徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

火に身を投げたうさぎ

2022-09-12 18:35:08 | 日本文化
 昨夜は中秋の名月。一応撮影に挑んでみたものの満足できる写真は撮れませんでした。中秋の名月をブログのネタにする方も多かろうと思い、昨日はあえて名月をネタにするのはやめました。
 ところで、子供の頃、大人たちによく聞かされたのは「月ではうさぎが餅をついている」という話。そう言われると満月の暗い部分がうさぎが餅をついている影絵のように見えたものです。
 この言い伝えが日本で始まったのは、平安時代に書かれた「今昔物語集」の巻五第十三話に「月の兎が生まれた話」という一節があり、それがもとになったようです。もっともこの話には原典があり、インドの仏教説話からきているといわれています。それはこんな話です。

 昔、天竺(インドの旧名)にうさぎときつねとさるがいました。三匹は菩薩の修行をしていましたが、これを見た帝釈天(仏教の守護神)は獣である彼らが誠の心を身に付けたのか試してみようと思いました。そこで帝釈天は落魄の老人に姿を変え、彼らの前に現れました。さるは木の実や畑の作物を、きつねは魚や海の幸などをとってきましたが、うさぎは何もとってくることができませんでした。老人から嘲りを受けたうさぎは自分の不甲斐なさを恥じ、わが身を焼いて食べてもらおうと火の中に身を投げました。もとの姿に戻った帝釈天は、万人にこれを知らしめるため、火に入ったうさぎの形を月の中に移しました。

 メルヘンとはほど遠い凄まじい話ですね。また、満月のことを昔は「望月(もちづき)」と言いましたので、「もちづき⇒餅つき」となってうさぎが餅をつく姿になったという説もあります。