遺骨が含まれる土砂を埋め立てに使うことは「遺族への冒涜(ぼうとく)だ」と迫りました。

2024-06-19 19:44:38 | しらなかった

2024年6月19日(水)

遺骨土砂 使用断念を

辺野古埋め立て巡り市民ら

写真

(写真)防衛省の職員(手前)の前に遺骨土砂を置き、その土砂を使うなと求める具志堅隆松さん(左端)。隣は、赤嶺政賢衆院議員=18日、衆院第1議員会館

 沖縄戦の犠牲者の遺骨が眠る本島南部の土砂を、政府が米軍辺野古新基地建設の埋め立て土砂に使おうとしている問題で、市民らは18日、その土砂の使用の断念を政府に求めました。遺骨が含まれる土砂を埋め立てに使うことは「遺族への冒涜(ぼうとく)だ」と迫りました。防衛省は同地域を調達先から外すとは言いませんでした。

 防衛省の調達計画では、同県内の採掘可能な土砂の約7割が本島南部となっています。

 この日、沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表や遺族ら約120人が衆院第1議員会館に集まり、防衛省と内閣府、警察庁に要請しました。要請では、岸田文雄首相が沖縄全戦没者追悼式(23日)に参加するのであれば、▽追悼式までに南部土砂の使用を断念すると表明する▽または、追悼式で県民や遺族に対して断念を表明する―ことなどを求めました。

 要請では、出席した各省庁の職員が座る長机の上に、南部の遺骨土砂が置かれました。具志堅さんは、小石ほどの大きさで周りの土と同じ色をしている遺骨を手に持ち、土と見分けることが容易ではないと説明。「遺骨だと気付かないまま、埋め立てに持っていかれてしまう」と強調しました。

 防衛省の職員は、「土砂の調達先は決まっていない」「適切に事業を進めたい」と答えました。遺骨土砂の問題を「真摯(しんし)に受け止める」と述べた防衛省職員に対し、参加者は「ならば南部を調達先から外すのは当然だ」と反論。遺骨土砂を使うことが「適切」なのかを問われても、防衛省の回答はありませんでした。

 要請には、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員や、ほかの野党議員も参加しました。

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18日~19日に予定されているロシアのウラジーミル・プーチン大統領の北朝鮮訪問の歴史的・戦略的・情勢的意味を読み解くキーワードは「9カ月」と「24年」だ。

2024-06-18 20:02:48 | 朝鮮を知ろう。
 

朝ロ首脳会談、

「有事の際の自動軍事介入」復活するかが最大の関心事(1)

登録:2024-06-18 06:15 修正:2024-06-18 10:47
 
プーチン大統領の24年ぶりの訪朝の意味 
朝ロ首脳、9カ月ぶりに再び会談 
ウクライナ戦争の渦中で、朝ロの密着が急速に進む
 
 
昨年9月、ロシア・アムール州のボストーチヌイ宇宙基地で会った北朝鮮の金正恩国務委員長(右から2番目)とロシアのウラジーミル・プーチン大統領(左から2番目)/タス・聯合ニュース

 18日~19日に予定されているロシアのウラジーミル・プーチン大統領の北朝鮮訪問の歴史的・戦略的・情勢的意味を読み解くキーワードは「9カ月」と「24年」だ。

 まず、昨年9月13日、ロシア・アムール州のボストーチヌイ宇宙基地で金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長と会ってから9カ月ぶりの首脳会談だ。ロシアとウクライナ戦争の渦中に進んだ朝ロ密着の強さと趨勢を示している。

 24年ぶりの訪朝という事実はさらに重要だ。プーチン大統領はロシア連邦第2代大統領に正式に就任(2000年5月7日)して2カ月後の2000年7月19~20日に訪朝した。1922年のソビエト社会主義共和国連邦(ソ連)建国以来、北朝鮮の地を踏んだ唯一無二の旧ソ連・ロシアの最高指導者だ。少なくとも北朝鮮にとってプーチン大統領の24年ぶりの訪朝は「歴史的」なものにならざるを得ない。

 「9カ月ぶりの会談」に込められた情勢対応、「24年ぶりの訪朝」の歴史的・戦略的布石の交差点から導き出される朝ロ首脳会談の結果は、朝ロ関係の行方はもちろん、北東アジア情勢とグローバルな国際政治に重大な含意を持つ。

■ 朝ロ関係の再設定

 最大の関心事は、金正恩委員長とプーチン大統領が2国間関係をどのように再設定するかだ。2000年2月19日に採択した朝ロ「親善・善隣・協調条約」(新条約)を改正するかどうか、するならどのように変えるかに関心が集まっている。北朝鮮のチェ・ソンヒ外相は1月にモスクワでプーチン大統領への表敬訪問と外相会談を行ってから帰国した直後、北朝鮮官営の「労働新聞」に掲載された「公報」で、朝ロ関係を「新たな法律的基礎」の上に築くことで「満足のいく合意」をしたと発表した。したがって「双務関係全般の基本法的文書」である「新条約」を改正する可能性もある。

