知財判決 徒然日誌

論理構成がわかりやすく踏み込んだ判決が続く知財高裁の判決を中心に、感想などをつづった備忘録。

商標法51条1項の解釈

2013-02-17 22:13:28 | 商標法
事件番号 平成24(行ケ)10187
事件名 審決取消請求事件
裁判年月日 平成24年12月26日
裁判所名 知的財産高等裁判所  
権利種別 商標権
訴訟類型 行政訴訟
裁判長裁判官 土肥章大、裁判官 部眞規子,齋藤巌

第4 当裁判所の判断
1 商標法51条1項について
 商標法51条1項は,「商標権者が故意に指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用…であって…他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるものをしたときは,何人も,その商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる。」と規定している。同項の規定は,商標の不当な使用によって一般公衆の利益が害されるような事態を防止し,そのような場合に当該商標権者に制裁を課す趣旨のものであり,需要者一般を保護するという公益的性格を有するものである(最高裁昭和58年(行ツ)第31号同61年4月22日第三小法廷判決裁判集民事147号587頁参照)。

 商標法51条1項の上記のような趣旨に照らせば,同項にいう「商標の使用・・・であって・・・他人の業務に係る商品若しくは役務と混同を生ずるもの」に当たるためには,使用に係る商標の具体的表示態様が他人の業務に係る商品等との間で具体的に混同を生ずるおそれを有するものであることが必要であるというべきであり,そして,その混同を生ずるおそれの有無については,商標権者が使用する商標と引用する他人の商標との類似性の程度,当該他人の商標の周知著名性及び独創性の有無,程度,商標権者が使用する商品等と当該他人の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情等に照らし,当該商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として,総合的に判断されるべきものである。  

 そこで,まず,本件商標と使用商標との類似性を検討した上で,上記のような観点から,
① 使用商標と引用商標との類似性の程度,
② 引用商標の周知著名性及び独創性の程度,
③ 使用商標が付された商品と被告の業務に係る商品等との間の性質,用途又は目的における関連性の程度,
④ 商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情
を総合して,使用商標の具体的表示態様が被告の業務に係る商品等との間に具体的に混同を生ずるおそれの有無について検討することとする。
・・・

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