あれは,あれで良いのかなPART2

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図書代が道路代に化けた?一般財源化の将来像も見えたかも

2008年05月10日 23時56分14秒 | 地方自治
学校図書費を充実させるために国から市町村に地方交付税交付金として交付されている図書購入費約200億円のうち,22%の約44億円が図書購入費以外の費用に充てられていることが文部科学省の調査で判明しました。その理由の9割が財政難を理由に挙げています。

学校図書費22%流用 財政難が理由、44億円(共同通信) - goo ニュース

地方交付税交付金はある意味一般財源ですから

まず毎度説明していますが,ここでもう一度おさらいします。
国から地方自治体に交付されるお金には「国庫補助金」と「地方交付税交付金」があります。前者は,使用目的が限定されており,他への流用は許されません。いわゆる道路特定財源はこの前者に該当します。一方,後者は,地方自治体間の財政不均衡を是正するために国から交付されるもので,一応それなり名目はつくものの,使用目的は厳格に規定されているものではないことから,他への流用も自由にできます。
すなわち,「補助金」はガチガチのお金,「地方交付税交付金」はフリーマネーということになります。
図書購入費は地方交付税交付金として各自治体に支払われているため,フリーマネーに属します。したがって,流用それ自体は特段問題がありません。
よって,このニュースから,単純に「なんだよ,学校の本買わないなんて,ひどいねえ」と考えないでください。一応,問題はない行為なのですから。

では,このニュースから見えてくる問題点は何でしょうか。それは「一般財源になった場合の姿」です。
すなわち,地方交付税交付金は一般財源です。前述のとおり,各自治体で自由に使えるお金です。そして,ガソリン税について,一般財源化が検討されています。これが各自治体に交付されれば,各自治体は自由に使えます。すなわち「道路以外の費用」にも使えることになり,福祉や教育が充実されると福田総理も説明しています。
ところが,現状はどうでしょうか。今回の図書購入費が他に流用されているとおり,既に一般財源になっているはずの「教育関係経費」が教育費以外に使用されているのです。もちろん,他の教育関係の経費として使われているかもしれませんが,何に流用されたかのかは未知数なので,実際には教育に無関係な道路や箱もの整備に使われている可能性が高いです。
とすれば,ガソリン税が仮に一般財源化したとしても,必ずしも道路整備はもちろんのこと,福祉や教育が充実するとは限らないのです。教育と名をうった財源ですら,教育関係に回っていないわけですから,それ以外の財源が教育に戻ってくるとは思えません。むしろ,「なんでもいいから金が降ってきた」としか思わないでしょう。
もし,ガソリン税で本当に教育や福祉を充実させるのであれば,「補助金」にすればよいのです。いわば,「教育,福祉特定財源」です。ガソリンが教育福祉に化ける論拠は私には分かりませんが,そのような立法さえすれば理論的には可能なのです。
一般財源化にすれば無駄遣いが減り,無駄な公共事業が抑制され,一方で福祉教育が充実されるような印象がありますが,現状はそうではない,っていうことが,このニュースから見えてくるのです。
政治家や官僚のリップサービスは,やはり眉唾と思っていた方が無難でしょう。
あとは,他の地方交付税交付金がどのように使用されているのか,洗い出してみると,寄り現実の姿が見えてくるでしょうね。

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