1982年12月Vol.13には、この機関紙の読者に対する
甲斐バンド全曲アンケートの結果が発表されているんですが
前々号に掲載された「関係者が選んだベスト15」への反響が大きかったみたいで
「選び切れないという言葉は、どこか悲痛ですらあった」とか
「自分だけの名曲だと思ってるものに
こうして順位がつけられることで
曲の聴き方に偏見が出て来るのではないか」と心配になるほどだったそうだ
でも「頭の中に浮かんだ個人的な趣味の曲」と
「最大公約数的な曲」の2通りの回答をなさった方が多かったらしく
「ガラスの動物園のテーマ」以外の全曲に票が入ったんだとか…(笑)
(…って「街路」に3票入ってるのもスゴイ(笑)
で、その「ベスト15」はと言うと…
翼あるもの、きんぽうげ、ポップコーン、破れた…、LADY
漂泊者、観覧車'82、100万$、氷のくちびる、安奈
ブルーレター、最後の夜汽車、HERO、熱狂、メモリーグラス…で
関係者の皆さんの選曲と同じく
ライブで取り上げられる曲が強かったようだけど
これは、選曲対象が違うとはいえ
「ROCKSⅡ」のファン投票の際にも言えたことですよね?
「好きな曲は変動制」の奧さん(笑)でも
必ずベスト10なり15なりに入れるであろう曲が何曲もランクインしているし
ほぼ9割の方が投票されたという「翼あるもの」は
2位の「きんぽうげ」に180票の差をつけてブッチギリ♪
以前にご紹介しましたが「翼」は
奧さんが初めて耳にした時に「ブッ飛んだ」曲で
それ以降、現在に至るまでずっと
「甲斐さん以外の誰にも歌えない」と言っております(笑)
もっとも、奧さんより年長の甲斐友さん達にとっては
「誘惑」よりも「英雄と悪漢」が発売された時の衝撃の方が大きかったそうで
「変わりゆくことが望み」とおっしゃる方のファンとしての気構えが
違っていたのかも知れません(笑)
ともあれ、かつての甲斐バンドライブのオープニング曲とエンディング曲が
「ワン・ツー」との結果に納得のご様子のお二人(田家さんと亀和田さん)
一方、得票数の少ない曲には
佐藤剛さんが「ベスト15に入れる」とおっしゃったという(笑)「恋時雨」や
「悪魔に狂って」「No.1のバラード」「やせた女のブルース」などがあり
「こんなに昔から聴いてるのよ」とか
「通はこうだぜ」みたいなアピールなんじゃないか(笑)と話され
「はっきり言って、甲斐バンドのファンの中には凄くノーマルな人と
物凄くエキセントリックな人がいる訳だし…」と亀和田さん(笑)
田家さんが、このアンケートのハガキや封書をお読みになって
「こんな昔から知ってる人が見たら
こんな事も知らないで…って風になりがちだなと反省した」という話から
「17歳から色んな聴き方をして来た8年と
20代後半になってからとか30代からって、やっぱり密度が違う」とか
「ティーン・エイジャーの柔らかいハートにグサッと影響を受けたっていう
一生、傷痕残すみたいなことってあるだろうね」とおっしゃる一方で
「その年齢なりの聴き方ってあるし
密度の濃い聴き方の人ばかりでも
物凄いマニアだけのミュージシャンになったりするし…」と…(笑)
投票なさった方の年齢分布図を見ると
17歳が頂点の緩やかなピラミッド型になってるんだけど
25歳と26歳の間に「結婚」という人生の大イベントがあったらしく?
田家さんは「中高生の頃に良いと思ってたことが
25歳過ぎたら青春って有り得ないみたいな冷酷な数字なのね」とおっしゃってますが
亀和田さんによると…SFがまだマイナーな文化だった頃
中高生が受験を経て進学したり、卒業して社会人になったりする際に
どんどん振り分けられていったそうで
「本を読むのも、レコードを買うのも、ライブに行くのも
みんな切実なところでやってるけど
曲を聴いてなきゃ死んじゃうって、メシとは違うじゃない?
