ボクの奥さん

ボクの奥さんは、甲斐よしひろさんの大ファン。そんな彼女との生活をお話したいと思います。

アテネのタイモン1

2018-01-19 14:11:00 | ライブ
奥さんは、以前から吉田鋼太郎さんの舞台を観たい観たいと言いつつ
甲斐バンドツアーと日程が重なっていたりして、ナカナカ機会がなく

「ツインズ」で初めて「舞台役者」としての吉田さんを拝見し
古田新太さんとの共演に心躍らせたものの
やはり「シェイクスピア役者」としての吉田さんを観たいという気持ちは募るばかり…

今回は、次の甲斐さんのツアーまで
ぽっかりと空いた穴を埋めるかのように(笑)
「アテネのタイモン」の兵庫公演があり、やっと念願が叶いました♪

以前に奥さんが観に行った藤原竜也さんの「ハムレット」は
晩年の蜷川幸雄さんが演出されたものだったんだけど

この「アテネのタイモン」は、蜷川さん亡き後
彩の国シェイクスピア・シリーズの芸術監督に就任なさった吉田さんが
そのシリーズ再開にあたり、初めて手がけられた公演とあって

再開を待ちわびていらした方や、出演者の皆さんのファンの方はもちろん
吉田さんのメディア露出の増加によって注目度が高まり
チケットはかなりの争奪戦だったらしい(汗)

でも、10列目ど真ん中というナカナカの良席をゲットし
いざ会場に到着すると想像以上にステージが近くてビックリ!
甲斐さんのライブで言えば「5列目くらいの感覚♪」と奥さん

それもそのはず、ステージと最前列の間は
人ひとりが通るのがやっと…というほどの近さだったそうで
もし、このホールで甲斐さんのライブがあったら
最前列で立ち上がった時の距離感は「ビルボード並みじゃないか?」と…(笑)

ともあれ…開場前にプログラムの先行販売があり
甲斐時間がなくても(笑)開演までの30分間に戦闘準備が出来るだろう
…と思いきや、お手洗いへと続く行列がハンパなくて(苦笑)
開場から「1時間+α」に慣れた身(笑)には、結構慌ただしかったんだとか…

ただ、速やかに着席したおかげで、この舞台のオープニング…
開演前のステージに、衣装が掛けられた
キャスター付きのハンガーラックが数本、運び込まれたかと思ったら
スタッフらしき黒いTシャツ姿の方々とは
明らかに違う装いの方々が、ワラワラと登場され

発声練習やストレッチなどを始められたり
ハンガーから上着を取って羽織られたり
あちらこちらで短い会話を交わされたり…と
本来なら、楽屋や舞台袖で展開されるであろう光景…を見ることが出来て

「甲斐さん達もこんな感じなのかなあ?」などと
ちょっとお得な気分を味わったそうです(笑)

しかも、全ての客席が埋まった頃合いを見計らって?
吉田さんや藤原さんもステージに姿を現され
思わず目が吸い寄せられるような、そのオーラに驚いていると
ほどなくして、ポンと手を叩き「よし、行こうか!」という
吉田さんの一言で舞台が始まる演出だったんだとか…

ちなみに…埼玉公演では、藤原さんの衣装に付いているファーが
ちょうど「しっぽ」みたいに、キュートなヒップ辺りに垂れていたのを
横田栄司さんがイジられたり(笑)
身の置き所に困っておられるご様子の藤原さんに
吉田さんが「一回ハケるか?」と小声でお訊ねになったりしていたらしい(笑)

初日のカーテンコールでの吉田さんの第一声は「ただいま!」で
「蜷川さんも観てる…イヤ、監視してると思う(笑)」とおっしゃったのは
蜷川さんがいつも座っていらした席に遺影が置かれていたからみたいです

それはさておき…今回も奥さんは
あまり事前情報を入れずに観劇に臨んだんですが
後で知ったところによると、この「アテネのタイモン」は
シェイクスピア作品の中で、かなり異色な作品らしく

「ハムレット」なら「そこにいるのは誰だ?」と誰何の言葉から始まったり
「リチャード三世」では、いきなり「さあ、俺たちの不満の冬は終わった」という
「悪党宣言」があったり…といった
「ツカミはOK!」な出だしになっているのに

「アテネのタイモン」は「こんにちは」「お元気で何よりです」と
ごくごくフツーの会話から始まっているため(笑)
この画期的なオープニングになったようです

もっとも、この作品に関してはずっと
「未完成説」「合作説」「実験作説」
それに「『リア王』のスケッチ説」などが囁かれていたのが
近年では、トマス・ミドルトンとの「合作」というのが定説となっているみたいで
その共作者の「作劇法」や「会話」など新しいものを
シェイクスピアが取り込もうとした…とされてるらしい

吉田さんが「蜷川さんは、このシェイクスピア・シリーズの
曖昧かつ難解な作品ばかりを残して逝かれた(笑)」とおっしゃる通り

「構成が荒い」「登場人物に共感しにくい」
「主人公が途中でいなくなる」「結末がモヤモヤ」なこの戯曲は
本場イギリスでも「最も不人気」で「演出しにくい」との理由から
上演機会が極めて少ない作品だそうで

翻訳家の松岡和子さんによると…
例えば、去年、奥さんが映画で観た
小栗旬さん主演の「間違いの喜劇」みたいに
「舞台上の人物より観客の方が情報量が多い」作品だからこそ
カタルシスが得られるところが
この作品は「登場人物や状況について詳しいことが教えて貰えない」ために
「カタルシスがないように感じられる」んだとか…

ちなみに…「間違いの喜劇」は、幼い頃に離ればなれになった双子の兄弟
その片割れが、そうとは知らず兄弟の住む島に現れたことから
アンジャッシュのネタよろしく(笑)
違う方の兄弟を相手に怒ったり、頼み事や約束をしたりして
様々な騒動が起こる…といった内容らしい

でも「主人公の変貌の過程や死など幾つかの脱落がある」ということは
逆に言えば「演出の『しどころ』がいっぱいある」と吉田さん
「実際に演じてみないと判らないという点も含めて
シェイクスピアらしさが詰まっている」とおっしゃったのは
「瞬間、瞬間がカタルシス」と捉えることも出来るということでしょうね?

タイモンの執事役を務められた横田さんは
「鋼太郎さんの解説を聴くだけで、ご飯3杯はイケる(笑)」と話され

ご自身の「大切な旦那さま」というセリフは
「『大切な旦那さまー!』と感情をあらわに口にするより
『大切な旦那さま…』と心の声を届けるようにした方がいい」
…とアドバイスされたことを例に挙げておられたんだけど

キャストやスタッフの皆さんと飲みに行かれた際の
「鋼太郎さんの大盤振る舞いに
『旦那さま、旦那さま』と心配になります(笑)」とおっしゃってました(笑)

そうそう!この兵庫公演の会場に飾られていたお花を見たら
吉田さん、藤原さん、横田さんお三方それぞれに贈られたお花が
同じ「バー」から届いていたそうで
奥さんは「是非このバーに行ってみたい♪」と申しております(笑)
コメント
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