「三斎様丹後江被成御座候節之御番附田辺宮津所々古来番附」
これは、細川家がまだ京丹後にあった時代、三斎(細川忠興)が田辺城や宮津城で催した演能を家臣が記録したものである。驚くのは番数の多さと、かなり頻繁に催されていたこと。当の三斎もいくつもシテ方を務め、幽斎公が太鼓方を務めるなど、細川家主従が挙って参加している。演目は式三番を始め、羽衣、敦盛、松風村雨、松虫、山姥、龍田、玉葛、杜若、楊貴妃、当麻、老松など実に多彩。
三斎が能役者を評価したり、能面製作に細かい指示を与えた直筆の書状なども展示されているが、演能実績や書状の内容から三斎の能に対する造詣の深さが窺える。細川家の歴史は能の発展の歴史とともにあったと言っても過言ではないように思われた。
※写真は「翁」の白式尉の面
▼八坂神社・初能奉納「翁」