしたら一家で2660万円也

今日にでも特定財源10年間継続法案が再可決するという絶妙なタイミングでのこの発表は,少々政策的なものを感じずにはいられませんが,逆に言うと,「これだけ借金があるのに,まだ巨額の道路整備を行うのか?」ということにもなろうかと思います。
前述のとおり,4人家族が抱えている国の借金は,住宅ローンとほぼ同額です。住宅ローン残高が2660万円ある方は多いかと思いますが,その中で「よし,借金返しながらもう1軒家でも買うか」とか「よーし,高級外車でも買うか」と考える人がどのくらいいるでしょうか。
この例でもっと分かりやすく言うと,国民1人あたりの借金が665万円とすると,19年度の歳入が約83兆円(公債費込み)になりますので,国民1人あたりの歳入は,約65万円くらいということになります。もし,公債費を抜いた額(57兆)とすると,国民1人あたりの歳入は約45万円ということになります。
つまり,この借金の額をもっと現実的に言うと,「一家の年収900万円のサラリーマンの住宅ローン残高は1億3300万円」ということになります。これ,破産ですよね。当然,もう1軒家を買うのはもちろんのこと,軽自動車すら買えない状態でしょう。
(この辺については,去年のデータですが,財務省で発表している資料がありますので,これを参考にするとよいでしょう。)。
このサラリーマンの立場なら,「とにかく借金減らさないと」という発想になるはずです。そのためには,もちろん残業をしたり,家族がパートやバイトをするなど「収入を増やす」ことを考えるでしょうが,仮に子供が小さく,パートにもいけないし,会社も経営状態が良くなくてとても残業代も出なければ給料も上がる見込みがないとなれば,あとは「支出の抑制」を考えるしかないはずです。

国の財政はまさにこれくらい逼迫しています。こんな財政状態なのに,それでも「税金集めて道路作るぞー」と言えるでしょうか。まずは,「道路はミニマム整備にして,まずは財政再建させる。その上で,ある程度再建できて,日本の景気が良くなり,税収が増えてくれば,その時点で整備計画を考えよう」というスタンスが普通の発想ではないでしょうか。
「足らないから増税」理論は,「給料安いから給料増やせ」と社長に直談判することと同じです。闇雲に社長に直談判したらどうなるでしょうか。「お前,アホか」と言われるでしょうね。国民だって同じこと。闇雲に「増税」といったら,「お前,アホか」と言うでしょう。
借金を減らす努力がまず大切なのです。

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図書代が道路代に化けた?一般財源化の将来像も見えたかも

2008年05月10日 23時56分14秒 | 地方自治
学校図書費を充実させるために国から市町村に地方交付税交付金として交付されている図書購入費約200億円のうち,22%の約44億円が図書購入費以外の費用に充てられていることが文部科学省の調査で判明しました。その理由の9割が財政難を理由に挙げています。

学校図書費22%流用 財政難が理由、44億円(共同通信) - goo ニュース

地方交付税交付金はある意味一般財源ですから

まず毎度説明していますが,ここでもう一度おさらいします。
国から地方自治体に交付されるお金には「国庫補助金」と「地方交付税交付金」があります。前者は,使用目的が限定されており,他への流用は許されません。いわゆる道路特定財源はこの前者に該当します。一方,後者は,地方自治体間の財政不均衡を是正するために国から交付されるもので,一応それなり名目はつくものの,使用目的は厳格に規定されているものではないことから,他への流用も自由にできます。
すなわち,「補助金」はガチガチのお金,「地方交付税交付金」はフリーマネーということになります。
図書購入費は地方交付税交付金として各自治体に支払われているため,フリーマネーに属します。したがって,流用それ自体は特段問題がありません。
よって,このニュースから,単純に「なんだよ,学校の本買わないなんて,ひどいねえ」と考えないでください。一応,問題はない行為なのですから。