 韓ロ関係のような「戦略的協力パートナー関係」のレベルに合わせるのか、「有事の際の自動軍事介入」の義務を復活させ冷戦期の同盟関係を復元するのかをめぐり、様々な予測が飛び交っている。朝ロは旧ソ連時代の1961年7月6日に結んだ「友好・協調・互援助条約」(61年条約)では「自動介入」と「核の傘」が第1条と第2条に明示されたが、新条約ではいずれも除外された。「自動介入」条項の存廃をめぐる朝ロの対立で、条約満了期限の1996年に条約延長が中断されたためだ。新条約の全文は公開されなかったが、新条約の採択から5カ月後の2000年7月、プーチン大統領の訪朝時に発表した「朝ロ共同宣言」は第2条で、「協議と相互協力が必要な場合、直ちに互いに接触」すると明示した。「自動介入」が「直ちに接触」へと弱まったのだ。

 ところが、チャン・ホジン国家安保室長は16日の放送でのインタビューで、プーチン大統領の訪朝を控えて「『一定の線を越えるな』という警告を込めて意思疎通を(ロシア側と)行った」と述べており、韓国政府高官は「同盟に似た条約になるかもしれない」と語った。「自動介入」が含まれた同盟条約に改正される可能性があるという話だ。

 だが、多数の元高官や専門家たちは「自動介入」条項が含まれた同盟条約が結ばれる可能性は低いとみている。「ロシアの対外戦略と国家利益に合致しない」ということだ。実際、プーチン大統領は5日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムの開幕記者会見で「韓国政府との協議で、ロシアに対するいかなる嫌悪的態度も見られなかった。朝鮮半島全体と関連し、両国関係の発展に関心がある」と述べた。韓国とも北朝鮮とも関係発展を追求したいという意味だ。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の懸念とは裏腹に、北朝鮮も「自動介入」条項の復元を望んでいないという指摘もある。国家情報院の北朝鮮情報分析局長を務めたチャン・ヨンソク・ソウル大学統一平和研究院客員研究委員は、「自動介入条項の復元は、北朝鮮がロシアに軍事的に従属するという意味だが、『核武力の強化で戦争を抑止できるようになった』と人民に宣伝してきた金正恩委員長の選択肢になるとは考えにくい」と語った。

■ 朝ロ協力の拡大

 朝ロは昨年9月の首脳会談以後、経済、議会、外交、政党、地方政府、農業、文化、教育、保健、林業、青年、情報分野などの高官級の相互訪問を通じて協力を模索してきた。プーチン大統領の訪朝を機に、様々な分野の協力文書が発表される可能性がある。

 中でも軍事協力の内容が、南北ロ関係においてもっとも敏感な問題だ。朝ロの軍事協力は、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議違反であるだけでなく、韓ロ関係に否定的な影響を及ぼす。ただし、ロシアが北朝鮮に攻撃用兵器を提供し、核・ミサイル関連の先端軍事技術を支援するのは韓ロ関係の「レッドライン」(禁止線)を越えるものであり、実行可能性は高くないというのが大方の専門家たちの見解だ。外交安保分野の高官は「ロシアは旧ソ連時代にも北朝鮮に先端戦略軍事技術・兵器を提供したことがない」と語った。チャン・ホジン国家安保室長も4月27日の放送でのインタビューで、「懸念の均衡」という表現で、韓ロいずれも相手の「レッドライン」を意識していることをほのめかした。

 そのため、経済分野ではロシアがより協調的な姿勢を見せる可能性が高い。エネルギー不足が深刻な北朝鮮に天然ガス・原油を提供したり、人材不足である極東地方の開発に北朝鮮の労働者を使ったりする案だ。いずれも国連の対北朝鮮制裁の対象だが、制裁の境界線すれすれの協力を模索する可能性がある。朝ロは昨年9月の首脳会談後、沿海州政府代表団の訪朝(2023年12月、2024年3月)と羅津・先鋒市の人民委員会代表団の沿海州訪問(5月12~18日)などで国境地域の協力を模索してきた。

(2に続く)

 

朝ロ首脳会談、

「有事の際の自動軍事介入」復活するかが最大の関心事(2)

登録:2024-06-18 06:11 修正:2024-06-18 11:01

 

プーチン大統領の24年ぶりの訪朝の意味 
朝ロ首脳、9カ月ぶりに再び会談 
ウクライナ戦争の渦中、朝ロの密着急速に進む
 
 
5月16日に北京を訪問したロシアのウラジーミル・プーチン大統領が中国の習近平国家主席と共に儀仗隊を査閲する姿=ロシア大統領室提供//ハンギョレ新聞社

 

■「北朝鮮の核」問題への対応は

 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、昨年9月の北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長との首脳会談の際、非核化に触れることも、北朝鮮の核を容認するような発言もしなかった。ただし、3月13日の大統領選挙直前、自国メディアとの会見で「北朝鮮に核の傘を提供する用意があるか」という質問に、「朝鮮民主主義人民共和国は独自の核の傘を持っている。彼らはわれわれに何も要請していない」と答えた。公の場で北朝鮮を「核保有国」として認める初の発言だという分析が多かったが、「核の傘」を提供するつもりはないという意味ともとれる発言だ。

