思いついた写真をアップする家

写真を撮ってコメントを書く。それだけ。

16年11月に夕景夜景?の講釈を垂れてみる IV(最終回)

2016年11月26日 22時53分10秒 | 夜景・夕景
今年の紅葉は、どうやらここ数年に比べると、1週間から10日早めに進んでいる模様(広島市周辺)。
しかも、色付きの方は木による個体差が大きい。あげくに、この所は雨が結構少なめだったこともあり、
色が付き切る前に水分が飛んで落葉に至っている。暗に、ハズレっぽい年であると見える。
それを含めて、今年の紅葉というのを楽しむのである。どのみち、もう少しすると色の少ない季節に
入って行くのだから。

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最終回は、やっと広義の意味の「イルミネーション」を採り上げます。今回作例にも、コンデジによる
手持ち画像が含まれていますので、参考にして下さい。明るいイルミネーションなら、スマホケータイでも
十分に撮れます。それに、最近のスマホケータイのカメラ機能には、夜景モードによる長時間露光が存在
するモデルも有りますので、モバイルステー(ミニ三脚みたいなもの)に取り付けるなどし、セルフタイマーで
シャッターを切れば、ソコソコ写せます。

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◎IV:イルミネーションの明るさと、露出時間の違いなど。

 

(左)マニュアル露出_F5.0_1/5sec_ISO200_オリンパスE-M1。1月上旬、20時ごろ。
(右)マニュアル露出_F8.0_1/1.6sec_ISO200_オリンパスE-M1。1月上旬、20時20分ごろ。

分数苦手だと分かりにくいかも… 前回(3.5)で出て来た、露出設定の理屈通りなのです。光源が構図内に多くて
距離が近い場合は、十分に光が回って来ます。この場合、夕景夜景にしては速いシャッター速度を使う事が出来ます。
通常、三脚を使う事が多いのですが、撮影感度を上げてやれば「手持ち撮影」も十分に可能です。

 

(左)マニュアル露出_F8.0_13sec_ISO200_オリンパスE-5。11月上旬、21時20分ごろ。
(右)マニュアル露出_F9.0_15sec_ISO200_オリンパスE-5。11月下旬、18時ごろ。

左は、海上自衛隊の電灯艦飾。右の電灯艦飾無しと比べて、露出設定に大差がないことに注目。つまり、電灯艦飾は
画面内に光源が多くあるからといって、明るい訳じゃないという例。距離が遠い事と、色温度の問題です。
赤っぽい色は遠くまで届くので、一見、明るいのか?と思ってしまいますが、実はそうではありません。

ホワイトバランスを調整し、色が白っぽくなるまで調整(3000K相当など、調整数値を低く)すると、明るくない事が
直ぐに分かります。逆にいえば、ホワイトバランスを調整して、赤っぽい光源を青っぽい写真にしてみたい場合、
意図的に明るく写しておく必要があるという訳です。



マニュアル露出_F9.0_1.3sec_ISO100_オリンパスE-M1。12月下旬、18時ごろ。

ISO100相当で、尚且つ、絞っていなければ、手持ち撮影可能な条件。相当に明るいと言えます。ツリー自体は明滅を
繰り返しますので、沢山の電飾が点いている時は明るいのですが、消えると暗くなります。
ですが、背景の商業施設の灯りが明るいのです。



マニュアル露出_F3.0_1/30sec_ISO800_オリンパスSH-60。12月下旬、18時ごろ。

広角側(25mm相当)とはいえ、普通に手持ちで撮れるシャッター速度。近年のコンパクトデジカメは、本当に良く写る。
スマホケータイが良く写るのは、主に画像処理の進歩なのだが、コンパクトデジカメの場合は、画像処理に加えて手振れ
補正効果の向上と、高感度対応にある。

この様な条件で「フラッシュ」を使うと、シャッター速度が1/60秒付近にセットされてしまうため、逆に相当暗く写る
場合が多い。フラッシュには同調速度というものが存在するので、フラッシュを使っても、必ずしも明るく写せる訳では
ないのです。
※スローシンクロや、高速シャッター時の全速同調機能が使えるもの、常時点灯のライト使用時を除く。

