我が家のお雛様飾りです。
じ~っと眺めて、なにごとか思案にふけるももちゃん。
「あれっ?この珍妙なオネエちゃんたちのグループは何だ?」
「ねえ、そんなに澄まして何しているの?
ねえねえ、なにか美味しいものでも隠しているの?」
今年こそはお雛様を出して飾ろうと思っていました。
しかし物置から埃まみれの段ボールを運び出し、七段のステージを拵え、説明書を見ながら人形や道具の位置を確認しながら仕上げる作業は、以前なら心浮き立つひとときでした。
今はどう考えても億劫です。
我が家には、もう嫁入り前の娘はいないし.........あっ、一匹いた!
永遠の処女のまま婆さんになってしまった哀れなももちゃん。
ももちゃんには申し訳なかったけれど、結局、手作りの縫いぐるみやドール、友人から頂いたミニお雛様を飾って、我が家の大切な未婚娘の無病息災をお祈りすることにしました。
和紙人形雛の色紙は、10年ほど前にHUZUさんから頂いたものです。
おそらく製作した本人も忘れているのではないでしょうか?
子どもの頃の我が家のお雛様は、今時なら大変珍しい『翁雛』でした。
腰の曲がった共白髪のお爺さんとお婆さんの側に、鶴と亀とが侍っている祝い雛だったと記憶しています。
ひな祭りの時期になると、必ずこの地味なお雛様が出現するのですが、昔話から抜け出たような翁と媼の張り付いた笑顔が、子供心にも不気味で泣きそうになりました。
この怖い幼児体験が、きらびやかで愛らしいお人形に憧れる私の性癖を育てたのだと思いますが、その肝心のお雛様もここ数年は出番なしです。
『お雛様って、いつまで飾らなければならないのだろう?』
以前から疑問に思っていましたが、やっと数日前に答えが出ました。
テレビに登場した民俗学者が言うことには、その家の女の子が嫁いだ後は、もう飾らなくてもよいそうです。
もちろん飾ってもなんら問題はありませんが、女の子の嫁入りとともに雛人形のお役目は、無事終了するとのことでした。
お人形たちを暗闇の中で放置したままでいることがとても気になっていたので、ホッと胸をなで下ろしています。
お雛様たち、先ずは引退後しばらくの間は、どうかゆっくりお休みください。