知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

特許請求の範囲に限定を付加する補正の新規事項の判断

2009-03-02 06:33:46 | 特許法17条の2
事件番号 平成20(行ケ)10270
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成21年02月26日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 特許権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 田中信義

 ところで,特許法17条の2第3項は「第1項の規定により明細書,特許請求の範囲又は図面について補正をするときは,・・・願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面・・・に記載した事項の範囲内においてしなければならない。」と規定するところ,補正が,当初明細書等の記載によって開示された技術的事項に対し,新たな技術的事項を導入しないものであると認められる限り,同項にいう「願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に・・・記載した事項の範囲内において」するものであるというべきである。
 もっとも,当初明細書等に記載された事項は,通常,当該明細書等によって開示された技術的思想に関するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的として,特許請求の範囲に限定を付加する補正を行う場合において,付加される補正事項が当初明細書等に明示的に記載されている場合や,その記載から自明である事項である場合には,そのような補正は,特段の事情のない限り,新たな技術的事項を導入しないものであると認められ,「願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面に・・・記載した事項の範囲内において」するものであるということができる。

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