 

(左)マニュアル露出_F9.0_1.6sec_ISO200_オリンパスE-5。12月上旬、22時ごろ。
(右)マニュアル露出_F8.0_2sec_ISO200_オリンパスE-5。12月上旬、18時ごろ。

最近は、省エネながら明るく、シャープな(指向性の高い)LED電球を用いたイルミネーションが増えています。
放っておいても点光源に写るのですが、F8程度に絞ってやることで、「光芒(光条)」が綺麗に写せます。
レンズによって光芒の出方も異なる訳ですが、基本的に絞り羽の枚数に依存します。絞り羽根が奇数の場合、
羽根数の2倍の条数となります。偶数だと、絞り羽根の数と同一です。

古いレンズ(特許の問題で、円形絞りが使えなかったため)の方が光芒の美しい場合がありますので、どの様な
光芒が出て来るのかは、試してみる他にありません。尚、コンパクトデジカメには円絞りといって、絞り羽根を
使わずに直径の異なる穴を切り替えるものが有ります。この場合、光芒は同心円形となり、ボワッと拡がる感じと
なります。

 

(左)マニュアル露出_F9.0_1/2sec_ISO200_オリンパスE-M1。12月下旬、20時20分ごろ。
(右)マニュアル露出_F8.0_1/3sec_ISO200_オリンパスE-M1。※多重撮影 12月下旬、20時30分ごろ。

左は普通に撮ったもの。右は、普通に撮ったものに、絞り解放&ピンボケ画像を重ねたもの。最近のカメラには、
多重撮影が可能なものが有ります。また、撮影後に重ねることが出来るものもあります。
この作例は、撮影時に多重撮影を行ったものです。

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さて、夕景夜景撮影の良い季節なので、撮影方法についてご紹介させていただきましたが、カメラ雑誌や、他の方の
ホームページ・ウェブログなどで散々紹介されているものです。ここで挙げさせてもらったものについては、
露出設定や時刻を書き加えてみました。もちろん、全てオイラが撮影した写真ですから、著作権関係には気を遣う
必要がありません。

但し、ダウンロードして再配布…なんてのは、厳密にいえば著作権法違反ですよ!著作権を放棄するなんてのは、
どこにも書いてないですからね。とか言っても、アップしちゃった時点で、全世界にバラマキ確定なんですけどねw

そんな訳で、撮ってみたい方は撮ってみてはいかがでしょうか。暖かい服装と照明器具を準備し、身の危険を決して
冒さない事! 暖かい時期みたいに毒虫の被害を受ける事は少ないですが、野生動物に警戒しなきゃならない場所も
有ります。とりあえず無事なら、次回の撮影行の機会も有ります。
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16年11月に夕景夜景?の講釈を垂れてみる 3.5

2016年11月20日 12時20分36秒 | 夜景・夕景
広島市の年末恒例「ドリミネーション」が始まる前に、シリーズを完結したかったのですが、諸事情で遅れております。
ま、カメラ月刊誌のhow-toなんかも、毎年同じネタを繰り返しているだけだし。いつか役立つ日もあろうて。
そもそも写真なんてのは、アマチュアでやってる限りは自己満足が全てなんだし。

夕景や夜景撮影では、比較的時間に余裕のある場合が多い代わりに、経験に頼る場面も大きいので、「M」(マニュアル露出)で撮影する事が多い。
周りが黒っぽいため露出計がアテにならないことと、秒単位の露出を多用する事から、カメラに露出設定を計算して貰って決めてしまったのでは、
思うような撮影結果とならない事が多いのです。

次回は、これからシーズン真っ盛りとなる電飾撮影に関するネタを書こうとしているのですが、露出設定について知っておいて欲しいので、
基礎知識を掲載しておきます。理屈抜きで体で覚えるとか、無手勝流でやるからほっとけとか、メンドクセーのに憶えてられっかという
手合いの方には、強制する気はないのでご自由に。今頃のカメラ(スマホ含む)なら、電飾夜景程度なら手持ち可能だし。

