徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

今年忘れられない風景(1)~御衣黄桜~

2022-12-16 19:18:54 | 
 今年もいくつかの忘れられない風景があるが、中でも白眉といってもさしつかえないと思うのが4月18日に見た御衣黄桜(ぎょいこうざくら)である。御衣黄桜はこれまでも毎年のように見ているが、今年、熊本城三の丸の漆畑で見た御衣黄桜は特に美しかった。「萌黄(もえぎ)」とも呼ばれる御衣黄の色合いはいつ見ても爽やかで心が洗われる思いがする。



 御衣黄の名前の由来は、平安時代の貴族の着物の色「萌黄(もえぎ)」に似ているからだという。「萌黄」を辞書で調べると「襲 (かさね) の色目の名。」とある。服飾関係のサイトで調べてみると、十二単(じゅうにひとえ)の構成は、「唐衣(からぎぬ)・表着(うはぎ) ・打衣(うちぎぬ)・五衣(いつつぎぬ)・単衣(ひとえ)・長袴(ながばかま)・裳(も)からなる」とあり、そのうち「表着」に「萌黄」色を使うと書かれていた。
 「2019 全日本きもの着付選手権熊本大会」における十二単の着付を撮影していたので確認してみると、たしかに萌黄の表着を着た上に赤い色の唐衣を着付けている。


「2019全日本きもの着付選手権熊本大会」における十二単の着付

 ちなみに小説「虞美人草」で夏目漱石は「藤尾はすうと立った。朧とも化けぬ浅葱桜が、暮近く消えて行くべき昼の命を・・・」とヒロイン藤尾のイメージを表現している。この浅葱桜(あさぎざくら)は御衣黄桜のことらしい。