こだわり米専門店スズノブ 西島 豊造(五ツ星お米マイスター)の豊かに造ろう

様々な現実を見つめらがらも、日々を前向きに考えて進んでゆくためのブログです

何のために、そこまでして・・・

2009年09月15日 00時10分57秒 | Weblog
知り合いから「何故そんなになってまで、ブランド化をしなければならないのか」という、自分を気遣ったメールが届いた。

「何故」と言われても、うまく言葉にはできない。

NPOでもない。それを仕事にしているわけでもない。そんなことをする義務もない。所詮自分は「たかが米屋」。
本来なら、その程度の自分が、産地のブランド化を進めていくなんて、場違い。お門違い。

それでも・・・
周りから何と言われようが・・・・
自分は、自分が持っている知識の全てを使って、ブランド化をし続けてきた。

ただ言えることは、本当に自分がやりたかった仕事は環境保全。
その中でも、自然と野生と人間が共存できる世界が作りたかった。
しかし、違う世界に行ってしまった自分は、それを直接することが出来ない。
だから自分は、今自分がいる世界で、自分がやりたかった仕事をやろうとしていることは事実である。

今の農業は、表面的には綺麗で良い言葉を並べているが、明らかに自然を無視して、自然に戦いを挑んで、無理やり押さえつけてはいないだろうか。

一つの例として、無農薬が自然に良いことは当たり前のことである。
なら、いますぐ全てを無農薬にすることが良いのだろうか。
全て無農薬にすれば、水の中に生態系を取り戻せば、地上を飛び交う生き物を増やせば、ここまで破壊をし続け、傷つけてしまった自然は、許してくれるのだろうか。
そんなことがあるはずがないことは、自然の恵みの中で農業を続ける人なら、当然判ることであろう。
そして今、自然から復讐されているということも、判っているのではないだろうか。

水田では以前、無農薬米を作るために、日本にいるはずかないジャンボタニシを外国から持ち込んだ、愚かな人がいた。
その結果、日本の水田は、その地域の生態系は、どうなってしまったかは、誰もが知っている事実。
ジャンボタニシの繁殖力は凄まじく、在来種は次々と淘汰されて消えていき、その結果、ジャンボタニシが埋め尽くした水田には、生き物の音も声も無くなり、風だけの音が響く、死滅した世界が残されていた。
自然を、生態系を無視した、自分勝手な考え方か招いた無音の世界。
水田の歴史の中で、一生消せない最大の汚点だろう。

一度持ち込んでしまった生き物は、間違ったといっても無くす事は出来ない。
もし無くしてしまうとしたら、それはジャンボタニシを、自分の都合で持ち込んできて、今度は邪魔だという理由で殺すことになるのだ。
生き物を自分の都合で殺す。それは立派な破壊なのだ。

復讐を始めた自然は、多分もう許すことはないだろう。
でも許してもらわなければ、次の時代は来ない。
だから自分は、自分の世界で、ブランド化という、産地や地域をや環境を守る方法で、自然に頭を下げるしかないとは思っている。

「何故」という問いの答えにはなっていないと思うが、こんな言い方しか、やっぱり出来ない。
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