あれは,あれで良いのかなPART2

世の中の様々なニュースをばっさり斬ってみます。
ブログ界の「おか上彰」を目指し、サボりながらも頑張ります!

岩国市長は空母移転容認派の福田氏が当選,されど民意は・・

2008年02月11日 03時18分53秒 | 地方自治
米軍基地再編に伴い,アメリカ空母艦載機部隊が厚木基地から岩国基地に移転することの是非が中心争点となった岩国市長選挙は,僅差の結果,部隊移転容認派で新人の福田良彦氏が現職の井原勝介氏を下し,当選しました。投票率は,76.26%と前回の65.09%を大きく上回り,市民の関心の高さが伺われた選挙となりました。

岩国市長に福田氏=米艦載機移転を容認-国と条件交渉へ・山口 (時事通信) - goo ニュース

部隊移転自体を容認したともいいきれない

今回の選挙は,簡単に言うと,井原前市長が,空母艦隊の受け入れを拒絶したとこと,国からの交付金がカットされたため,市庁舎建設の資金繰りに困り,やむなく合併特例債を歳入としようとしたところ,議会からそれを3回に渡り否決されたことから,民意を問うとして辞職再選挙となったものです。
そして,今回は,投票率も高くなり,かつ容認派の福田氏が当選したということで,民意は「空母艦隊移転大賛成」ととらえられている節もあります。

しかし,そうとも言いきれない点があります。
まず,2年前の艦載機部隊移転の是非を問う住民投票においては,実に87%の住民が「NO」と表明していました。したがって,この2年で急激に住民意識が変わったとは言いがたく,住民の本音は今でも基本的に「移転はいやだ」と考えているものと思われます。
現に,投票結果を見ても,福田氏が47081票,井原氏が45299票とほぼ互角であり,少なくとも現状では「低く見積もっても半数の住民は依然として反対」と考えても良いでしょう。
したがって,福田氏も自身で指摘しているとおり,「安易な迎合はしない」という姿勢が絶対条件であろうと思われます。ここの処置を誤ると,市民からのリコールが簡単に起こります(3分の1以上の反対派がいるため。)。あくまでも,「もう民意を得た」という姿勢ではなく,「市民の理解を得る」ことを第一に移転について慎重に検討することが大切でしょう。
もちろん,岩国市の問題は基地移転だけではありません。さまざまな問題に対しても,若さと国会議員としての実力をフルに発揮して,活気ある岩国市になるよう全力を尽くして欲しいと思います。

一方で,井原氏の敗因はどこにあったでしょうか。やはり,「議会とのねじれ」が大きかったと言えます。議会も民意を反映している組織である以上,議会との調和を図る必要性もあったのではないでしょうか。もちろん,先の住民投票をベースにした場合,民意がどの程度反映された議会であるのかは微妙なところではありますが,少なくとも住民代表である以上,やはり意見は尊重するべきだったのかもしれません。
また,兵糧責めがやはり痛手だったと思います。これにより,市民の一部は「やはり国にけんかするとろくな目に遭わない」と判断して,基地移転賛成に回った方もいたと思います。その差が最後の微妙な接戦の数字に出たものと思われます。
あとは,公明党を味方に呼べなかった点が大きいでしょうか。

いずれにせよ,岩国市は新たなサイが振られました。福田新市長は自分でも言っているとおり,「反対派の意見を尊重する」姿勢を忘れずに,国や自民党に迎合することなく,
市民目線でこの基地問題をしっかりと解決し,岩国市民が安心して楽しく生活できるよう全力を尽くしてほしいものです。


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おいしい道路工事の話(第5章:景気対策の工事)(裏街道)

