おもしろいもので、邦楽を好んで聴くようになってから絵画の趣味も日本画の方が好みになってきた。ルノワールやモネらが嫌いになったわけではないが、どちらかというと鏑木清方や上村松園の方を見たい。やっぱり僕のメンタリティーには日本画がしっくりくるようだ。なかなか実物を見る機会はなく、もっぱら図書館から画集を借りてきては楽しんでいる。清方と松園はともに明治から昭和にかけて活躍した画家だが、松園がまさに美人画であるのに対して清方はどちらかというと風俗画というべきかもしれない。二人の作品の中から僕が好きなものを一つずつ選んでみたのが下の二つ。左が松園の「志ぐれ」で右が清方の「寒月」。「志ぐれ」は時雨の中、傘をさした美女が小走りに通り過ぎる様子だが、鮮やかな色彩と女性らしい柔らかい曲線。そして乱れた裾を繕うほんのりとしたお色気が何とも言えない。一方の「寒月」は流しの三味線弾きの母子だろうか、寒月の下、お客の声もかからず、母子が手を握り合って街中をさまよっているのだろうか。じんわりと心に沁み入るような情景だ。
1年たつのは早いものであと2週間後には2013年度の「熊本県高校総体 & 総文祭」が始まる。高校を卒業して今年でもう半世紀にもなるというのに、この季節になるとなぜか高揚感を感じてしまう。いろんなスポーツ競技を観て回るのも楽しみだが、最近は開会式前日に熊本市の中心街で行われるパレードが楽しみだ。吹奏楽やマーチングなど熊本には全国的にも優れた実績を持つ学校がいくつもあり、それらが一堂に会するパレードは必見だ。
▼パレード 5月30日(木)
郷土芸能 15:30~(パルコ前・下通り・新市街)
マーチング 16:00~(ハヤカワ前・上通り・下通り・新市街)
▼昨年のパレード風景
▼パレード 5月30日(木)
郷土芸能 15:30~(パルコ前・下通り・新市街)
マーチング 16:00~(ハヤカワ前・上通り・下通り・新市街)
▼昨年のパレード風景
昨日、本格的な山歩きの前のトレーニングのつもりで鳥越の「峠の茶屋」まで登った。岳林寺から荒尾山を登るコースは今では夏目漱石ゆかりの「草枕の道」として知られている。このコースを踏破したのはもう4年前のことになる。今回はさすがに「峠の茶屋」までの体力しかない。またいずれ踏破したいものだ。昨年他界した同級生が住んでいた麓の家跡で手を合わせる。今回初めて現在登山道として使われていないもとの鎌研坂へ入ってみた。竹林が荒れ放題でとても歩けたもんじゃない。ほんの最後の一部分だけが今、鎌研坂としてコースになっている。漱石先生の時代はおそらく全く様相を異にした鎌研坂だったのだろう。鳥越の「峠の茶屋」で弁当を食べてすぐ引き返した。帰りは新しい車道の鎌研坂を下った。「惟然が耳に馬の鈴」のような超然とした生き方は僕には無理だが、せめて“拙を守る”生き方はしたいものだ。
昨年の全日本吹奏楽コンクールの職場・一般の部で金賞を受賞したブリヂストン吹奏楽団久留米と、高校の部で金賞を受賞した玉名女子高等学校吹奏楽部の共演が行われるという。
実はこの二つの吹奏楽団は兄妹弟子の関係にある。いずれも育ての親は熊本県玉名市出身の小山卯三郎先生。先生は戦時中、軍楽隊の指揮を執っておられた方で、日本における吹奏楽の発展に大きな貢献をされた方である。今年の秋に、小山卯三郎先生のドラマが制作されるそうだ。僕は会社勤務時代、生前の小山先生にお目にかかったことがあり、仕事でいずれの楽団とも接点があったが、共演したのはまだ観たことがない。その意味で今度のコンサートは楽しみだ。
実はこの二つの吹奏楽団は兄妹弟子の関係にある。いずれも育ての親は熊本県玉名市出身の小山卯三郎先生。先生は戦時中、軍楽隊の指揮を執っておられた方で、日本における吹奏楽の発展に大きな貢献をされた方である。今年の秋に、小山卯三郎先生のドラマが制作されるそうだ。僕は会社勤務時代、生前の小山先生にお目にかかったことがあり、仕事でいずれの楽団とも接点があったが、共演したのはまだ観たことがない。その意味で今度のコンサートは楽しみだ。
