嵯峨御流には荘厳華、生花、盛花、瓶花という伝承花のほかに
それらの様式を発展化し現代生活にマッチさせた「祈り花」「才の花」「想い花」からなる心粧華があります。
その中でも想い花はさまざまな制約がなく、自由な発想でいけることができます。
それぞれの植物の固有の美しさを生かしつつ
いける者のこころに映じた想いを花を通じていけ表します。
先日県北の朝市で売られていたフォックスフェイス
どちらかといえばこういう造形的な花材を用いておはなをいけるのは苦手です。
手にとってしばらくどうしようかと迷っていたら
どこからかコンコンコン♪きつねさんの持って帰ってという声が聴こえてきて…(笑)
きつねといって真っ先に思い浮かぶのは新美 南吉のごんぎつねのお話
そして黒井 健さんの絵で描かれた絵本です。
表紙に描かれている光景を思い浮かべながら
ごんが届けた栗も添えて…
フォクスフェイス
ススキ
メリケンカルカヤ
エノコログサ
栗
古来より霊峰として日本を象徴する富士山、
その神聖で荘厳な形象や思いを華に託していけます。
富士山も眺める時季によってもさまざまに変化し
また場所によっても遠望すれば高さを感じ、
近いとその山はゆるやかでありなばらもその雄大な広さを感じます。
結婚して初めて住んだ静岡のアパートの4F
毎朝東の窓の開けるとど~んとあらわれるその姿にいつもはっとさせられていました。
伊吹を用いて私の心浮かぶ富士の姿にすこしでも近づけるよう一生懸命いけてみました。
この寸渡は実家から持って帰りました。
裾野の広がる草原をイメージしてこの花器にいけてみましたが
ここに描かれている花は何でしょうか。
抽象化した花なのかもしれませんが気になってしかたありません。
文人華とは江戸時代後期のなって発展した文人画の風格ある趣を
画風と同じような気持ちでいけばなの手法で表現します。
中国の故事や漢詩を「雅題」にちなんで清雅、簡素いけ表すことがよしとされています。
花屋さんに行くと赤く色づいた実をつけた大好きなノイバラがありました。
菊も花びらがやや細めで繊細な趣のものがあったので
この2種で「黄花朱実」という雅題の文人華をいけることにしました。
菊は齢草という異名があり長寿を祝う花として古来より品格ある花されていました。
また黄色は五行思想の「土」を表す色とされ五行の中央にあり、
中央を治める君子の色として尊ばれていたそうです。
またバラは中国では四季を通して花咲かせる
(そう!四季咲き性のバラの原点は中国にあります)ことから祝意があります。
また朱実は草木の赤い実を指しており
赤は五行思想では夏
植物が繁茂し栄えるとされています。
このおめでたい2種を用いて活けた花
もちろんこんな説明がましいことを花も人も語るわけはありませんが
そういう意味合いをなんとなく心に留めて眺めると
花の味わい方にも深みを感じるように思います。
野を歩いているとカラスウリの赤い実が目に止まります。
葉はもうこの時季色あせています。
アケビの蔓をやとい葉にして活けてみました。
ここ数年園芸店ではまず売られていないような野草にも
花としての魅力を感じるようになりました。
このナギナタコウジュもそのひとつ
今年は庭にこぼれ種がたくさん発芽しました。
花穂が顔のぞかせるまではいたって平凡な姿
葉が持つ独特な香りがなかったなら雑草として抜いてしまっていたでしょう
骨董市で見つけた器
ひびがはいっているもののその風合いとちょっとおしゃれな文字が気に入ってます
素朴な花と器
いけばなともアレンジメントといいがたいものだけど
お部屋にあって心なごむのはあんがいこんな花かも…
ナギナタコウジュ
テイカカズラ
ボタンヅル
ツリバナ
いただいたカラハナソウを掛け花に
水揚げ方法がわからずとりあえず切り口をたたいてしばらく深水につけておきましたが
3日ほどは綺麗な状態で楽しむことができました。
4日めには全体が萎れるというよりカラカラに乾燥してきました。
でもドライになっても綺麗なのでしばらくはこのままにいて眺めていようと思ってます。