2008年02月11日 02時35分21秒 | おいしい道路
いよいよ裏街道に入ります。

第2 公共事業を増やす本当の理由(裏街道)
 1 破綻したケインズ理論

   「景気が悪いから公共事業」といえば,それだけで議会もスルーパスで事業予算が付く傾向にあります。
   しかし,果たしてケインズ理論は本当に景気浮揚策の万能薬でしょうか。
   実は,経済学者の中から「ケインズ理論はもはや通用しない」という見解が出始めています。
   その理由はいろいろあるので詳細は省略しますが,簡単に言えば「市場に注入できるお金には限界がある」ことと,「借金は数年ですべて返済できる前提の理論である」こと,「雇用は維持されて失業者減少が継続することが前提にある」などといわれています。
   ケインズ理論の真偽についてはここではテーマ違いなのであえて突っ込みませんが,少なくとも言えること,それは「なんでもかんでも公共事業をやれば景気が良くなる」という考え方はもはや過去の遺物であるということです。

 2 不景気にお金がほしいのは業者の方
   では,実際不景気の時に一番困っているのはどこでしょうか。これは紛れもなく業者です。公共事業以外の投資が冷え込む以上,特に建築土木関係は大幅に受注が減りますので,会社の資金繰りが苦しくなります。
   するとどこからお金をもらうかといえば,「税金」しかないのです。
   また,「夢のキャッシュバックシステム」により,業者の資金繰りが苦しくなれば,議員らの取り分も当然減り,自分達の資金繰りも困ってしまいます。だからこそ,「景気対策」を冠にして公共事業を増やすのです。そうして,税金から資金を得るのです。
   彼らが臨むことは,「日本経済の回復」ではなく,「自分経済の回復」に過ぎないのです。

 3 地元企業保護政策の功罪
   地方自治体の事業の場合は,景気対策にプラスして「地元企業の振興」がありますが,これが本当に地元企業振興ということで地域の活性化になるのでしょうか。
   結論から言えば,これこそまさに今までの「夢のキャッシュバックシステム」を寄り強く押し進めるための方便にすぎません。言うなれば,「役所公認談合」なのです。
   なぜでしょうか。理由は単純で,「一部の企業しか儲からない」,「一部の業種しか儲からない」ということと,「実際に税金として戻ってくるお金はほとんどなく,むしろ流出するだけ」だからです。
   地元企業振興であれば,ある程度くまなく事業を行うべきであるところ,実際は建築土木関係に限られてしまいます。のみならず,先に説明した入札制度(しかも地元振興目的の場合は指名入札になる)ため,完全に「息のかかった業者」しか事業に参加できないのです。当然儲かるのはその企業だけ。さらに,その企業が儲かった位で町全体の景気を良くすることは無理です。なぜなら,その企業が払うお金の大半は「人件費」と「材料費」であるところ,労働者が全員同じ町に在住しているわけではなく,また材料も町内だけですべて調達することは難しいからです。つまり,お金は「流出」するだけなのです。
   事業税についても,確かに町に戻る部分もありますが,割合としては僅かです。少なくとも「実質安い」と豪語するほどの納税額にはならないのです。
   以上のように,地域振興策としての地元企業保護政策は,実際は「首長を応援すれば儲かるよ」というアドバルーンと反対派に対する脅し材料に過ぎないのです。