では,このニュースから見えてくる問題点は何でしょうか。それは「一般財源になった場合の姿」です。
すなわち,地方交付税交付金は一般財源です。前述のとおり,各自治体で自由に使えるお金です。そして,ガソリン税について,一般財源化が検討されています。これが各自治体に交付されれば,各自治体は自由に使えます。すなわち「道路以外の費用」にも使えることになり,福祉や教育が充実されると福田総理も説明しています。
ところが,現状はどうでしょうか。今回の図書購入費が他に流用されているとおり,既に一般財源になっているはずの「教育関係経費」が教育費以外に使用されているのです。もちろん,他の教育関係の経費として使われているかもしれませんが,何に流用されたかのかは未知数なので,実際には教育に無関係な道路や箱もの整備に使われている可能性が高いです。
とすれば,ガソリン税が仮に一般財源化したとしても,必ずしも道路整備はもちろんのこと,福祉や教育が充実するとは限らないのです。教育と名をうった財源ですら,教育関係に回っていないわけですから,それ以外の財源が教育に戻ってくるとは思えません。むしろ,「なんでもいいから金が降ってきた」としか思わないでしょう。
もし,ガソリン税で本当に教育や福祉を充実させるのであれば,「補助金」にすればよいのです。いわば,「教育,福祉特定財源」です。ガソリンが教育福祉に化ける論拠は私には分かりませんが,そのような立法さえすれば理論的には可能なのです。
一般財源化にすれば無駄遣いが減り,無駄な公共事業が抑制され,一方で福祉教育が充実されるような印象がありますが,現状はそうではない,っていうことが,このニュースから見えてくるのです。
政治家や官僚のリップサービスは,やはり眉唾と思っていた方が無難でしょう。
あとは,他の地方交付税交付金がどのように使用されているのか,洗い出してみると,寄り現実の姿が見えてくるでしょうね。

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防災対策は長い目で見よう

2008年05月09日 01時31分09秒 | 災害・危機管理
8日深夜に茨城県沖で発生した地震は,最大震度5弱でしてが,緊急地震速報は地震の揺れが起こってから表示されるなど,またもうまく機能しませんでした。

緊急地震速報また機能せず…「誤差の範囲内」も運用に課題(読売新聞) - goo ニュース

防災の基本は「自分で守ること」

この一件で,「緊急地震速報は無用の長物」と揶揄する声も聞こえますが,そもそも地震を少し前に探知するということ自体,研究途中であり,まだまだ地震に関しては分からないメカニズムがたくさんあります。当然,緊急地震速報だっていわば「試作品」状態ですから,わずかな失敗で全否定することなく,もう少し長い目で見守ってもよいかと思います。
もちろん,気象庁や大学教授らは,この一連で発生した問題点は十分に把握しているはずです。今後,その点を改良していくと思います。ここは,素人が口出すエリアではありません。

私たちにできること,それは「常に防災を意識しよう」ということです。今回の地震も,結果的にさほどの被害がありませんでしたが,「緊急地震速報が機能しなかったから逃げ遅れた」などと他人のせいにしないで,まずは「地震があったときに避難方法や避難場所はどこか」など,「自分で自分を守る」ということをもう一度考えてみましょう。防災の基本は,「まず自分で自分を守る」ということです。大災害になればなるほど,他人の手はあてになりません。「システムが云々」など口先だけで言っても,命の保障すらない状態になっています。
とにかく,「どうすれば我が身を守れるか。また避難時の持ち物はちゃんとしているか」を,この地震を気に確認することが一番大切です。
緊急地震速報がうまく機能するようになったとしても,あくまでも数秒前に地震が分かるだけなので,その後の避難などは結局自己責任となります。このようなシステムは「添え物」程度に考えておく方が無難でしょう。
繰り返しますが,「防災の基本は自己防衛」,この認識を忘れないようにしましょう。

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まちづくりか,街造りか

2008年05月07日 01時29分09秒 | 地方自治
この連休中に群馬県内の地方版やテレビニュースなどで問題を取り上げられている「食の駅ぐんま」の高崎店に買い物行ってきました。
何が問題になっているのかと言いますと,建物の床面積が平屋で約1000平方メートルあるところ,販売面積が50平方メートルしか認められず,その余のスペースが「休憩所」という名のデッドスペースになってしまっているのですが,その理由が「市街化調整区域の建物」ということで,行政側から開発許可が下りなかったということのようです。また,建設途中で市町村合併があり,それによって許可権者が群馬県から高崎市に変わったが,その結果許可基準が変わってしまったという事情もあるようです。
これに対し,会社側は,「もともとOK前提の計画だった。また,目的が地産地消であるため,ここで販売できないと中小農家に与えるダメージが大きい」ということから,なんとか許可がでないかということで,現在も行政側と折衝中とのことです。