今日は熊本市民会館において「第19回くまもと全国邦楽コンクール ~長谷検校記念~」の本選が行われ、筝曲の部の前川智世さん(栃木県)が最優秀賞を獲得した。若手邦楽演奏家の登竜門となっているこのコンクールは熊本出身の地唄三絃の名人、長谷幸輝を記念して平成5年から始まった。若手の登竜門とは言っても、出場している演奏家のほとんどが既に第一線で活躍している極めてレベルの高いコンクール。今年も各出場者の熱のこもった演奏に引き込まれた。ただ、今年も相変わらず観客が少ない。日頃、一般市民の邦楽への関心の低さは重々承知はしているものの、トップレベルのコンクールでさえこの現実は邦楽の未来に不安を感じざるを得ない。
▼入賞者(写真右から)
最優秀賞 筝 曲 前川 智世(栃 木 県)
優秀賞 尺 八 中村 仁樹(東 京 都)
優秀賞 筝 曲 澤村 祐司(東 京 都)
優秀賞 尺 八 李 權紘(台 湾)
奨励賞 琵琶楽 櫻井亜木子(東 京 都)
奨励賞 筝 曲 高橋 直也(東 京 都)
奨励賞 筝 曲 植野由美子(和歌山県)
奨励賞 筝 曲 中島 裕康(茨 城 県)
熊本県のPRキャラクター「くまモン」が、なんとあの「テディベア」になったという話題。
ドイツの「テディベア」のオリジナルメーカーが、「くまモンのテディベア」を製作し、日本で販売することになり、今日、熊本県庁で発表したとテレビニュースが報じた。1500体の限定販売になるそうだ。
「テディベアくまモン」は全長28センチ。モヘア素材で手足や頭を動かせるという。1体2万9400円と少々お高め。公式サイトで12日午前0時から予約受付が開始される。「くまモン」もいよいよ本格的に世界進出か!?
ドイツの「テディベア」のオリジナルメーカーが、「くまモンのテディベア」を製作し、日本で販売することになり、今日、熊本県庁で発表したとテレビニュースが報じた。1500体の限定販売になるそうだ。
「テディベアくまモン」は全長28センチ。モヘア素材で手足や頭を動かせるという。1体2万9400円と少々お高め。公式サイトで12日午前0時から予約受付が開始される。「くまモン」もいよいよ本格的に世界進出か!?
津々堂さんのブログ「津々堂のたわごと日録」では、「綿考輯録(めんこうしゅうろく)=肥後熊本藩主細川氏の家史」に書かれた細川ガラシャ夫人自害の経緯に関する記述を活字化して連載中である。興味がある方はぜひご一読をお勧めしたい。
このガラシャ夫人について、昭和13年(1938)に出版された「日本女性文化史(全国高等女学校長協会編)」では、日本の女性史上、特筆すべき存在として一つの章を設け、53頁にわたる満江巌氏の解説を掲載している。その一部を紹介すると
数多き日本婦人の中から、何故に、細川ガラシャを日本婦人の典型とするのであるか。それは単に武士の妻として貞節を守ったからではない。困難の中に些かも動ぜず、妻として、母として、身を処したからでもない。かかる事は、当時の婦人には、さして珍しき事ではなかった。今ここに敢えて叫ぼうとするは、ガラシャが、在来の婦人道徳を破って、新しい道を歩んだからである。日本婦人の新しい道の開拓者として、身を以って闘い抜いたからである。ガラシャに於いて初めて、真理の為に生きんとする日本女性の雄々しい姿が明らかにされた。真理の前には一歩も譲らなかった。
熊本ゆかりの人物について僕らはもっと知るべきだ。
※イラスト:KKT開局30周年記念番組「花も花なれ 人も人なれ ~細川ガラシャの真実~」より
このガラシャ夫人について、昭和13年(1938)に出版された「日本女性文化史(全国高等女学校長協会編)」では、日本の女性史上、特筆すべき存在として一つの章を設け、53頁にわたる満江巌氏の解説を掲載している。その一部を紹介すると
