
「踊子」という役柄上、踊るシーンは欠かせませんが、「伊豆の踊子」全5作の中で、この小百合版が一番、踊るシーンが多かったと思います。お座敷で踊ったのは「ノーエ節」、「串本節」そして「ハイカラ節(自転車節)」の3曲。温泉町を流している時に踊っていたのは「ストトン節」ではなかったかと思います。いずれも原作者の川端康成が伊豆の旅をした大正7年頃流行っていた歌で、当時の時代背景を表しているのでしょう。その中から、今日は「ノーエ節(農兵節)」と「ハイカラ節(自転車節)」の2曲を添付してみました。
◇ノーエ節(農兵節)
民謡歌手の水野詩都子さん(昨年7月没)と三味線奏者の﨑秀五郎さんによる東海風流プロジェクトの曲として、水野さんが亡くなったその月にアップされました。在りし日の水野さんを偲びながら聴きたいと思います。静岡県民謡。
◇「ハイカラ節(自転車節)」
明治40年代、自転車の時間貸しが大流行、明治42年(1909)には、こんなハイカラ風俗を風刺した演歌師、神長遼月が作った「ハイカラ節」が流行します。翌43年(1910)には「自転車節」として広く歌われていたといいます。この「自転車節」の熊本バージョンが「熊本自転車節(別名:おても時雨)」です。