『女郎蜘蛛』創元推理文庫 2014/5/22

”Black Widow” (1952年刊)
パトリック・クウェンティン(著)、白須 清美(翻訳)
内容紹介
ふと知り合った脚本家志望の娘がピーターのアパートメントで首を吊っていた。不貞を疑われ、つ
いには殺人の容疑者になって人生最大の危機に陥るピーター。パズルシリーズ続編。
内容(「BOOK」データベースより)
愛妻アイリスが母親に付き添ってジャマイカへ発った日、ピーター・ダルースはナニー・オードウェ
イと知り合った。パーティーで所在なげにしていた二十歳の娘は作家修業中だという。ピーターは父
親めいた親切心を発揮して執筆の便宜を図ってやる。やがて待ちに待ったアイリスの帰国、喜び勇ん
で迎えに行くピーターは、とてつもない災難に見舞われることを知る由もないのだった…。
何の前情報も持たず、何気なく手に取った作品ですのでパトリック・クウェンティン初読みです。
そんな訳で後書きを読んで初めて知ったのですが、
パトリック・クウェンティンとはリチャード・ウィルスン・ウェッブとヒュー・キャリンガム・ウィー
ラーの共作ペンネームである。
又、この作品の登場人物であるピーターとアイリスが活躍するシリーズの8作目にあたり、しかも最終
作品だとの事。
あれ~シリーズ最終作から読んじゃいましたわ。
そして、この作品は1962年に翻訳刊行されていたものの新訳本になるそうです。
主な登場人物は、
演劇プロデューサーであるピーター・ダルース
ピーターの妻で女優のアイリス・ダルース
作家志望のナニー・オードウェイ
ピーター夫妻の上階に住む女優ロッティー・マローン
ロッティーの夫 ブライアン・マレン
殺人課の警部補 トラント
その他
因みに、
原題は”Black Widow”で、これは「黒後家蜘蛛」、日本語タイトルの「女郎蜘蛛」は英語で”Silk
Spider”或は”Garden web spider”なので、微妙に異なるんですが、本作の内容には「女郎蜘蛛」
のイメージが合っている様に感じました。
愛妻のアイリスが母親の病後静養に付き添いジャマイカに旅行で留守中。 ロッティーのパー
ティーで作家志望の若い女性ナニー・オードウェイに出会ったピーター。
美人でも魅力的でもないナニーだが恵まれない状況の中で健気に夢を追っている姿に同情心を
憶えたピーターは食事に誘ったり、挙句の果てに 執筆に専念出来る様にと自分が留守の間部屋
を使ってよいと鍵を貸す事に。
アイリスが留守のピーターを心配し何かと世話を焼きたがる小うるさいロッティー、そしてその
ロッティーの小間使いの様な若い夫ブライアン。
2週間後、待ちに待っていたアイリスが帰国することになり、空港に迎えに行ったピーターがアイ
リスと自宅に戻ると、寝室のシャンデリアに首を括って死んでいるナニーを発見する事になる。
彼女を自殺に追い込んだのではないかとスキャンダルに巻き込まれるピーター、又妻のアイリスも
ピーターへの愛情と疑念の間で翻弄される。
やがて、警察の調べでナニーが妊娠していた事も判明し、他の色々な手がかりから 他殺の可能
性もありと、ピーターは警察からも疑われることに。
蜘蛛の巣に取り込まれた餌の様にもがけばもがく程窮地に追い込まれ、次第に状況が悪化する中、
自身で真相解明に奔走するピーター。
そんな中、次第にナニーの実像が浮かび上がってくる。
登場人物も多くなく、女性陣のキャラクターがそれぞれ濃い、そして、あまり表立って活躍して
いない様にも見えるトラント警部補もミステリアスな雰囲気を出している。
途中、犯人の見当は付いてしまうが、終盤畳みかける様な展開、二転三転して最後に明らかにな
る真相。
ナニーの人物描写の鮮やかさ、サスペンスに富む展開等60年以上前の作品とは言え少しも古臭
さを感じさせません。
そして、各シーンが鮮やかに目に浮かぶ様な描写は 映像化されればより素晴らしいい作品に
なるのではないかと感じさせられます。
何となくヒッチコックの映画を思い浮かべました。
これを機会に遡って他作品も読んでみようと思っているところです。
因みに、
表紙はロッティーのパーティーのシーン。
赤いドレスを着て1人窓際に座る女性がナニーですね。

