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The Game is Afoot

ミステリ関連を中心に 海外ドラマ、映画、小説等々思いつくまま書いています。

『ブラック・ベルベット』を読んでトルコを想う

2015-11-04 | ブックレヴュー&情報
― 『ブラック・ベルベット』を読んでトルコを想う ―


ブラック・ベルベット
恩田 陸著 (双葉社 刊)

久々の恩田作品楽しみにしていた新作が出るとの事で直ぐに手に取りました。
「MAZE」 、「クレオパトラの夢」 に続く 外資系製薬会社に身を置く凄腕ウィルス
ハンター神原恵弥(めぐみ)シリーズ3冊目。
表紙表『スルタン・アフメット・ジャミイ』、裏表紙『カッパドキア』

主人公の榊原恵弥は中肉中背、引き締まった筋肉、短く刈り上げた漆黒の髪に浅黒い肌、
端正な顔立ちで『悪目立ち』すると言われる外見を持ちながら、女系家族の中で育った為、
女性言葉で話すと言う意外性を持つが 一方 クールでタフな内面を持つ。
又見たものを写真の様に記憶する事が出来ると言う特殊な才能を持つ等非常に面白い
キャラクターです。
双子の妹(和美 かずみ)がいる。

今回のストーリーは、
仕事でトルコを訪れる事になった恵弥はトルコ入国後消息を絶った日本人女性科学者
アキコ・スタンバーグの行方を探すよう依頼される。
正体不明の”アンタレス”と呼ばれる人物に導かれるままに イスタンブール在住の
高校時代の友人と共にトルコ内の各地をまわりながら『全身に黒い苔の生えた死体』の
噂の正体を探る。

アキコ・スタンバーグと黒い苔の生えた死体の二つを結びつけるものは何か。
ブラック・ベルベットとは何を意味するのか?
アンタレスとは何者か?
意外な結末が待ち受けています。

この作品でも又「赤毛連盟」が引用されている場面もあり→嬉しい


今回の作品は、ストーリーもさることながら 個人的にはトルコが舞台であった事が嬉しい。
仕事の関係で何度か訪れたトルコの各地の描写が懐かしく その都度その場所が鮮やかに
蘇ります。久し振りにトルコの情景を思い出しました。
街の雰囲気、人々の日々の生活、食べ物、又有名観光ポイントが丁寧に描かれているので、
ミステリー+観光案内の雰囲気もあり(一粒で二度美味しい!)トルコ好きのワタクシは何
とも嬉しく思い出と共に楽しませて頂きました。

イスタンブール(アヤソフィア、トプカプ宮殿等を含む)、アンカラ、 カッパドキア、
塩湖でのチェイス、エフェソスの遺跡(エフェス)、パムッカレ等、イスタンブールから
アンカラまでの夜行列車の雰囲気等 かなり詳しい情報を持っていると自認する私が読ん
でも(自慢か? いえ、仕事でしたから・・・→言い訳)筆者が自ら現地で詳しいリサーチ
をなさった事が伺えます。


↑ イスタンブールにあるアヤソフィア寺院。


↑ カッパドキア地区


↑ パムッカレ(残念ながら環境汚染や地震の影響で大分様変わりしたようです)


↑ エフェス(エフェソス)の遺跡


最初にイスタンブールを訪れたのはもう20年以上前の事で、初めて空港ターミナルを
出た時から何故か懐かしい様な感じを受けたのが思い出されます。
東洋と西洋の狭間にあり、イスラム教国でありながらキリスト教文化も残され遥か彼方の
異郷であり全く異なる文化、環境の国であるのに何故すんなり入り込めたのかと今でも
不思議に思います。

海外を訪れた時は何時も感じるのですが、空港ターミナルを一歩出た時の空気の匂いが
それぞれの国で違うのが面白く、欧米はスモッグやガソリンの匂い、ビーチリゾート地
は花の香、海の匂い。 東南アジアはスパイスや混沌とした匂い 等々。
イスタンブールはオリーブオイル、スパイス等に加え海の匂い(周囲を海で囲まれている
ので)等でしたね。
(因みにカイロは砂の匂い?)でした。
最初に訪れた時は未だ開発途上の感じがあり、道路の舗装も儘ならない場所もあったり
したのですが、その後の急激な発展は目をみはるばかりで 行くたびに新しく変化して
いた事に驚かされました。
長い歴史を持ち、遺跡も多く観光地としては何度訪れても飽きない場所です。
早く国内情勢が安定して 安心して観光出来る様な状態に戻って欲しいし、是非多くの
方に訪れて頂きたい国です。

そして訪れる際は是非すこしでも歴史の予習をしてから行って頂きたいです。
エジプトもそうですが トルコの歴史は長くより複雑です。
と、やはり広報、まわし者ですかね? いえ、広報活動報酬は貰ってませんから・・・・(笑)

そう言えば、2週間くらい前だったか 本を読み終わった何気なくTVのチャンネルを
変えていたら偶然カッパドキアをやっていました。
「世界ふしぎ発見」もう何年も観ていなかったし ホントに久し振りに観た番組でした
けど・・・・ 呼ばれた!!
懐かしかったですね~♪

 
~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~


独特の世界観を持つ恩田ワールドが好きで、恵弥のキャラクターも魅力的。
もう一度MAZEを読み直そうと思っています。