【露出の基礎知識】

○露出設定の構成要素は「絞り値」「シャッター速度」「ISO感度」の3つです。互いに倍半分の関係になります。
・「絞り値」を2倍大きくすると、「シャッター速度」を2倍遅く(1/100なら1/50。数学的には大きくなる)するか、「ISO感度」を2倍にすると、等しい露出となる。
・「絞り値」を1/2(数値は小さくなる)にすると、「シャッター速度」を2倍速く(1/50なら1/100。数学的には小さくなる)するか、「ISO感度」を1/2にすると、等しい露出となる。
・「シャッター速度」を2倍遅く(1/100なら1/50。数学的には大きくなる)すると、「絞り値」を2倍大きくするか、「ISO感度」を1/2にすると、等しい露出となる。
・「シャッター速度」を1/2速く(数学的に値は小さくなる)にすると、「絞り値」を2倍にするか、「ISO感度」を1/2にすると、等しい露出となる。
・「ISO感度」を2倍大きくすると、「シャッター速度」を2倍速く(1/50なら1/100。数学的には小さくなる)するか、「絞り値」を2倍大きくすると、等しい露出となる。
・「ISO感度」を1/2にすると、「シャッター速度」を2倍遅く(1/100なら1/50。数学的には大きくなる)するか、「絞り値」を1/2(数値は小さくなる)にすると、等しい露出となる。

組合せを2重にすれば、倍の倍又は、半分の半分。
組合せを3重にすれば、倍の倍の倍又は、半分の半分の半分。

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・「絞り値」は、数値を小さくすると光を通す面積が大きくなるため明るく写せ、大きなボケが得られる。
 代わりに、ピントの合う範囲は狭くなる。どこまで数値を小さく設定出来るかは、そのレンズのFナンバー
 (前レンズ径と、焦点距離の比)で決まる。一般に、大きく重く高価なレンズは、Fナンバーが小さい(F2.0とか)。
 俗に、「明るいレンズ」と呼ばれる。


焦点距離150mm_絞り優先AE_F3.2_1/200sec_+1.0EV_ISO200_オリンパスE-M1。

※ボケは望遠を使うと大きく写ります。ボケの大きさそのものは、レンズFナンバーと投影対象(素子)の面積に依存し、
 素子の面積が大きいほど、ボケが大きく投影されます。量自体は光学的に決まっているので、ごっちゃにしないこと。
 逆に、素子が小さいほどボケが小さくなり、コンパクトデジカメやスマホでは、ボケが小さくなります。
 これは、ピントの合う範囲が広い=ピンボケし難いとも言えます。
 (現に、オイラが成り行き上ずーっと使っているフォーサーズは、135フォーマットに比べてボケが小さい)

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・「絞り値」の数値を大きくすると、光を通す面積が小さくなるため暗く写るが、ピントの合う範囲が手前奥に
 広くなるので、画面の隅々までシッカリと写す事が出来る。代わりに、シャッター速度が遅くなるのでブレ易くなる。
 また、絞り過ぎると「絞りボケ」という、光の回折現象による影響を受けやすくなり、逆に全体が微妙に甘く(ボンヤリ)
 写った感じとなる。


焦点距離42mm_絞り優先AE_F8_1/50sec_+0.3EV_ISO200_オリンパスE-M1。

※まぶしい時や、近視乱視の人が目を細めると見えるというアレです。速い動きを見る為には、目を大きく見開く
 必要があるので、目を細めて素早い動きを見切るというのは、普通有り得ません。瞬間、絶対に目を開いている
 のです。ベッピンサン!とかイケメン!を見て目が大きく開くのは、また、別の話・・・
 (オイラが目を大きく開くのは、ベッピンサン!だけですがw)

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・「シャッター速度」は、速く切るほど被写体をシャープに写すことが出来る。代わりに光を取り込む時間が短くなるので、
 暗くなる。高速シャッターが使いたければ、「明るいレンズ」を使うか、ISO感度を上げる必要がある。

 
左:焦点距離174mm_シャッター速度AE_F4.7_1/400sec_-0.3EV_ISO800_オリンパスE-M1。
右:焦点距離200mm_シャッター速度AE_F10_1/640sec_-0.7EV_ISO400_オリンパスE-5。注:作例は、不適正露出を+1.7EV持ち上げ。

