知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

分割出願の要件、訴訟過程での実験結果の提出

2012-10-21 20:57:41 | 特許法44条(分割)
事件番号 平成23(行ケ)10391
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年09月27日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 飯村敏明、裁判官 八木貴美子,小田真治

(2) 分割出願においては新たな特許出願はもとの特許出願の時にしたものとみなす(特許法44条2項)とされていることから,分割出願に記載された発明に係る技術的事項は,原出願の明細書に記載されていることを要する

 そこで,本件発明が,原出願の明細書に記載した事項の範囲内のものであるか否かについて検討する。
 ・・・
 ・・・【0047】の記載に接した当業者は,【0047】の「フォトルミネセンス蛍光体」について,本件組成に属する蛍光体に限定されないと理解するとまでは容易に認め難い。

エ この点に対し,被告は,本件組成に属しない蛍光体についても,効果が得られる場合がある旨の実験結果(乙1)を提出する。しかし,分割が許されるためには,原出願の明細書に本件発明についての記載,開示があること(当業者において,記載,開示があると合理的に理解できることを含む。)を要するから,訴訟過程で提出された上記実験結果(乙1)をもって,前記の結論を左右することはできないというべきである(仮に,被告の主張,立証が許されるとするならば,原出願の明細書に本件発明について,何ら記載,開示がないにもかかわらず,第三者が,本件組成に属しない蛍光体に,効果が得られた旨の発見をした場合に,そのような蛍光体を包含する分割出願を,当然に許容することになって,不合理が生じる。)。

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