地産地消の目的は良いことだけど・・

この問題,実は「噂の東京マガジン」でも取り上げられており,店内でもビデオが流れていました(詳しくはこちら)。ただ,この問題,感情論だけで行くと「行政が全面的に悪い」となりそうなのですが,一方で考えなければならないことは,「開発には都市計画法などを遵守しなければならない」というコンプライアンスです。地産地消が目的だから何でもありとしてしまうのは,「環境問題」や「福祉,教育」をうたい文句にしながら意味不明な事業を展開している国や自治体の無駄遣い行政と構造は同じです。また,食品偽装では企業のコンプライアンスを強く主張しながら,都市計画では法令は二の次というのも,何か矛盾を覚えます。
したがって,この問題は,あくまでも「地産地消問題」と「都市計画問題」は完全に切り離して検討しなければ,問題が見えてきません。
そこで,まずは都市計画問題だけにしぼって,この店の問題点を整理したいと思います。

・行政側の問題点
1 都市計画法34条の基準が許可当時不明確だった
(現在は,群馬県については許可基準要綱を作成準備中である。)。
2 群馬県と旧群馬町との間の事前協議の際,行政指導として開発可能面積を書面化しなかった。
3 市町村合併が行われた場合の都市計画許認可に関する措置が法律上不明確
(これは国の問題が大きい)
4 合併後の許可権者たる高崎市の許可基準も当時不明確だった(この問題を受けて,平成19年に要綱を作成した。)。

・会社側の問題点
1 市街化調整区域に建設場所を選んでしまった
(少し離れれば市街化区域になるエリア。予算の関係かもしれないが,結構大規模な販売店であるなら,他の店同様市街化区域を選択できなかったか。)
2 群馬県との協議結果を書面でもらわなかった(行政手続法で申請すれば役所が作成する。ただし,後に問題になるとは思わないであろうから,ここは会社からすればやむをえないかもしれない。)。
3 高崎市に対し,法的手段を講じていない(もっぱら陳情とデモ行進によっているようであるが,やはり最後は行政不服審査や行政訴訟も必要ではないか。これは決して行政との喧嘩ではない。)

その上で,私見を。
まず,現状として建物が完成していること,販売店スペースにかなりの無駄があること,建設許可が出た当時は群馬県が建設について許可をしており,その前提としてドライブインとして販売スペースまで認めていることからすれば,高崎市としては,一定の許可は特例として認めざるを得ないでしょう。特に,明確な基準が当時存在していなかった(市役所の内規だけでは明確性に欠けるとするのが現在の通説である。)以上,50平方メートル制限の法令上の根拠は乏しいといえるでしょう。
ただし,一方で「乱開発防止」という都市計画法の理念は守らなければなりません。また,今の要綱(外部公開のもの)では300平方メートルまで認める余地があること,そもそも市街化調整区域での開発許可は知事(特例市の場合は市長)の自由裁量にあることを踏まえると,1000平方メートルすべてとは言わないまでも,例えば500平方メートルまでは認めるなどするべきでしょう。いわば「痛み分け」です。また,厳密には,市長裁量による許可になるため,都市計画法34条にも反しません。
あくまでも,「作った物を壊さない」ことと「この特例は過去の行政の不備によるもので,今後は不備を整備したので特例は認めない」ということで,片目つぶるというのが,都市計画法の理念にも反しない大人の解決だと思います。

ただ,今回論点がぼけるのであえて「地産地消」の観点を外しましたが,実はこの問題,「地産地消」を掲げたが為に逆に会社と他の団体との軋轢が生じてしまったのではないか?という臭いもします。
これ以上はまだ資料がないのであまり触れませんし断言は避けますが,簡単に言えば,すぐそばに大型ショッピングセンターがあること,中心商店街が閑散として商工会がさまざま対応策を検討していること,高崎市は過去の乱開発に頭を悩ませていたこと,市町村合併を睨んでJAの組織が大きく変わったこと,地産地消といいながら会社の本社は群馬県にないこと,この会社に野菜を卸している農家は農家人口全体のごく一部にすぎないこと,群馬県は保守王国なので農家と政治家のつながりが強いことなどを踏まえると,「ある仮説」が考えられます
ただ,そこはパンドラの箱なので,ここではこれ以上突っ込みません。

話を戻しますが,都市計画をないがしろにしてはいけませんが,一方で「分かり難い基準」による都市計画はかえって町全体を混乱に招くということを今回の一件で行政サイドは十分学べたかと思います。
一方で,「**だからなんもあり」という発想は,少々考え直した方がいいでしょう。目的はもちろん大事ですが,目的を免罪符にしてしまうと,その後「悪用する連中」が出てきます。前述の環境や福祉,教育を冠にした事業の中で,本当にその目的にかなった事業がどの程度あるか,考えてみれば分かるかと思います。
地産地消の場合,理念は私も賛同できます。しかし,「地産地消だから,市街化調整区域に自由に建物が建てられる」としたら,おそらく田んぼの中にデパートが乱立するでしょう。当然,地産のものはちょっとしか売っておらず,あとはブランド物なんていうおちになりますよ。
都市計画法がある以上,それはしっかり守らなければなりません。もし,それがおかしいのであれば,都市計画法を改正することから考えるべきです。抜け道はどんな法律でも御法度です。それがコンプライアンスです。

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パンダの代償はナンダ?