※ISO感度を上げると画面が荒れますが、荒れてでもブレなく撮りたいシーンもあります。撮影者の意図次第。

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・「ISO感度」は、数値を小さくするとノイズが少なく美しい描写となる。代わりに、光を受け取る量が小さくなるので、
 シャッター速度を遅くするか、「明るいレンズ」を使う必要がある。


焦点距離20mm_マニュアル露出_F8_20sec_ISO200_オリンパスE-M1。

※作例では、シャッター速度が遅いため、中央の船が波によって揺れることで「ブレ」てしまっている。被写体によっては、
 工夫したり、何度も撮ったり、気象条件次第では諦めたりする必要がある理由ともなります。

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☆風景写真は、基本的に「絞り値」で被写界深度(ピントの合う範囲)を決める事が多いので、「A」(絞り優先AE)で使う。
 スポーツ写真や、相手が頻繁に動くものを止めたい時には「S」(シャッター速度優先AE)で使う。
 適正露出が良く分からない時、考えてる時間的余裕がない時、取敢えず写ってなきゃ話にならない時は「P」(プログラムAUTO)で使う。

  
左:焦点距離290mm_シャッター速度AE_F7.1_1/1600sec_+1.0EV_ISO400_オリンパスE-5。
中:焦点距離228mm_シャッター速度AE_F10_1/400sec_-1.0EV_ISO200_オリンパスE-5。
右:焦点距離224mm_シャッター速度AE_F7.1_1/250sec_+0.3EV_ISO200_オリンパスE-3。

※ヒコーキは、基本的に高速シャッターで止めます。相手が速いから。但し、プロペラ機やヘリコプター(回転翼)の場合は、
 高速シャッターを使うとプロペラまで完全に止まってしまい、動きが感じられずに不自然となるため、シャッター速度を
 意図的に遅くすることで、プロペラ部分に「ブレ」を残す方が好ましい結果となる。
 (カープの写真を出したかったが、今シーズンはオイラの腰痛問題で一度も観に行けなくて非常に悔しかったのでヤメタ)

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散々、エ?読めば読むほど、頭こんがらがるとか、なんだか妙に腹立って来るんだけど?!という人も居るでしょう。
そもそも、今回の作例は夜景ですら無いのが混じってるし! という方もいるでしょう。ごもっとも(だから、3.5なのであって…)。

ここで、上で散々書いたことが参考程度にしかならんという実例も上げておきます。つまり、近年のカメラなら、
あまり難しい事を考えなくても、しっかり構えて落ち着いて撮れば、相当撮れるのだという証拠を挙げておきます。
一種の免罪符ですな。取敢えず、撮らなきゃ始まらねーぜというコトですわ。


焦点距離23mm_プログラムオート_F2.8_1/2sec_-1.0EV_ISO1600_オリンパスE-M1。※手ぶれ補正(IS)使用。

これねー、昔なら有り得ない値なんです。オイラが10年前に自信をもって、手振れを抑えて手持ち撮影出来た
シャッター速度(下限)は、換算28mm相当で1/15秒まで(これですら、確実ではなかったが)。
この写真は、カメラ(E-M1)にオート(露出補正は-1.0EVしています)で撮らせたらどうなるのか、
テストを兼ねてやってみたら、あまりの設定値に呆れてしまったという例。しかも、割とキッチリ撮れてるし。
夜景でも、照明(ココのは、そんなに明るくはないです)当たってたら三脚イラネーじゃんか・・・

これくらい、今のカメラって凄いんです。で、一度、楽を覚えてしまったら、これが標準となってしまう。
技術の進歩と人間の退化は比例関係にある。複雑な気持ちになって来る。

だから、三脚とレリーズ持って夕景夜景を撮っているオイラは、古いカメラマンになっているのかも知れん。
(腰悪いと、たちまち撮れなくなる理由でもある)

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※注釈 1:フォーサーズ規格のデジタル一眼カメラは、135フォーマットに対し、焦点距離が倍換算となります。
 記事中の撮影データに記載した「焦点距離」を倍にすると、135フォーマット相当となります。