数多き日本婦人の中から、何故に、細川ガラシャを日本婦人の典型とするのであるか。それは単に武士の妻として貞節を守ったからではない。困難の中に些かも動ぜず、妻として、母として、身を処したからでもない。かかる事は、当時の婦人には、さして珍しき事ではなかった。今ここに敢えて叫ぼうとするは、ガラシャが、在来の婦人道徳を破って、新しい道を歩んだからである。日本婦人の新しい道の開拓者として、身を以って闘い抜いたからである。ガラシャに於いて初めて、真理の為に生きんとする日本女性の雄々しい姿が明らかにされた。真理の前には一歩も譲らなかった。
熊本ゆかりの人物について僕らはもっと知るべきだ。
※イラスト:KKT開局30周年記念番組「花も花なれ 人も人なれ ~細川ガラシャの真実~」より
一昨日の深夜、NHK総合でドキュメンタリー「桜の里からの手紙」が放送された。
島根県益田市の山あいにある金谷集落。かつて30世帯150人が畜産や農業などで生計を立てて暮らしていた。しかし今では70代と80代の3人の女性が暮らすのみ。もうすぐやってくる集落自慢の桜の満開を前に、せめて桜の季節だけでも、かつての集落の賑わいを取り戻したいと、集落を去って行った人たちに「桜祭り」への招待状を出す3人。「限界集落」などという状態はとっくに越え、互いに助け合いながら健気に生きている3人。しかし、このような日々が終わるのもそう先のことではないだろう。見ていて胸が痛くなる。この現代版“蕨野行”とでも呼びたい現実は、おそらく今、日本のいたるところにあるのだろう。見終ったあと無力感におそわれた。
島根県益田市の山あいにある金谷集落。かつて30世帯150人が畜産や農業などで生計を立てて暮らしていた。しかし今では70代と80代の3人の女性が暮らすのみ。もうすぐやってくる集落自慢の桜の満開を前に、せめて桜の季節だけでも、かつての集落の賑わいを取り戻したいと、集落を去って行った人たちに「桜祭り」への招待状を出す3人。「限界集落」などという状態はとっくに越え、互いに助け合いながら健気に生きている3人。しかし、このような日々が終わるのもそう先のことではないだろう。見ていて胸が痛くなる。この現代版“蕨野行”とでも呼びたい現実は、おそらく今、日本のいたるところにあるのだろう。見終ったあと無力感におそわれた。
4月6日、熊本城本丸御殿で行われた「くまもとをどり」で僕が最も惹かれた「檜垣水汲みをどり」。先日、ほしかった音源と歌詞がいろんな方のご協力を得て手に入った。「くまもとをどり」の数日後、当日の唄方の中に民謡歌手の西村直子さんがおられたことを思い出し電話で作曲者をおたずねした。西村さんは当日の三味線方、本條秀美さんに確認していただいたらしく、長唄三味線の杵屋六花登さんが作曲者であるとご連絡いただいた。そこで杵屋六花登さんの教室の電話を調べ、単刀直入に音源と歌詞をいただけないかとお願いしてみた。するとご親切なことに、音源は作調と踊りの振付をされた中村花誠さんのところにあるので、すぐにコピーしてもらって歌詞とともに送ります、とのご返事。それから3日ほどしてCDと歌詞が郵送されてきた。こんなに早く手に入ると思っていなかったので本当にありがたく恐縮この上ない。六花登さんの許可もいただいたので音源に映像をつけて近いうち、YouTube にアップし、より多くの方にこの曲を知っていただきたいと思う。ちなみにこのCDを作成したのはこわらべの後藤未和ちゃんのお父さんだったらしい。合わせて感謝申し上げたい。
松尾町上松尾から岩戸観音を目指し
急な坂道を登ってくると
小さなお地蔵さんと湧水が疲れを癒してくれる。ここが「桧垣のこぼし坂」
松尾町上松尾から岩戸観音を目指し
急な坂道を登ってくると