2008年05月06日 22時56分53秒 | 外交・海外情報
中国の胡錦濤首席が来日し,5日間ほど日本に滞在する予定です。そして,今夜の非公式福田首相との夕食会において,パンダ2頭を貸与することを表明しました。
今後,天皇,皇后両陛下に謁見するほか,日中共同声明を発表するなどの予定になっています。

パンダ2頭貸与を表明 胡錦濤中国主席が来日(共同通信) - goo ニュース

パンダ2頭で年間2億円のレンタル代なり

中国は,ここ一番で「パンダ外交」を展開します。今回も,北京オリンピックの円滑な推進のため,懸念されるチベット問題や,餃子問題,東シナ海油田問題などを,パンダの力で「まあまあ一つよしなに」という形で日本に対応を迫るものと思います。
ただ,日本側も,パンダは1頭につき年間1億円のレンタル代(正確には研究費)を支払うため,何も及び腰になる必要はなく,はっきりとイエス,ノーを突きつければよいでしょう。特に,餃子問題については一歩も引く必要がありません。むしろ,ここで変な妥協をすれば,ますます「中国産は買わない」という消費者が日本で増えてくることが予想されるため,結果中国の日本に対する輸出量が減ることになりかねません。これは,中国にとっても損な話でしょう。
そして,何よりも,福田首相がこの日中会談をどのように対応したかということが,今後の日本の政局にも大きく影響することでしょう。
パンダ2頭で中国は何を得られるでしょうか。また,福田首相も政局面で何を得て,何を失うでしょうか。日中共に,パンダの代償が何になるのか,見物です。

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ひっそり始まったふるさと納税,でもイメージとちょっと違うかも

2008年05月05日 23時57分57秒 | 地方自治
ガソリン税の暫定税率のどさくさに完全に消えてしまいましたが,この税制関連法案のなかに「ふるさと納税制度」も含まれており,今年度からスタートしました。すでに,一部自治体にはふるさと納税の申し出があったほか,納税誘致に向けてさまざまなインセンティブを設ける自治体も出てくるなど,対応が様々です。

ふるさと納税スタート メールや情報誌、特産品贈呈も 九州自治体も過熱(西日本新聞) - goo ニュース

でも実体は納税ではなく寄付です

ふるさと納税制度ですが,この話がふって涌いてきた頃には,「住民税の一部を故郷に納税できる制度」ということで想定されていましが,首都圏の首長から「税金の流出だ」ということや,納税手続が困難であるということから,結構消極に話が進んでいるとばかり思っていました。ところが,実はガソリン税も含めた税制関連法案の中にしっかりと仕込まれていたのです。これを知っていた方はかなり少なかったのではないでしょうか。
私個人としては,ふるさと納税制度自体は賛成なのですが,ただ果たしてどこまで国民的議論がされてきたか,その点には若干疑問があります。

ところで,この制度ですが,前述のとおり「住民税の一部を故郷に納められる」と思っている方が多いかと思いますが,それは違います。
今回の制度は,簡単にいえば,「寄付控除」です。すなわち,住民税納税額の1割を限度に,自分の出身地等ゆかりのある地方自治体に対して,寄付をした場合,その寄付金額から5000円を控除した残額について,住民税から控除される(あとで還付申告をすると戻ってくる)というものなのです。つまり,単純な話,「ふるさと納税をすると5000円の負担増」ということになるのです。
とはいえ,従来,寄付控除が10万円であったことを踏まえると,故郷に錦を飾りたい人にとっては,有益的な制度であるといえるでしょう。
とはいえ,所詮「寄付金」として扱われます。「ふるさと納税」というより「ふるさと寄付」という方が正確なのかなあ,って思います。
一方で,地方自治体も,これが制度化された以上,いよいよ「ふるさと納税対策」を考える必要があるでしょう。今,いくつかの自治体では「地元の特産物をあげる」などのインセンティブを考えているようですが,やはり「ふるさとが立派になる」という大きな目的を達成させるためには,「物ではなく町の中身」で勝負するべきでしょう。
一方で,逆に現在の住民が他の市町村にふるさと納税をされないようにすることを考えることも大切です。いわば,「住民サービスの向上」です。住民サービスをおざなりにしていると,逆に「こんな町に税金払うくらいなら,故郷に寄付した方がましだ」と言われてしまい,税収減にもなりかねません。1割の税収減は町の死活問題となります。