※注釈 2:作例は、結構古いものや、もう撮れないものが有ります。悪しからず。
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16年11月に夕景夜景の講釈を垂れてみる 參

2016年11月12日 13時35分29秒 | 夜景・夕景
これから色々と準備をしなきゃいけない感じとなったのですが、先ずは、紹介状を貰った先での
診察結果を見てからという。年末になるのか、年始になるのか…

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◎蔘:天候と得られる結果について。※「ライブコンポジット」についてをオマケで掲載。


マニュアル露出_F7.1_1/6sec_ISO200_オリンパスE-M1。7月中旬、19時30分ごろ。

一面の曇天で、低く厚みも有る雲に覆われている。但し、地平線には僅かな隙間があり、日没の残光が差して来る。
夏場なので光線は明るくて強く、赤みは少ない。
こういう条件の時は、隙間から射して来た光が雲に反射し、思いの外、辺りは明るくなり、雲に色が付きます。
どういう色になるのかは、季節・隙間の方角の雲の有無、雲の高さなどによって異なるので、分からないのです。
その上、肉眼と写真とでは、見え方(写り)自体も大きな差異が出るので、撮ってみない事には分からない。
塵が多いと光が拡散するので、シャープな赤になりません。薄紫となり、色もすぐに浅くなって行きます。


マニュアル露出_F8_3.2sec_ISO200_ライブコンポジット使用_オリンパスE-M1。7月中旬、19時45分ごろ。

肉眼では暗くなり始めており、夜のとばりという時間帯。相対的に暗くなるので、車のライトが写せるようになる。
街明かりは点いているものの、地平線からの残光がまだ明るいため、そこまで目立たない。これが「晴天」だと、
辺りはもっともっと明るくなるので、夜景という時間には早すぎることとなります。

つまり、天候によって、夜景として撮れ始める時間も違うということ。曇天や小雨の方が、早く撮り始める事が
出来ます(雨天の夜景撮影は非常に面倒で、レンズ交換は事実上不可能。でも、面白い画が撮れたりします)。


マニュアル露出_F8_50sec_ISO200_WB太陽光_ライブコンポジット使用_オリンパスE-M1。7月中旬、20時30分ごろ。

すっかり夜。街明かりはバッチリ写り込んでおり、光跡となって残ります。当日の雲は高度が低いため、街の明かりが
雲に反射し、全体的に明るく写っております。夜は暗いと思っていても、都市部は思いの外明るい訳です。
左の方が赤いのは、製鉄所の作業による火柱が雲に反射したもの。


ホワイトバランスのみ、グレー点指定で変更した写真。

その貮で書いた通り、ホワイトバランスを変えると、この様になります。少し暗くなった代わりに、コントラストが
付き、目で見た印象に近い写真となります。曇天の都市部夜景。結構面白いでしょ?
暗くて寂しくて身の危険を覚えるような高台や、人気の少ない公園まで足を延ばさずとも、結構近場で撮れる場所が
あります。少々天気が悪くても、逆に面白い写真が撮れたりもします。

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さて、ここで「ライブコンポジット」という機能をご紹介。

近年のオリンパス製デジタル一眼に搭載されている機能で、写真の中で明るい部分だけを重ね撮りできるものでして、
従来は、フォトショップなどの画像処理ソフトを利用し、複数枚の写真を用意した上で「比較明」合成処理を行う
必要がありました。
「ライブコンポジット」機能を使えば、カメラ内で、その処理を行ってくれるという訳です。
もちろん、良くない所もありまして、基本的に露光中(明るい部分を重ね撮りしている間)は、カメラを動かす事が
出来ません。つまり、その時間は、その場にカメラが無いといけない。当たり前の事ですが、これって意外に面倒なんです。

「ライブコンポジット」の場合、露光の最大時間は60秒まで(16/11/12現在)という縛りがあり、ベースとなる写真は、
1フレーム目で決まります。その後は、明るい部分だけ、1フレーム目と同じ露出時間で重ねていく形となる。
だから、絶対にカメラが動いては困るので、段取りは入念に!ということになります。
ま、意図的にカメラを振って、変な光を重ねるのもアリですけどね。その場合、偶然を楽しむ事になりますが。

