事件番号 平成22(行ケ)10101
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成22年08月19日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塚原朋一
ア 外観上,本件商標は,バラ色系の色彩が施され,右肩上がりに傾いたサクラ様の5弁の花びらの図形中に「きっと,」と「サクラサクよ。」の句読点を含む文字を二段に配置した構成からなる,図柄を含む華やかな商標であるのに対し,引用商標は,単に片仮名の「サクラサク」だけからなる商標であり,両商標は,その外観が大きく異なる。
イ 他方で,本件商標からは「キットサクラサクヨ」又は「サクラサク」の称呼が生じ,引用商標からは「サクラサク」の称呼が生じるものであって,その称呼は同一になる場合もあり,少なくともかなり類似するものといえる。
ウ また,本件商標からは,「きっと桜の花が咲くよ。」又は「きっと試験に合格するよ。」といった観念が生じ,引用商標からは「桜の花が咲く」又は「試験に合格した」との観念が生じるものといえる。
このように,両商標から生じる観念は,一定程度類似するが,引用商標からは,淡々と「桜の花が咲く」又は「試験に合格した」という事実についての観念が生じるのに対し,本件商標からは,受験生等に対するメッセージ的な観念が生じるものといえ,生じる観念はある程度異なるものといえる。
エ このほか,証拠(・・・)及び弁論の全趣旨から,本件商標は,受験シーズンに専らキットカット商品に用いられ,このことはよく知られており,本件商標の付されたキットカット商品はかなりの売上げを示しており,他方で,引用商標は,受験シーズンに関係なく,袋菓子や焼菓子などに用いられていることが認められる。
このように,本件商標が用いられたキットカット商品が,受験生応援製品として持つ意味合いは大きいものと認められ,このような本件商標の用いられたキットカット商品と,そのような意味合いの薄い引用商標が用いられた袋菓子等との間で誤認混同が生じるおそれは非常に低いものと認められる。
オ 以上を前提とした場合,確かに,本件商標及び引用商標から生じる称呼はかなり類似しており,観念においても,一定程度類似することは否定し得ないが,他方で,もともと「サクラサク」は1つのまとまった表現として常用されており造語性が低く識別力が限られている上,両商標の外観は大きく異なり,取引の実態をも考慮すると,両商標につき混同のおそれはないといえる。
以上のように,本件での諸事情を総合的に考慮した結果,本件商標と引用商標とは,類似しないというべきである。
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成22年08月19日
裁判所名 知的財産高等裁判所
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 塚原朋一
ア 外観上,本件商標は,バラ色系の色彩が施され,右肩上がりに傾いたサクラ様の5弁の花びらの図形中に「きっと,」と「サクラサクよ。」の句読点を含む文字を二段に配置した構成からなる,図柄を含む華やかな商標であるのに対し,引用商標は,単に片仮名の「サクラサク」だけからなる商標であり,両商標は,その外観が大きく異なる。
イ 他方で,本件商標からは「キットサクラサクヨ」又は「サクラサク」の称呼が生じ,引用商標からは「サクラサク」の称呼が生じるものであって,その称呼は同一になる場合もあり,少なくともかなり類似するものといえる。
ウ また,本件商標からは,「きっと桜の花が咲くよ。」又は「きっと試験に合格するよ。」といった観念が生じ,引用商標からは「桜の花が咲く」又は「試験に合格した」との観念が生じるものといえる。
このように,両商標から生じる観念は,一定程度類似するが,引用商標からは,淡々と「桜の花が咲く」又は「試験に合格した」という事実についての観念が生じるのに対し,本件商標からは,受験生等に対するメッセージ的な観念が生じるものといえ,生じる観念はある程度異なるものといえる。
エ このほか,証拠(・・・)及び弁論の全趣旨から,本件商標は,受験シーズンに専らキットカット商品に用いられ,このことはよく知られており,本件商標の付されたキットカット商品はかなりの売上げを示しており,他方で,引用商標は,受験シーズンに関係なく,袋菓子や焼菓子などに用いられていることが認められる。
このように,本件商標が用いられたキットカット商品が,受験生応援製品として持つ意味合いは大きいものと認められ,このような本件商標の用いられたキットカット商品と,そのような意味合いの薄い引用商標が用いられた袋菓子等との間で誤認混同が生じるおそれは非常に低いものと認められる。
オ 以上を前提とした場合,確かに,本件商標及び引用商標から生じる称呼はかなり類似しており,観念においても,一定程度類似することは否定し得ないが,他方で,もともと「サクラサク」は1つのまとまった表現として常用されており造語性が低く識別力が限られている上,両商標の外観は大きく異なり,取引の実態をも考慮すると,両商標につき混同のおそれはないといえる。
以上のように,本件での諸事情を総合的に考慮した結果,本件商標と引用商標とは,類似しないというべきである。