私も,自分の故郷に対して「ふるさと納税制度」を使ってみようかどうか,今後の故郷の動向を踏まえて考えたいと思います。

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よく分かる(?)シリーズ 日本国憲法全文

2008年05月03日 20時39分59秒 | よく分かる(?)シリーズ
5月3日は憲法記念日です。各地で憲法を考える集会などが行われています。一方で,国会での再議決や,イラク派遣が憲法違反になるという高裁裁判例など,憲法に関するニュースもいろいろと出ています。
そこで,憲法記念日を踏まえて,あらためて日本国憲法について考えてみようと思います。今回は,日本国憲法の条文に何が書いてあるのか,ダイジェスト的に説明したいと思います。また,制度趣旨や背景事情なども説明します。
なお,憲法の基本的骨格については,過去の記事(こちらで過去の記事に飛べます)を参考にしていただければ幸いです。

第1章 天皇(1条~8条)
天皇が日本国の象徴であること(前文と併せて主権が国民にあるということになる),天皇が行える行為は「国事行為」という非政治的行為のみであり,それも内閣の助言と承認が必要である。

第2章 戦争の放棄(9条)
戦争や武力行使を永久に放棄し,その目的達成のため,軍隊は持たないとした。
ちなみに,の「戦争」に「自衛のための戦争」が含まれるのか,また「軍隊」に「自衛隊」が含まれるのか,これが今日も議論となっている。

第3章 国民の権利及び義務(10条~40条)
いわゆる「基本的人権」と呼ばれている部分である。
まず,基本的人権はすべての国民に認められているが,一方で「人権だからなんでもあり」という態度はよろしくなく,権利を保持するためには国民は常に努力をしなければならない。また,人権といえでも,「公共の福祉」による一定の制約が認められており,人権だからなんでもありということではない(つまり,権利の上にあぐらをかくと,その権利は抹消される危険がある。)。
基本的人権には,大きく1精神の自由,2経済の自由,3身体の自由,4平等権があげられる。
精神の自由は,主に表現の自由,宗教の自由,思想良心の自由,学問の自由がある。
経済の自由は,主に引越の自由,職業選択の自由,営業活動等の自由,財産権の確保などがある。
身体の自由は,奴隷的拘束の禁止,法律に基づかなければ刑罰を受けない,裁判権の保障などがある。


第4章 国会(41条~64条)
国会は衆議院と参議院があり,いずれも選挙で選ばれた国会議員で構成されること,国会議員には国会活動に必要な特権や報酬をもらえること,任期などが定められている。
また,国会は年1回開くこと,衆議院の議決権に優越があること,その反面衆議院は解散する場合があることが定められている。
さらに,国会の役割は法律を作ることや予算を決めること,条約の承認や首相を指名することなどであると定められている(それゆえ,国会を立法府と呼ぶ。)。
ちなみに,国会議員に特権を定めた趣旨は,戦前に議員を一気に逮捕するなどして国会の審議をないがしろにしたという反省から,国会議員が自由にかつ安心して審議ができるようにすることで民主主義を守ろうとしたものであり,国会議員が特権階級であることを定めたものではない。

第5章 内閣(65条~75条)
内閣が行政権を握っていることや,国会から指名された首相が国務大臣を自由に選び,または首にできること,大臣の半分以上は国会議員であることなど内閣の要件が定められている。また,内閣の仕事は,法律や予算の執行という行政部門であること,内閣総理大臣は,衆議院を解散することができる権限があることが定められている。
ちなみに,解散権については,国会(衆議院)から「この内閣けしからん」という内閣不信任案が出された場合の対抗手段として定められているが,不信任案がなくても自由に解散できると言われており,実際不信任案が可決されなくても解散しているのが実務である。

第6章 司法(76条~82条)
最高裁判所に憲法違反の法律を審査する権限があり,内閣や国会から横やりが入らないようにするために裁判官や裁判所の独立(司法権の独立)が定められていることで,裁判官の身分保障がされている。
これは,裁判所が「法の番人」として,民主主義による多数者が少数者に対する横暴を防ぐ為にも,時の権力者に一切左右されない組織とする必要があることから独立を認めた。