尚、今回の作例では、湾内を行くフェリーの光跡を残したかったから、ライブコンポジットを選択したのであって、
通常のバルブ(シャッター解放)でも撮れる条件です。使う使わないは、臨機応変に選択です。

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絞り優先AE_F13_-0.7EV_1/20sec_ISO100_オリンパスE-3。3月下旬、18時ごろ。

この日は、夕方に撮影していると寒気が入って時雨れ模様となり、雨が去ってから風が吹き荒れたという天気。
その代り、春先の黄砂は雨で流され、風で吹き飛ばされた結果、クリアな夕空となりました。
写真の様な高さに太陽が沈んで来ると、時間の余裕は5分も有りません。夕陽の良い時間は短いのです。
もちろん、太陽の高さがあれば時間の余裕もあるのですが、陽射しは強く明るいため、写真に撮ると赤く
なりません。

基本的に太陽は明るすぎる被写体であるため、特殊なフィルターを使わない限り、真っ白に飛ぶのが当たり前。
周りの風景と太陽を適正露出で撮るのは、先ず不可能なのです(合成すれば別)。


絞り優先AE_F8_-0.7EV_1/640sec_ISO200_オリンパスE-M10。10月下旬、17時10分ごろ。

雲が有り、夕陽が望めない時でも、写真を撮ることが出来ます。この作例では、左に太陽が有るはずですが、
雲が厚くて姿は見えない。代わりに、雲の向こうから夕陽が差しています。
こういう条件では、アンダー気味に撮って、色と雲や風景をシルエットとするのが常套手段です。
但し、良い感じの雲が有るか、良い感じの風景が存在する必要があります。


絞り優先AE_F11_-1.0EV_25sec_ISO100_オリンパスE-5。11月上旬、17時50分ごろ。
※なんで、絞り優先AEで撮ってたのか、今となっては理由不明。撮れたからw としか説明できません…

薄雲が流れて来る条件で撮った写真。基本的に晴れた日の夕暮れ時なのですが、雲が早く流れる時は、
この様に、流れゆく雲も一緒に撮ることが出来ます。肉眼では得ることが出来ない、写真ならではの
表現です。


絞り優先AE_F11_3.2sec_ISO200_オリンパスE-5。11月上旬、17時50分ごろ。

雲ひとつない日の写真。意外に、こういう天気の夕暮れは少ない。気温が下がるにれて寒気が流入し、風と共に
雲が発生する時間帯だから。冬場になれば、一般的に空気も澄んできます。夕景夜景の場合、日没時刻が早くなる
ことから、撮影開始~終了時間も早めに済むので都合も良い。代わりに、寒いという。

雲が有る方が良いという方、雲ひとつないグラデーションを楽しみたい方、人それぞれ。ここら辺は、好みに
応じてという事になります。
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16年11月に夕景夜景の講釈を垂れてみる 貮

2016年11月09日 19時34分34秒 | 夜景・夕景
ドナルド(レーガンじゃない)・トランプ氏が、アメリカ大統領に就任する権利を得た訳ですが、どーなりますやら。
ブレーンはシッカリしたのが付いてるし、共和党が議会の過半数を確保した事も有り、意外に手堅いビッグ・アメリカを
実現しそうな気もします。

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◎貮:露光時間と撮影結果の違いについて。


マニュアル露出_F14_480sec(8分)_ND8使用_ISO100_オリンパスE-5。4月上旬、22時ごろ。

春の頃で天気も不安定。雨は降らないけど薄雲が広がっており、黄砂とみられる大気浮遊物も多い。
こういう条件で長秒露光を掛けると、スポットライトの光が「ビーム」状に見える。
煙箱に光を通すのと同じ理屈。つまり、「ビーム」撮りたきゃ薄らと霞んでる時の方が良い!というコト。
霞や霧が濃い時は、ビームが拡散しまくって真っ白となり、主被写体自体が写せませんから、
何ごともホドホドに。