”Black Widow” (1952年刊)
パトリック・クウェンティン(著)、白須 清美(翻訳)
内容紹介
ふと知り合った脚本家志望の娘がピーターのアパートメントで首を吊っていた。不貞を疑われ、つ
いには殺人の容疑者になって人生最大の危機に陥るピーター。パズルシリーズ続編。
内容(「BOOK」データベースより)
愛妻アイリスが母親に付き添ってジャマイカへ発った日、ピーター・ダルースはナニー・オードウェ
イと知り合った。パーティーで所在なげにしていた二十歳の娘は作家修業中だという。ピーターは父
親めいた親切心を発揮して執筆の便宜を図ってやる。やがて待ちに待ったアイリスの帰国、喜び勇ん
で迎えに行くピーターは、とてつもない災難に見舞われることを知る由もないのだった…。
何の前情報も持たず、何気なく手に取った作品ですのでパトリック・クウェンティン初読みです。
そんな訳で後書きを読んで初めて知ったのですが、
パトリック・クウェンティンとはリチャード・ウィルスン・ウェッブとヒュー・キャリンガム・ウィー
ラーの共作ペンネームである。
又、この作品の登場人物であるピーターとアイリスが活躍するシリーズの8作目にあたり、しかも最終
作品だとの事。
あれ~シリーズ最終作から読んじゃいましたわ。
そして、この作品は1962年に翻訳刊行されていたものの新訳本になるそうです。
主な登場人物は、
演劇プロデューサーであるピーター・ダルース
ピーターの妻で女優のアイリス・ダルース
作家志望のナニー・オードウェイ
ピーター夫妻の上階に住む女優ロッティー・マローン
ロッティーの夫 ブライアン・マレン
殺人課の警部補 トラント
その他
因みに、
原題は”Black Widow”で、これは「黒後家蜘蛛」、日本語タイトルの「女郎蜘蛛」は英語で”Silk
Spider”或は”Garden web spider”なので、微妙に異なるんですが、本作の内容には「女郎蜘蛛」
のイメージが合っている様に感じました。
愛妻のアイリスが母親の病後静養に付き添いジャマイカに旅行で留守中。 ロッティーのパー
ティーで作家志望の若い女性ナニー・オードウェイに出会ったピーター。
美人でも魅力的でもないナニーだが恵まれない状況の中で健気に夢を追っている姿に同情心を
憶えたピーターは食事に誘ったり、挙句の果てに 執筆に専念出来る様にと自分が留守の間部屋
を使ってよいと鍵を貸す事に。
アイリスが留守のピーターを心配し何かと世話を焼きたがる小うるさいロッティー、そしてその
ロッティーの小間使いの様な若い夫ブライアン。
2週間後、待ちに待っていたアイリスが帰国することになり、空港に迎えに行ったピーターがアイ
リスと自宅に戻ると、寝室のシャンデリアに首を括って死んでいるナニーを発見する事になる。
彼女を自殺に追い込んだのではないかとスキャンダルに巻き込まれるピーター、又妻のアイリスも
ピーターへの愛情と疑念の間で翻弄される。
やがて、警察の調べでナニーが妊娠していた事も判明し、他の色々な手がかりから 他殺の可能
性もありと、ピーターは警察からも疑われることに。
蜘蛛の巣に取り込まれた餌の様にもがけばもがく程窮地に追い込まれ、次第に状況が悪化する中、
自身で真相解明に奔走するピーター。
そんな中、次第にナニーの実像が浮かび上がってくる。
登場人物も多くなく、女性陣のキャラクターがそれぞれ濃い、そして、あまり表立って活躍して
いない様にも見えるトラント警部補もミステリアスな雰囲気を出している。
途中、犯人の見当は付いてしまうが、終盤畳みかける様な展開、二転三転して最後に明らかにな
る真相。
ナニーの人物描写の鮮やかさ、サスペンスに富む展開等60年以上前の作品とは言え少しも古臭
さを感じさせません。
そして、各シーンが鮮やかに目に浮かぶ様な描写は 映像化されればより素晴らしいい作品に
なるのではないかと感じさせられます。
何となくヒッチコックの映画を思い浮かべました。
これを機会に遡って他作品も読んでみようと思っているところです。
因みに、
表紙はロッティーのパーティーのシーン。
赤いドレスを着て1人窓際に座る女性がナニーですね。