第7章 財政(83条~91条)
国の財政や税金徴収は,すべて法律によらなければならないこと,予算は毎年国会で審議する必要があること,決算は会計検査院でチェックをして,毎年国民に財政状況を報告すること,国の財産は公益目的以外には支出できないことが定められている。
これは,国の財政を国民の民主的コントロール下におくこと(国会が民主主義の結晶であるため)により,一部の権力者が勝手に支出をすることや,意味不明な財政負担を許さないという趣旨によるものである。

第8章 地方自治(92条~95条)
地方自治体は,法律の範囲内ではあるが,住民自治(地方自治体のあり方は住民が決める)と団体自治(地方自治体は,国の指図を受けることなく,各自治体の判断で仕事ができる)が認められている。具体的には,首長や議会はすべて選挙で選ぶこと,自治体の自主立法たる条例制定権を認めている。
これは,戦前は地方自治体はすべて国の管理下におかれていたが,地方の独自性を認めることで,地域住民のニーズに即した行政が行えるようにということから規定された。

第9章 改正(96条)
憲法改正のための手続を定めたものである。
衆参両議院のそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成で憲法改正の発議(憲法改正案)を行い,これを国民投票にかけて過半数の賛成で憲法改正になる。
ちなみに,国民投票については,去年ようやく国民投票法が成立したため,それに基づいて処理されることになる。

第10章 最高法規(97条~99条)
憲法が最高法規で,憲法に違反する法律は作れないこと,天皇や国会議員等の公務員は憲法を尊重する義務があることが定められている。
ちなみに,条文上は国民に憲法尊重義務が定められていないものの,一般に憲法を尊重するべき責務があるといわれている。

第11章 補則(100条~103条)
憲法施行に必要な規定であり,今は特に関係ない。

以上が憲法の概要です。これを踏まえて,さらに個別の規定やいろいろな問題点等を見てみるといかがでしょうか。きっと,「憲法と現実の乖離」が多少なりとも理解できるかもしれません。この乖離が「憲法改正」の議論の原点になります。憲法を直すのか,それとも現実を改めるのか,そこが争点になるのです。
そういう点も考えてみるいい機会もしれません。

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他でもやっているんだろうなあ,船場吉兆みたいなこと

2008年05月03日 19時15分06秒 | 災害・危機管理
船場吉兆で,客が食べ残したものを他の客に出していたことが判明しました。既に,大阪府警もこの事実について把握しているとのことです。

船場吉兆 食べ残し、別の客に 刺し身やアユ塩焼き(産経新聞) - goo ニュース

吉兆の料理を食べ残す?

この問題のそもそも論以前に,私が気になったのは,「吉兆で食事を残す人がいるの?」という貧乏人的発想です。私にはとうてい考えられないことだと思います。あんな高級料亭で出された料理に箸を付けない人がいるということが驚きです。私なら,「何があっても全部食べてやろう」と躍起になって食べるでしょう。もっとも,そんな人はそもそも高級料亭には行かないのでしょうが(^_^;)。

それはさておき,この問題,船場吉兆の経営体質に問題があったことは言うまでもありません。ただ,次に考えなければならないことは,「ほかの飲食店でも同様のことをやっているのではないか?」ということです。
事実,私の友人が十数年前に某ファミレスでバイトをしていたとき,客が残したブロッコリーなどを洗って次の客に出していたらしく,その話を聞いてから,ファミレスではブロッコリーなど付け合わせに箸を付けられなくなりました。
今はどうか分かりませんが,食品の使い回しって案外飲食店では普通に行われているのではないでしょうか。
もちろん,9割以上の飲食店が「まっとうな商売」をしていることは言うまでもありません。しかし,いつものとおり「次々と発覚」なんていうことになるかもしれません。
身に覚えがある飲食店の方,今の内にちゃんとしておいた方がいいですよ。

ちなみに,この問題が出たとき,一方で問題となるのは「残飯を捨てるのはもったいないし,地球に優しくない」という点です。
確かにそうだと思います。だからこそ,船場吉兆は,食べ残しを「客」ではなく「まかない飯」として社員に出せば問題なかったのではないでしょうか。もちろん,事情を分かっている希望者についてのみですが。そうすれば,地球にも優しいし,経営にも優しかったはずです。

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