 4 孫請け企業の悲惨さ
   一方で,孫請け企業たる小さな会社や個人経営の場合はどうでしょうか。逆に,これはかなり悲惨です。簡単に言えば,「親会社のパシリ」になってしまい,しかもそれを断れない構造になっているのです。
   まず,以前説明したとおり「ピンハネ」があるため,会社の儲けはほとんどありません。しかし,「もっとお金をくれ」と下請け企業や大手企業に言おうものなら,「もう仕事あげない」の一言で終わってしまいます。その瞬間,会社は倒産です。
   「え,他の仕事探せば」と言うのは簡単ですが,実はそれもできない事情があります。続にいう「爆弾手形」を振り出しているからです。ここの構造を説明するのは難しいので,ごく簡単に言えば,「期限までにキャッシュを銀行に払わないと手形が不渡りになり倒産」という手形を下請け企業等に振り出しているのです。いわば「手形を人質」にされているため,何も言えないのです。ひどい事例としては,「金額白地手形」まで振り出させることもあるようです。これは「無制限保証」をしたようなものです。
   したがって,安いお金で働くだけではなく,親会社の言いなりにいろいろと活動せざるを得ないのです。もちろん,親会社の支持している首長や議員がこけると,自分達の生活も一気に破綻してしまうため,必要に迫られて選挙の時の桃太郎の動員に応じるなどして,実質的実働部隊を買って出るのです。
   それだけやっても,いざとなればトカゲのしっぽ切りの対象になるだけです。
   このような「負のスパイラル」を抱えている以上,この部分を何とか救済してもっと自由な経済活動を確保する道を考えない限り,この大きな裏街道はなくならないのです。

第3 本日のまとめ
   ケインズ理論を理由に公共事業を増やしますが,実際は景気対策としての効果は薄く,結局は自分達だけが儲かるための構造になっているに過ぎません。
   景気対策事業という冠を付けた場合,果たして本当にそれで景気が良くなるのか,客観的な資料に基づいて具体的な説明を議会等に行い,議会もそれを真剣に吟味するという態勢が求められます。
   同様に,地元企業振興策についても,それによる経済効果がどの程度あるのか,ある程度まんべんなく振興することができるのかなどについてしっかり説明する必要があります。
   「景気対策」の言葉にだまされてはいけません。
あくまでもつりです。
   一方で,セーフティーネットとして,中小企業の「より自由な活動」を支援できるため施策(例えば低利融資や小規模事業の入札など)を検討する必要もあります。

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おいしい道路工事の話(第5章:景気対策の工事)(表街道)

2008年02月11日 02時17分13秒 | おいしい道路
 道路工事を行う際の理由としてよく取り上げられる言い分として,「景気対策」があげられます。
 これは,「不景気の際は公共事業を行うことで景気が良くなる」というケインズ理論をベースにしており,実際この手法で景気を良くしたというのは世界中のどこの国でも起こっています。
 しかし,これがために逆に「本当に景気が良くなるの」という疑問や,景気対策という一言で無謀な公共事業が進められているという現状も指摘されています。
 そこで,今回は,景気対策という観点で無駄な道路工事が発生している実情について説明していきます。

第1 景気対策と公共事業の関係(表街道)
 1 基本はケインズ理論

   まず,なぜ景気対策に公共事業がよいかを簡単に説明します。
   これは経済学者のケインズが唱えた見解で,ものすごくおおざっぱに言うと,「不景気の時は市場でお金が回っていないし,失業者も多い。だから,巨額の公共事業を興すことで,多額の資金を市場にばらまくことができる。また,公共事業によりたくさんの労働者が必要となるため,失業者も減る。だから景気が良くなる。」というものです。
   実際,1929年の世界恐慌の際,アメリカはニューディール政策により巨大ダム建設などを行い,結果恐慌の波を逃れたとされています。
   その後,修正ケインズ理論などいろいろな見解が出ていますが,今日では基本的な経済政策はケインズ理論に基づいているのです。

 2 景気浮揚策としての公共事業
   日本でも例外ではなく,ケインズ理論が取り入れられています。そこで,景気対策として公共事業を増やすということが行われています。
   実際,バブル崩壊後の不況期には,あえて公共事業を増やし,時には事業計画を前倒ししてまでも,たくさんの公共事業を実施しました。
   また,地方自治体の事業の場合は,景気対策だけではなく,「地元企業の保護と振興」という名目の元で,大企業が入らない中規模な事業を多数行います。これは,単に企業が儲かるというメリットだけではなく,「払ったお金の一部が法人事業税などで地方自治体に戻ってくる」ということで,トータルでは地元以外の企業に受注するよりもお得であるという発想も含まれています。

裏街道は次回へ

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