知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

独占的販売店等を通じて輸入された外国法人が商標を付した商品(商標法50条の趣旨)

2013-02-24 20:58:08 | 商標法
事件番号 平成24(行ケ)10250
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成25年01月10日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 土肥章大、裁判官 部眞規子,齋藤巌
商標法50条

イ 商標法は,商標を保護することにより,商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り,もって産業の発達に寄与し,あわせて需要者の利益を保護することを目的とする(商標法1条)。したがって,商標法上の保護は,商標の使用によって蓄積された信用に対して与えられるのが本来的な姿であり,一定期間登録商標の使用をしない場合には保護すべき信用が発生しないか,又は発生した信用も消滅してその保護の対象がなくなるものと解される。商標法50条は,そのような不使用の登録商標に対して排他独占的な権利を与えておくのは国民一般の利益を不当に侵害し,かつその存在により権利者以外の商標使用希望者の商標の選択の余地を狭めることになるところから,請求によりこのような商標登録を取り消す趣旨の制度である

 商標権は,国ごとに出願及び登録を経て権利として認められるものであり,属地主義の原則に支配され,その効力は当該国の領域内においてのみ認められるのが原則である。もっとも,商標権者等が商品に付した商標は,その商品が転々流通した後においても,当該商標に手が加えられない限り,社会通念上は,当初,商品に商標を付した者による商標の使用であると解される。そして,外国法人が商標を付した商品が,日本において独占的販売店等を通じて輸入され,国内において取引される場合の取引書類に掲載された商品写真によって,当該外国法人が独占的販売店等を通じて日本における商標の使用をしているものと解しても,商標法50条の趣旨に反することはないというべきである。

ウ よって,本件においては,商標権者である原告が,原告の時計に本件使用商標を付し,日本国内において,独占的販売店であるドウシシャを通じて上記時計に関する取引書類に本件使用商標を付した商品写真を掲載してこれを展示したものであるから,本件商標と社会通念上同一の商標を使用(商標法2条3項8号)していたということができる。

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