マニュアル露出_F14_140sec(2分20秒)_ND8使用_ISO100_オリンパスE-5。4月上旬、22時ごろ。

1枚目に対し、露出でいうと 1.5段ほどアンダー。夜の印象は強まりますが、光のビームは弱く、空も真っ黒で
表情が無い。こういう露出で撮るなら、空を切るなどの工夫が必要。でも、普通はこんなに暗く
写そうとしませんから、概ね失敗という事になります。


マニュアル露出_F8_60sec(1分)_ISO800_オリンパスE-5。4月上旬、22時ごろ。

1枚目に対し、露出でいうと2段オーバー。これはコレでアリかも。ギリギリというところでしょう。


マニュアル露出_F8_120sec(2分)_ISO1600_オリンパスE-5。4月上旬、21時30分ごろ。

1枚目に対し、露出でいうと4段オーバー。3枚目に対し2段オーバー。かなり白いですね。こうなると、
夜の筈なのに真っ白で、逆に違和感を覚える。意図的に、この様に撮ることは「アリ」です。
ただ、この橋の写真でやった場合、使い道はあまりない様な… 工場夜景や都市夜景なら使えるかも
知れません。

 
左:ホワイトバランス_5300K 右:ホワイトバランス_4000K

夕景・夜景の基本は、ホワイトバランスを太陽光(メーカーや機種による。5000~5500Kあたり)で
撮ります。人口的な光源はランプの種類によって色が異なるため、太陽光(標準)が最も無難に
写せるためです。

でも、ホワイトバランスを変えると、これくらい印象が変わる訳です。この比較では、ホワイトバランス
4000Kの方が、目で見た印象に近いと感じる方が多いのでは?と思います。

ホワイトバランスを変えるため、最もベターな選択は、RAWファイルで記録しておくこと。特に夜景撮影は
露光時間が長くなりがちなので、何度も撮ってると、それだけで小一時間掛かってしまいます。
当然、気象条件や空の色も変わります。時刻が遅くなると、クルマの往来は少なくなり、船舶や航空機は
営業時間を終えます。場所によっては、狙った写真が撮れなくなったりもします。

そういう事情を考慮し、データは、JPEG+RAWで保存することを強くお勧めします。RAWさえあれば、
PCだけではなく、カメラ内で現像する際にホワイトバランスを変えることが出来ます。

RAWで記録できない又は、RAWをいじるのがメンドーだという場合は、ホワイトバランスを変えて
複数枚撮っておきましょう。機種によっては、ホワイトバランス・ブラケットという機能が
あり、複数の青~赤っぽい写真を写しておいて、好きな奴だけ残すという手も有ります。
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16年11月に夕景夜景の講釈を垂れてみる 壱

2016年11月06日 15時25分26秒 | 夜景・夕景
平和大通りのカープ優勝パレード、凄かったですねー!←腰いわしてどーにもならんからテレビで見てただけ。
優勝報告会、良かったですねー!←抽選外れたのでテレビで見てただけ。
ファン感謝祭も有りますねー!←端から行く気なし。

ま、腰って大事よウン。今年は養生せいということで諦めてる訳なんですけど、色々と精神面でも
「あれやってみよう」「これやってみよう」という気が減衰するんですよねドッカ悪いとねー。
竹槍ではB29を墜とせないのと一緒で、精神的掛け声だけで実態が無い場合は、何も起きない何も
変わらないのですわ。当たり前。でも、根拠のない安心理論で自分で自分を言い包めてるという所。

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さて、11月に入って日没時刻も随分と早くなり、黄道も低くなって参りました。夕方の斜光は赤く、
陰も長く伸びる時期。夕景夜景を撮ってみようという方も増えてくる頃であります。

ネタも無い事ですし、ここは久々に夕景夜景に関する御話を書かせて頂こうかと思います。
読む読まないは、読み手の勝手。書く書かないは、書き手の勝手。それでも、チッたぁ役に立つ
内容にしたいとは思っているんです灰。

