知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

著作権法32条1項の引用に当たるかどうかの判断事例

2012-10-21 21:31:13 | 著作権法
事件番号 平成23(ワ)9722
事件名 損害賠償等請求事件
裁判年月日 平成24年09月28日
裁判所名 東京地方裁判所  
権利種別 著作権
訴訟類型 民事訴訟
裁判長裁判官 大 須 賀 滋、裁判官 小川雅敏,森川さつき

 著作権法32条1項は,「公表された著作物は,引用して利用することができる。この場合において,その引用は,公正な慣行に合致するものであり,かつ,報道,批評,研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」と規定するから,他人の著作物を引用して利用することが許されるためには,引用して利用する方法や態様が,報道,批判,研究等の引用するための各目的との関係で,社会通念に照らして合理的な範囲内のものであり,かつ,引用して利用することが公正な慣行に合致することが必要である。
 ・・・
 このように,被告が名誉毀損と主張する部分が,本件各霊言の一部にすぎないことや,名誉毀損とは関係のない内容も多数含まれていることからすれば,本件各霊言全体を複製・頒布して利用した本件複製頒布行為について,上記の説明,批判,反論等の目的との関係で,社会通念に照らして正当な範囲の利用であると解することはできない
 ・・・
 本件DVD等は,被告の主張によれば,・・・本件記者会見の翌日に,原告の主張によれば本件記者会見の翌週に,記者会見に参加した報道関係者等に配布されたものである。しかも,・・・,被告は,・・・気がかりを生じ,その気がかりを解消するために本件DVD等を報道関係者等に送付する必要を感じ実行したものと認められるから,本件記者会見の席上においては,本件DVD等を,後日,記者会見における説明等に必要なものとして配布する旨を述べていなかったものと認められる。
 このような本件DVD等の配布の時期,本件記者会見当日における説明内容に照らせば,本件複製頒布行為が公正な慣行に合致するものと認めることもできない

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