精神的にも金銭的にも余裕がないと…
単にダンナが行っちゃいけないっていうのじゃなくて
切実にライブに行きたいっていうのが
二の次、三の次になるというか
彼女の中で価値観が違って来るんだろうね」と分析なさってます
でも「甲斐バンドの曲自体が
家庭を持って、子供が生まれて
朝、布団を干してパタパタやりながら歌う曲じゃないから」という
田家さんの説には「異議あり!」と奧さん(笑)
確かに我が家では、掃除するにも食事を作るにも
必ず甲斐さんの曲が流れてます(笑)
それはさておき…一時期、女性ファンが減少した背景について
「昔、聴いてた人で最近聴いてないという人や
今ではもうファンでなくなった人とか
放送局やマスコミの中には、HEROの後に聴き始めたけど
甲斐バンドはもう出来上がってるからってパスする人もいる」
(…って「HEROの前か?後か?」を気になさるのは
男性ファンの方が多いような気がするなあ…?)と思っていたら
「HEROの前とも後とも言えない」とおっしゃる方もおられるみたいで
「バス通りや裏切りの街角は、どこが良いのか判らないまま聴いていて
HEROのヒットの後に聴き直したという男の子が結構多いんだ」そうです(笑)
また、作家でもミュージシャンでも必ず
「偉くなっちゃってサァ」やら
「マイナーな頃は良かったけど、メジャーになってつまんなくなった」って
言い方が出て来るでしょ?(苦笑)
もちろん、マイナーからメジャーになる過程で
表現の本質そのものが変わって来て
以前とは全然違う売れ線の作品ばかりになったって人はいるかも知れない
でも、マイナーな時にやってたことの中に
今やれるほとんどのことが凝縮されて入ってたりする訳ね
だから、甲斐バンドのある部分に自分のことを重ね合わせて
例えば、ラブソングとして託してる人は
曲の中の女性の描き方が好きだったり
「そばかすの天使」が1位になったりするとか
社会的な姿勢が良いと思ってる人は
「噂」や「からくり」が好きだったり…
「嵐の季節」を男が聴くと
「コートの襟を立て、拳を握りしめ、嵐をやり過ごせ」でしょ
女性は「愛が欲しいなんて言いはしない
だから君にもあげはしない」なのね
そこが全く違う…でも、バンドの全体像になってる
重ね合わせる部分が色々あって、間口が広いんだよ…とおっしゃってます
HEROの後だけでなく、ニューヨーク3部作の頃にも
男性ファンが増えた一方で、女性ファンが流出したみたいだし
託すものが、それまで思っていたものと違ってしまったと
感じられた女性が多かったのかも知れませんね?
「どの時代でも、そのバンドが何を歌っていて
それがこういう風に変わって来て…みたいなことが
どれだけ見られるかなってことが面白いよね
この企画も基本的にはそういうことなんだよね」と話されてますが
そのバンドが今もまだ変わり続けていらっしゃるなんて
この当時には想像もつかなかったでしょうね?(笑)
甲斐バンド全曲アンケートの結果が発表されているんですが
前々号に掲載された「関係者が選んだベスト15」への反響が大きかったみたいで
「選び切れないという言葉は、どこか悲痛ですらあった」とか
「自分だけの名曲だと思ってるものに
こうして順位がつけられることで
曲の聴き方に偏見が出て来るのではないか」と心配になるほどだったそうだ
でも「頭の中に浮かんだ個人的な趣味の曲」と
「最大公約数的な曲」の2通りの回答をなさった方が多かったらしく
「ガラスの動物園のテーマ」以外の全曲に票が入ったんだとか…(笑)
(…って「街路」に3票入ってるのもスゴイ(笑)
で、その「ベスト15」はと言うと…
翼あるもの、きんぽうげ、ポップコーン、破れた…、LADY
漂泊者、観覧車'82、100万$、氷のくちびる、安奈
ブルーレター、最後の夜汽車、HERO、熱狂、メモリーグラス…で
関係者の皆さんの選曲と同じく
ライブで取り上げられる曲が強かったようだけど
これは、選曲対象が違うとはいえ
「ROCKSⅡ」のファン投票の際にも言えたことですよね?