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◎壱:太陽の高さ、光線色の違いについて(時刻的変化)。


絞り優先AE_F13_-0.7補正(1/1250sec)_ISO200_オリンパスPL5。2月中旬、16時50分ごろ。

この時期は日没時刻も17時50分ごろと随分遅くなっており、日没1時間前であっても、太陽光は十分に
白くて強烈に射してきます。主被写体(この写真では船)が適正となる様に露出を大きくプラス補正
すると、周りを白く飛ばすしかなくなります(それはそれで、写真表現として意図的に選択するのは
はアリですけど)。なので、マイナス補正(この写真では-0.7EV)にしてやり、黒潰れとすることで、
印象的な表現となります。


絞り優先AE_F9_-0.7補正(1/1600sec)_ISO100_オリンパスE3。12月下旬、16時40分ごろ。

この写真は冬至の頃。日没時刻は17時ごろであり、日没直前となります。太陽が地平線に近付き、
大気中を長く通過して来た光は赤く染まります。もっともドラマチックにみえる時間帯。
でも、時間としての撮影チャンスは短い訳です。


絞り優先AE_F6.9_-0.7補正(1/800sec)_ISO100_オリンパスE3。12月下旬、16時50分ごろ。

上の状態から10分後。影の部分は江田島から伸びて来たもの。このように、良い時間は短い。
気象条件によって光線が真っ直ぐに射して来なければ、そもそも、この様にならない。
周りが十分に明るくても、雲に遮られるなどしてたりするとダメな訳です。

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マニュアル露出_F7.1_1/100sec_ISO200_オリンパスE-M1。3月中旬、18時ごろ。

太陽は沈んでいきますが、太陽自体があまりにも明るいので、主被写体である船をある程度見せようとすると、
思ったより「明るすぎる」結果となります。カメラはレンズを通して光を集める事が出来るので非常に明るく
写せるのですが、夕方の雰囲気は弱くなります。


マニュアル露出_F7.1_1/400sec_ISO200_オリンパスE-M1。3月中旬、18時ごろ。

シャッター速度を上げるか、絞り値を大きくすると、取り込む光の量を少なくする事が出来ます。
結果として、写真は全体的に暗くなります。この写真では、上の写真に対し、シャッター速度のみ
変更(1/100→1/400sec)しています。日没っぽい露出になったと思いませんか?

主被写体が動きそうな場合は、シャッター速度を上げて対応。相手が動かず、しっかり手前から
奥まで写り込ませたい時は、絞り値を大きくします。
「マニュアル露出」は、夕景・夜景撮影ではよく使います。それは、自分の撮影意図に合致した
露出決定が速やかに行えて、結果も予想し易い為です。


マニュアル露出_F8_8sec_ISO200_オリンパスE-M1。3月中旬、19時ごろ。

夜景といえる露出が出来るのは、日没後30分を過ぎてから。眼で見る分には「暗いな…」と思う頃が、
薄暮時のベストタイムと言えます。この写真では8秒の露光としていますが、船は浮いているので、
あまり長く開けすぎると動いてしまいます。干満の潮が流れている時刻であったり、波風が強い日は、
長く開ける事が出来なくなると言えます。

もちろん、意図的に長秒露光を掛けて、船が揺れている夜景にする事も出来ますが、写真でブレを表現
する場合は、どこかに「芯」が無いと意味がなくなるので、船底側を支点にマストが揺れてしまう船
では、あまりブレてくれても、格好の良いものではなくなります。

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※夕景・夜景撮影での注意

・懐中電灯など、照明は必ず持って行きましょう。
・三脚を使うことが殆どです。撮らない時は除けておき、他の人の邪魔にならない様に(独占状態がベスト)。
・先客が居たら、一声掛けましょう。無視されても、挨拶したという事実で十分です。
・野生動物(イノシシ、野犬、シカなど)に注意。ラジオやケータイワンセグなんかは便利ですね。
・夏場は昆虫やムカデに注意。その為にも、上着着用、長ズボンで臨みたいですね。靴下の中に裾を入れるのも効果的。
・上着は1枚余計に持って行くこと。標高のある場所では、真冬の装備が必要となる事があります。
・条件が悪いと思ったら、諦めが肝心。生きていて健康であれば、また撮る機会は作れます。
コメント (2)
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