小鯖(こさば)師匠。
こうみえて、エクボが可愛い、バセンジーの小町姐さんの犬小屋で
惚れあった者同士、粋を極めて同棲中。
小鯖師匠は、下町かたぎの愛想よし。
みずくせぇ遠慮会釈なんざぁ、金輪際、うっちゃらかしときたもんだ。
どこにでもヒョコヒョコ顔を出し、若衆にも御隠居さんにもへだてなく、挨拶だけはきっちりと、律儀なもんで欠かしゃしねぃ。
ここんちの伝法なおかみさんが、色気のねぇ猫柵なんか構えてみたところで
っきしょ~、べらぼうめ!ってんで
あたりきしゃかりき乗っ超えて、平気のへいざでございやすって顔をしてやがんのさ。
小鯖師匠の切る啖呵は、聞いてて小気味のいいもんだ。
キャットフードなんてぇしゃらくせぇもんは、伊達モンの口にゃあ合わねぇってんで
活きのいい、羽ばたくカシワ肉待ち構えて、ガップリ喉っくびに喰いついたり
カミソリみてぇな砥ぎ爪で、チョロまかしい、長い尾っぽのボタン肉とっ捕まえてみたり。
てめぇの喰い扶持くれぇ、人様なんざ当てにしてられるかってんで
小腹がすいたら、とにかくしのごの並べてる暇がもったいねぃ。
こちとら、心意気は江戸前の猫ッパチ。
ミャアミャアごたく垂れるめぃに、チャッチャカチャッチャカ、てめぇの腕で、なんとかすらぁな。
おうよ。
おうよ。
あたぼうよ。
活きのワリィ喰いもんなんざ、こちとらハナっからお断りだね。
喰いモンってぇのは、こう~!カネオヘ湾からこっちの
新鮮ホヤホヤ、空をパタパタ飛ぶヤツでも、チュ~チュ~騒がしいヤツでも
目玉に艶があるうちに、おてんとさんに感謝しながら、がっついて腹いっぱいに詰め込むもんなんでぃ。
わりぃけど、狙いをハズしたこたぁねぃ。
狩りなんてもんは、朝飯めぇだってことよ。
てやんでぃ!べらぼうめ!
こちとら生粋の洒落モンよ。
義理人情欠いたら、猫の風上に立っちゃあいられねぃ。
ほいな。
おかみさん、おかみさん。
ここだけの話し、ホントは伝法だけど
色艶のいい色年増のおかみさん。
あ♪ヨイショっと♪
こいつぁチュ~公の、太腿んとこでさ。
おかみさんにゃぁ、いっつも世話んなってるからねぃ。
さ。
味が落ちねぃうちに、遠慮してねぃでやってくんな。
景気?
いいよこの頃は。
やっと持ち直してきたカンジだねぃ。
なんでぃなんでぃ。
催促しちまったみてぃじゃねぃか。
おかみさんがすすめてくれるってのに、断るなんて無粋なことできやしねぃ。
冷やでキュ~ッと、こいつぁとっときのマタタビ酒ときたもんだ。
カ~ッ!
いいね!
なんか、こう~。
下っぱらのほうから、火照ってきやがるぜぃ。
まっぴるまっから、色年増のおかみさん相手に、さしつさされつときたもんだ。
おいらはどうにも
果報な猫だね。
こりゃこりゃどうにも。
テンテケテン♪
おととととと。
駆けつけ三杯もう一杯。
ほいじゃあおかみさんにもご返杯。
おおお~。
おかみさん。
相変わらず、惚れ惚れするよな、いい呑みっぷりしてるでヤンスねぃ。
ぷは~っ!
アレだね。
極楽だねこりゃどうにも。
ちょいの間、おてんとさんにゃ片目瞑っててもらって
昼酒カッ喰らうたぁ、どこぞの御大尽みてぃな御身分ときたもんだ。
こいつぁまったく、おかみさん。
猫冥利に尽きるってもんだねぃ。
じゃ。
おいらはそろそろ行くかな。
今頃、エクボが可愛い小町姐さんが
犬小屋ん中で、焼き餅妬いて、餅みてぇにぷっくりほっぺた膨らましてる頃でさぁ。
こんちも、せいぜい、おごっつぉになりやした。
あらよっと!
御免なせぃよ!
ふぅ~。
いつもながら。
軽く酔いの回ってきたおかみさんの、あのねちっこい流し目ったら。
くわばらくわばら。
君子危うきに近寄らず。
なかなか昔の猫は、まっとうなこと言ってるじゃねぃか。
よっ。
小町娘の別嬪さん。
今けぇったぜぃ。
一人ポッチの留守居たぁ、どうにもカワイソなことさせちまった。
何だって?
おととい来やがれ、このトーヘンボク?
おいおいおい。
そこはこの、土産の煮干しで許してやってくんな。
小鯖師匠。
明日もあさってもその次も
景気はドンドコ、昇り坂だぜぃ!