「好きな曲は変動制」の奧さん(笑)でも
必ずベスト10なり15なりに入れるであろう曲が何曲もランクインしているし
ほぼ9割の方が投票されたという「翼あるもの」は
2位の「きんぽうげ」に180票の差をつけてブッチギリ♪
以前にご紹介しましたが「翼」は
奧さんが初めて耳にした時に「ブッ飛んだ」曲で
それ以降、現在に至るまでずっと
「甲斐さん以外の誰にも歌えない」と言っております(笑)
もっとも、奧さんより年長の甲斐友さん達にとっては
「誘惑」よりも「英雄と悪漢」が発売された時の衝撃の方が大きかったそうで
「変わりゆくことが望み」とおっしゃる方のファンとしての気構えが
違っていたのかも知れません(笑)
ともあれ、かつての甲斐バンドライブのオープニング曲とエンディング曲が
「ワン・ツー」との結果に納得のご様子のお二人(田家さんと亀和田さん)
一方、得票数の少ない曲には
佐藤剛さんが「ベスト15に入れる」とおっしゃったという(笑)「恋時雨」や
「悪魔に狂って」「No.1のバラード」「やせた女のブルース」などがあり
「こんなに昔から聴いてるのよ」とか
「通はこうだぜ」みたいなアピールなんじゃないか(笑)と話され
「はっきり言って、甲斐バンドのファンの中には凄くノーマルな人と
物凄くエキセントリックな人がいる訳だし…」と亀和田さん(笑)
田家さんが、このアンケートのハガキや封書をお読みになって
「こんな昔から知ってる人が見たら
こんな事も知らないで…って風になりがちだなと反省した」という話から
「17歳から色んな聴き方をして来た8年と
20代後半になってからとか30代からって、やっぱり密度が違う」とか
「ティーン・エイジャーの柔らかいハートにグサッと影響を受けたっていう
一生、傷痕残すみたいなことってあるだろうね」とおっしゃる一方で
「その年齢なりの聴き方ってあるし
密度の濃い聴き方の人ばかりでも
物凄いマニアだけのミュージシャンになったりするし…」と…(笑)
投票なさった方の年齢分布図を見ると
17歳が頂点の緩やかなピラミッド型になってるんだけど
25歳と26歳の間に「結婚」という人生の大イベントがあったらしく?
田家さんは「中高生の頃に良いと思ってたことが
25歳過ぎたら青春って有り得ないみたいな冷酷な数字なのね」とおっしゃってますが
亀和田さんによると…SFがまだマイナーな文化だった頃
中高生が受験を経て進学したり、卒業して社会人になったりする際に
どんどん振り分けられていったそうで
「本を読むのも、レコードを買うのも、ライブに行くのも
みんな切実なところでやってるけど
曲を聴いてなきゃ死んじゃうって、メシとは違うじゃない?
精神的にも金銭的にも余裕がないと…
単にダンナが行っちゃいけないっていうのじゃなくて
切実にライブに行きたいっていうのが
二の次、三の次になるというか
彼女の中で価値観が違って来るんだろうね」と分析なさってます
でも「甲斐バンドの曲自体が
家庭を持って、子供が生まれて
朝、布団を干してパタパタやりながら歌う曲じゃないから」という
田家さんの説には「異議あり!」と奧さん(笑)
確かに我が家では、掃除するにも食事を作るにも
必ず甲斐さんの曲が流れてます(笑)
それはさておき…一時期、女性ファンが減少した背景について
「昔、聴いてた人で最近聴いてないという人や
今ではもうファンでなくなった人とか
放送局やマスコミの中には、HEROの後に聴き始めたけど
甲斐バンドはもう出来上がってるからってパスする人もいる」
(…って「HEROの前か?後か?」を気になさるのは
男性ファンの方が多いような気がするなあ…?)と思っていたら
「HEROの前とも後とも言えない」とおっしゃる方もおられるみたいで
「バス通りや裏切りの街角は、どこが良いのか判らないまま聴いていて
HEROのヒットの後に聴き直したという男の子が結構多いんだ」そうです(笑)
また、作家でもミュージシャンでも必ず
「偉くなっちゃってサァ」やら
「マイナーな頃は良かったけど、メジャーになってつまんなくなった」って
言い方が出て来るでしょ?(苦笑)
もちろん、マイナーからメジャーになる過程で
表現の本質そのものが変わって来て
以前とは全然違う売れ線の作品ばかりになったって人はいるかも知れない
でも、マイナーな時にやってたことの中に
今やれるほとんどのことが凝縮されて入ってたりする訳ね
だから、甲斐バンドのある部分に自分のことを重ね合わせて
例えば、ラブソングとして託してる人は
曲の中の女性の描き方が好きだったり
「そばかすの天使」が1位になったりするとか
社会的な姿勢が良いと思ってる人は
「噂」や「からくり」が好きだったり…
「嵐の季節」を男が聴くと
「コートの襟を立て、拳を握りしめ、嵐をやり過ごせ」でしょ
女性は「愛が欲しいなんて言いはしない
だから君にもあげはしない」なのね
そこが全く違う…でも、バンドの全体像になってる
重ね合わせる部分が色々あって、間口が広いんだよ…とおっしゃってます
HEROの後だけでなく、ニューヨーク3部作の頃にも
男性ファンが増えた一方で、女性ファンが流出したみたいだし
託すものが、それまで思っていたものと違ってしまったと
感じられた女性が多かったのかも知れませんね?
「どの時代でも、そのバンドが何を歌っていて
それがこういう風に変わって来て…みたいなことが
どれだけ見られるかなってことが面白いよね
この企画も基本的にはそういうことなんだよね」と話されてますが
そのバンドが今もまだ変わり続けていらっしゃるなんて
この当時には想像もつかなかったでしょうね?(笑)