小さなお地蔵さんと湧水が疲れを癒してくれる。ここが「桧垣のこぼし坂」
5月3日(金)に水前寺成趣園の能楽殿で行なわれた「江津湖物語と水前寺をどり」において“ザ・わらべ & こわらべ” が初披露した「天神さん」を見ながら、彼女らの芸が新しいステージ(段階)に入ったことを実感した。
この演目は落語の「狸賽(たぬさい)」をもとに横笛の名手、二世藤舎名生(とうしゃめいしょう)さんが創作した長唄。今回、中村花誠さんの振付で舞踊化したものだが、もとが落語だからその表現には狂言的な要素も加わる。これまでも彼女らの演目には「桃太郎」や「だるま踊り」など同系統のものはあったが、このように17分にもおよぶ長編で多彩な表現を要求される演目はおそらく初めてだろう。特に子ダヌキを演じた上村文乃ちゃんは実に巧みな表現で新境地を開いたように見受けた。今後さらにどんな進化を見せてくれるかますます楽しみになってきた。
この演目は落語の「狸賽(たぬさい)」をもとに横笛の名手、二世藤舎名生(とうしゃめいしょう)さんが創作した長唄。今回、中村花誠さんの振付で舞踊化したものだが、もとが落語だからその表現には狂言的な要素も加わる。これまでも彼女らの演目には「桃太郎」や「だるま踊り」など同系統のものはあったが、このように17分にもおよぶ長編で多彩な表現を要求される演目はおそらく初めてだろう。特に子ダヌキを演じた上村文乃ちゃんは実に巧みな表現で新境地を開いたように見受けた。今後さらにどんな進化を見せてくれるかますます楽しみになってきた。
※画像をクリックすると動画を再生
今日から始まった「わくわく江津湖フェスタ2013」。その初日を飾って水前寺成趣園の能楽殿では「江津湖物語と水前寺をどり」が行われた。1時間半のプログラムの最後を締めたのは、ザ・わらべ & こわらべ によるおなじみの落語「狸賽(たぬさい)」を舞踊化した「天神さん」。
男に命を助けられたタヌキが恩返しにイカサマ賭博のサイコロに化ける。男の指示通りの目を続けて出すが、怪しまれて男は数字を言えなくなり、五を出したいために「梅鉢の紋、天神さん!」と言うとタヌキが天神さんに化けるというオチ。
そう言えば、昨年他界した十八代目中村勘三郎さんが出演した映画「やじきた道中てれすこ(2007)」でもこの話が引用されていたのを思い出した。
ザ・わらべとこわらべによる舞踊はまた一段と進化した。
男に命を助けられたタヌキが恩返しにイカサマ賭博のサイコロに化ける。男の指示通りの目を続けて出すが、怪しまれて男は数字を言えなくなり、五を出したいために「梅鉢の紋、天神さん!」と言うとタヌキが天神さんに化けるというオチ。
そう言えば、昨年他界した十八代目中村勘三郎さんが出演した映画「やじきた道中てれすこ(2007)」でもこの話が引用されていたのを思い出した。
ザ・わらべとこわらべによる舞踊はまた一段と進化した。
数十年ぶりに立田山に登った。市街地に囲まれた標高150mほどの低山なのだが、深緑の鬱蒼とした広葉樹の森に覆われ、かつて「黒髪山」と呼ばれたことも「さもありなん」と思わせる。今日では山の中に散策コースが縦横に整備されている。森の中のひんやりとした空気を吸いながら、父が幼い日々を過ごした麓の里山や、立田山にまつわる様々な歴史に想いを馳せていると、不思議なパワーをいただいたような気がした。
29日(月)に広島で行われた「第47回織田記念陸上」の女子100mで、野林祐実(九州学院)は福島千里(北海道ハイテクAC)、市川華菜(ミズノ)、今井沙緒里(鈴波)ら日本女子短距離のトップクラスが揃った予選第3組に出場した。各組上位2プラス2の中に入るのは難しいかと思っていたが、なんと福島千里に次ぐ2着でゴールし、みごと決勝に進出する健闘を見せた。決勝では8位に終ったが、強豪にまじってもファイナルに勝ち進むことが出来た今回の経験は彼女にとって大きな自信となっただろう。