こうみえて、エクボが可愛い、バセンジーの小町姐さんの犬小屋で
惚れあった者同士、粋を極めて同棲中。
小鯖師匠は、下町かたぎの愛想よし。
みずくせぇ遠慮会釈なんざぁ、金輪際、うっちゃらかしときたもんだ。
どこにでもヒョコヒョコ顔を出し、若衆にも御隠居さんにもへだてなく、挨拶だけはきっちりと、律儀なもんで欠かしゃしねぃ。
ここんちの伝法なおかみさんが、色気のねぇ猫柵なんか構えてみたところで
っきしょ~、べらぼうめ!ってんで
あたりきしゃかりき乗っ超えて、平気のへいざでございやすって顔をしてやがんのさ。
小鯖師匠の切る啖呵は、聞いてて小気味のいいもんだ。
キャットフードなんてぇしゃらくせぇもんは、伊達モンの口にゃあ合わねぇってんで
活きのいい、羽ばたくカシワ肉待ち構えて、ガップリ喉っくびに喰いついたり
カミソリみてぇな砥ぎ爪で、チョロまかしい、長い尾っぽのボタン肉とっ捕まえてみたり。
てめぇの喰い扶持くれぇ、人様なんざ当てにしてられるかってんで
小腹がすいたら、とにかくしのごの並べてる暇がもったいねぃ。
こちとら、心意気は江戸前の猫ッパチ。
ミャアミャアごたく垂れるめぃに、チャッチャカチャッチャカ、てめぇの腕で、なんとかすらぁな。
おうよ。
おうよ。
あたぼうよ。
活きのワリィ喰いもんなんざ、こちとらハナっからお断りだね。
喰いモンってぇのは、こう~!カネオヘ湾からこっちの
新鮮ホヤホヤ、空をパタパタ飛ぶヤツでも、チュ~チュ~騒がしいヤツでも
目玉に艶があるうちに、おてんとさんに感謝しながら、がっついて腹いっぱいに詰め込むもんなんでぃ。
わりぃけど、狙いをハズしたこたぁねぃ。
狩りなんてもんは、朝飯めぇだってことよ。
てやんでぃ!べらぼうめ!
こちとら生粋の洒落モンよ。
義理人情欠いたら、猫の風上に立っちゃあいられねぃ。
ほいな。
おかみさん、おかみさん。
ここだけの話し、ホントは伝法だけど
色艶のいい色年増のおかみさん。
あ♪ヨイショっと♪
こいつぁチュ~公の、太腿んとこでさ。
おかみさんにゃぁ、いっつも世話んなってるからねぃ。
さ。
味が落ちねぃうちに、遠慮してねぃでやってくんな。
景気?
いいよこの頃は。
やっと持ち直してきたカンジだねぃ。
なんでぃなんでぃ。
催促しちまったみてぃじゃねぃか。
おかみさんがすすめてくれるってのに、断るなんて無粋なことできやしねぃ。
冷やでキュ~ッと、こいつぁとっときのマタタビ酒ときたもんだ。
カ~ッ!
いいね!
なんか、こう~。
下っぱらのほうから、火照ってきやがるぜぃ。
まっぴるまっから、色年増のおかみさん相手に、さしつさされつときたもんだ。
おいらはどうにも
果報な猫だね。
こりゃこりゃどうにも。
テンテケテン♪
おととととと。
駆けつけ三杯もう一杯。
ほいじゃあおかみさんにもご返杯。
おおお~。
おかみさん。
相変わらず、惚れ惚れするよな、いい呑みっぷりしてるでヤンスねぃ。
ぷは~っ!
アレだね。
極楽だねこりゃどうにも。
ちょいの間、おてんとさんにゃ片目瞑っててもらって
昼酒カッ喰らうたぁ、どこぞの御大尽みてぃな御身分ときたもんだ。
こいつぁまったく、おかみさん。
猫冥利に尽きるってもんだねぃ。
じゃ。
おいらはそろそろ行くかな。
今頃、エクボが可愛い小町姐さんが
犬小屋ん中で、焼き餅妬いて、餅みてぇにぷっくりほっぺた膨らましてる頃でさぁ。
こんちも、せいぜい、おごっつぉになりやした。
あらよっと!
御免なせぃよ!
ふぅ~。
いつもながら。
軽く酔いの回ってきたおかみさんの、あのねちっこい流し目ったら。
くわばらくわばら。
君子危うきに近寄らず。
なかなか昔の猫は、まっとうなこと言ってるじゃねぃか。
よっ。
小町娘の別嬪さん。
今けぇったぜぃ。
一人ポッチの留守居たぁ、どうにもカワイソなことさせちまった。
何だって?
おととい来やがれ、このトーヘンボク?
おいおいおい。
そこはこの、土産の煮干しで許してやってくんな。
小鯖師匠。
明日もあさってもその次も
景気はドンドコ、昇り坂だぜぃ!