ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

アテネのタイモン2

2018-01-20 19:44:00 | ライブ
こういう舞台の又聞きレポを書く時にいつも感じるのは
甲斐さんや甲斐バンドのライブなら
ボクも数は少ないながらも参戦したことがあるし
後からライブ映像を観ることも出来るので
奥さんの話から、ある程度は会場の様子などが思い浮かぶんだけど
観劇となると、学生時代の演劇部の出し物くらいしか記憶がなく…(苦笑)

自分でもハッキリとしたイメージが掴めないまま
つらつらと書いたものを理解して頂くために
皆さまにかなりの読解力を求めているんだろうなあ…ということです(汗)
…となると、今までの甲斐さんのライブレポも
「一度はライブに行ったことがある」方にしか判らないんじゃないかと…?(苦笑)

ともあれ…「ボクの奥さん」ブログなんで
奥さんが動けば、それを記すのが務め(笑)
という訳で、又聞き観劇の強い味方(笑)この公演のプログラムによると…

タイモン(のモデル?)という人は、アテネ屈指の裕福な貴族でありながら
他人に騙され、すっからかんになってしまった
「喜劇的な人」と認知されていたらしく
舞台にかけられる時も「喜劇」として上演されていたのを
シェイクスピアが「俺は悲劇を書いてみせる」とチャレンジしたそうです

友情の名の下、人々に莫大な富を惜しみなく与え
夜毎、豪勢な宴を繰り広げる内に、財産は底を尽き
それでも借金を重ねて、人々をもてなすことを止めないタイモン(吉田鋼太郎さん)

その富に群がる貴族、詩人、画家、宝石商などを冷ややかな目で見つめる
哲学者アペマンタス(藤原竜也さん)の毒舌満載の苦言や
主人の身を案じる忠実な執事フレヴィアス(横田栄司さん)の言葉にも
いざとなれば「友人たち」が自分を救ってくれると信じ、耳を貸そうともせず…

が、いざ破綻が訪れると、手を差しのべてくれる「友人」は1人もいなくて
タイモンは人々を憎み、館に火を放ち
森で世捨て人のように暮らすことに…
というのが第1幕のあらすじですが

「1人でも『つまらなかった』『難しかった』という方が
いないようにしたい」と吉田さん
「タイモンは『一番大事なのは友情だから
自分の金はみんなで使えばいい』と思っている神のような人
現実には『見返りがなくても大丈夫!』と言える人はいない
つまり、神はいない…ということになってしまうんだけど

タイモンの『言葉』が他人事に聞こえてる内は、観客には何も見えて来ない
だから『言葉』は大事
シェイクスピアの言葉を自分の言葉として喋ること
蜷川さんが晩年に口を酸っぱくしておっしゃっていたことです

今回の舞台には『言葉』が喋れる役者に集まって貰いました
この作品は論争シーンが多いから大きな声で喋らないといけない
だから、みんなの声が一番心配で…
でも、蜷川さんの稽古では常にそうだったし
それに耐えられなければ、シェイクスピアはやれない」と話されてますが

蜷川さんの「後継者」の方が選ばれた
蜷川さんの「申し子」…藤原さんは
この千秋楽の日、ノドを潰しておられたらしく(汗)
奥さんが、ソワレ(夜公演)もあるのに大丈夫なのかな?と心配していたら
苦しそうではいらしたものの
セリフが聞き取れないといったことは一切なかったそうで
やはり、基本が違うんでしょうね?

もっとも、奥さんは、若い頃の甲斐さんに似ておられる藤原さんが
ハスキーな声で囁くようにセリフを口にされる場面に
思わず鳥肌が立ったみたいだけど…(笑)

その藤原さんが「普段から、多くの先輩方に対して失礼なことばかりしてるので
このアペマンタスの役は、僕の性格にあってるかも…(笑)」と話され
吉田さんも「お酒を飲むと毒舌になる竜也にピッタリ(笑)」とコメントなさって
更に「稽古場に持って来るやる気とパワーに圧倒される
いてくれると心強い」と絶賛されてるんですが

かつて、藤原さんが免許を取得なさって、車で稽古場に通われていた頃
途中にある橋を渡る際に「車で川に転落して
蜷川さんに『あんなこと言ってゴメン!』と言わせたいって何度思ったことか(笑)」とおっしゃってました(笑)

でも、吉田さんによれば…
蜷川さんの現場は「歌舞伎の俳優さん達が稽古する時のように
蜷川組ならではの共通言語がある
だから薫陶を受けた俳優、スタッフはみんな特殊なんですよ
藤原くんなんか15歳から苦しめられているから
まだ35歳なのに、あのストイックさや悲劇的なニュアンスが出せる」らしい

また「シェイクスピア劇は、人としての経験値があるか?を試す
リトマス試験紙のようなもの」…と話されていて
じゃあ「生きざまが全部出る」ロック・ミュージシャンの方と同じように
ムダなこともいっぱいなさっているのかなあと…?

余談ですが…蜷川さんは、シェイクスピアの戯曲から台本を起こされる際
どの場面もセリフもカットなさることなく全て書き上げられ
稽古に入ってから、カットしたり、また復活させたりという
手法を取っておられたのに対し

「役者」としての立場から、吉田さんは最初に不必要な部分をカットされ
稽古場では、他のキャストの皆さんのセリフはあまり触らず(笑)
ご自身のセリフを「バサバサ切る」らしい(笑)
でも、それは演出家を兼任なさっていることと無関係ではないでしょうね

ちなみに、吉田さんは蜷川さんのように
「灰皿」をお投げになることはないみたいだけど(笑)
今回の舞台では、タイモン邸での豪勢な宴の席で
藤原さん演じる哲学者が、テーブルに置かれたパンを投げたり、ワインをぶちまけたり

また、タイモンが友人たちに裏切られたと椅子を投げ飛ばしたりと
大騒ぎになる場面があるらしく
稽古場では、吉田さんが率先して大暴れなさる上に
他のキャストの方にもお勧めになるので(笑)
「稽古場が『鋼太郎化』していた」んだとか…(笑)

そうそう!その食事のシーンでは
「最後の晩餐」の画よろしく横一列に並んで座った「友人たち」について
哲学者が皮肉な感想を洩らす際に
食事をする「友人たち」は、無言になり
スローモーションで演技を続けているそうで

奥さんは、ゆっくりとグラスを合わせて乾杯する動きに
髭男爵の「ルネッサ〜ンス!」を思い出してしまい(笑)
せっかく藤原さんが、タイモンと「友人たち」の関係を
観客に説明する役目を担っておられるのに
そのセリフが頭に入って来なかったらしい(苦笑)
コメント
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