昨夜は選挙速報は無視して、Eテレの「古典芸能への招待」を見る。二十六世観世宗家・観世清和さんによる五番能のなかから「卒都婆小町」が放送された。テレビで「卒都婆小町」を見るのは2年ほど前、喜多流の友枝昭世さんの舞台を見て以来だ。
話の筋はわかっていたが、今回は小町の面に妙に惹かれるものがあった。そういえば漱石の「草枕」の茶屋の段で、主人公の画工が茶屋の老婆の顔に「高砂」の嫗の面影を見るという場面があったななどと思いながら、それにしても小町の面にどこかで見たことがあるような気がしながら見終わった。
能が終わった後、観世清和さんと東大名誉教授の松岡心平さん、それに司会の中川緑アナの三人によるトークがあったが、いきなり「面」の話が出た。この「面」は室町時代の能面師・福来石王兵衛正友(ふくらいいしおうびょうえまさとも)の作「姥(うば)」だという。松岡さんは「老婆でありながら唇には微かに紅をさし、かつて絶世の美女と謳われた小野小町の残り香をそこはかとなく漂わせている」との感想。演じた観世清和さんは「力のある面は役者の手数はあまりいらない」とも。
そんな話を聞きながら、僕はハッと思い出した。僕の祖母が唯一、頭があがらなかったA先生の奥様の顔である。小町の面と同じように眉間のしわが特徴だった。しかし決して険しい表情ではない。祖母の愚痴などを眉間にしわを寄せて傾聴された。A先生の奥様に話をすると祖母はスッキリしたような顔をした。そんなことを思い出しながら何だか温かい気持になった。
話の筋はわかっていたが、今回は小町の面に妙に惹かれるものがあった。そういえば漱石の「草枕」の茶屋の段で、主人公の画工が茶屋の老婆の顔に「高砂」の嫗の面影を見るという場面があったななどと思いながら、それにしても小町の面にどこかで見たことがあるような気がしながら見終わった。
能が終わった後、観世清和さんと東大名誉教授の松岡心平さん、それに司会の中川緑アナの三人によるトークがあったが、いきなり「面」の話が出た。この「面」は室町時代の能面師・福来石王兵衛正友(ふくらいいしおうびょうえまさとも)の作「姥(うば)」だという。松岡さんは「老婆でありながら唇には微かに紅をさし、かつて絶世の美女と謳われた小野小町の残り香をそこはかとなく漂わせている」との感想。演じた観世清和さんは「力のある面は役者の手数はあまりいらない」とも。
そんな話を聞きながら、僕はハッと思い出した。僕の祖母が唯一、頭があがらなかったA先生の奥様の顔である。小町の面と同じように眉間のしわが特徴だった。しかし決して険しい表情ではない。祖母の愚痴などを眉間にしわを寄せて傾聴された。A先生の奥様に話をすると祖母はスッキリしたような顔をした。そんなことを思い出しながら何だか温かい気持になった。