 「北朝鮮の核」問題に関するプーチン大統領のより直接的・公式的な態度は、5月16日に中国の習近平国家主席と北京での首脳会談後に発表した共同声明に、「米国とその同盟国による朝鮮半島の緊張を高める動きに反対」すると共に「北朝鮮と関連国家の交渉過程再開の要求」を明示することで明らかになった。核をめぐり「交渉はない」という金正恩委員長に「交渉の再開」を求めたのだ。ある外交筋は「ロシア側の関係者は『朝鮮半島の非核化はロシアの揺るぎない路線』だとし、『北朝鮮との関係強化を核武装への賛成と取り違ってはならない』という話をよく聞く」と伝えた。核をめぐる朝ロ首脳の協議が公開されるかどうか、見守る必要がある。

 
 
中国の吉林省防川の龍湖楼から眺めた豆満江の下流。遠く「朝ロ友好橋」(鉄橋)の向こうが東海に出る豆満江下流だが、中国は法的権限を行使できない朝ロ国境が東海まで15~17キロメートル=イ・ジェフン記者//ハンギョレ新聞社

■ 朝中ロ、豆満江河口をめぐる協力は

 金委員長とプーチン大統領が、中国との関係設定、すなわち朝中ロ3カ国の協力問題に関してどんな話を交わすかも関心事だ。これに先立ち、プーチン大統領は5月に習近平主席とともに発表した共同声明で、「双方は豆満江(トゥマンガン)下流を航行する中国船舶問題と関連し、朝鮮民主主義人民共和国と建設的な対話を行うことにした」と明らかにした。

 中国は北朝鮮と鴨緑江(アムノッカン)と豆満江を挟んで1334キロメートルに及ぶ長い国境を接しているが、東海(トンヘ)に流れる豆満江下流15~17キロメートル区間は、中国に法的権限のない朝ロの国境だ。中国が1860年の北京条約で帝政ロシアに60万平方キロメートルに及ぶ沿海州を奪われたためだ。中国は「借港出海」、すなわち港を借りて海に出る戦略を掲げているが、これまで東海に行く航路を開けていないのは朝ロの「非協力」のためだということを示している。中国が東海港を確保できるかどうかが、朝中ロ3カ国協力を計る試金石の一つに挙げられてきたのもそのためだ。今回の朝ロ会談で、中ロ会談での共同声明につながる「豆満江河口をめぐる3カ国協力案」が出るかを見守る必要がある。

 ただし、金委員長とプーチン大統領が中国との「3カ国協力」に速度を上げようとしない可能性もある。金委員長は朝中国交正常化75周年を迎え、1月1日に習近平主席とともに「朝中親善の年」を自ら宣言したが、最近の朝中関係には「異常兆候」が見られる。北朝鮮が今年5月27日にソウルで開かれた韓中日3カ国首脳会議の共同宣言に対し、「乱暴な内政干渉」と非難する外務省報道官談話を発表したことや、プーチン大統領の訪朝時期に中国がソウルで韓国と次官級外交安保対話をすることがそれに当たる。

 プーチン大統領が習近平主席と北京で会談を行った後、ベラルーシ(5月23~24日)→ウズベキスタン(26~28日)→北朝鮮(6月18~19日)→ベトナム(19~20日)を回りながら連続で二国間首脳会談を行うことについて、専門家たちは「従属傾向の強い対中国関係においてバランスを取ろうとする戦略的動き」であり、「北東アジアとインド太平洋地域で戦略的空間を確保しようとする試み」だとみている。北朝鮮、中国、ロシアの3カ国の思惑は依然として複雑だ。

イ・ジェフン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
 
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中国政府の反応は非常に敏感だった。台湾問題に対しては「一つの中国原則に反して中国の内政に乱暴に干渉し、悪意的に攻撃」したと批判し、「南シナ海当事者でもない韓米日政府が域内の国家間の・・・

2024-06-17 21:50:00 | 沖縄に米軍基地も自衛隊の基地もいらない
 

まだ道のりは長い韓中協力【寄稿】

登録:2024-06-17 09:44 修正:2024-06-17 13:37

 

中国側の関係者は、「韓米同盟を強固にして米政府の強力な支援を確保すれば、中国との交渉に有利な立場を占めることができる」という韓国の一部の保守層の思惑に対しても大いに否定的だ。米国に対する過度な依存と連帯が、韓国に資産ではなく負債となって返ってくるかもしれないという話だ。 

ムン・ジョンイン|延世大学名誉教授
 
尹錫悦大統領が先月26日、ソウル龍山の大統領室で開かれた韓中首脳会談で、中国の李強首相と握手を交わした後、席を勧めている/聯合ニュース

 5月26日、4年半ぶりに再開された韓中日3カ国首脳会議に対する中国側の期待は、非常に大きいようにみえた。首脳会合が3カ国間の協力を深め、関係改善を図ることができるという希望に加え、中国をけん制する韓米日3カ国の協力の強度を和らげる機会も設けられるという計算のためだ。

 実際、会談を前後して、中国メディアからは韓中関係改善に対する希望混じりの論評が少なからず出た。チョ・テヨル韓国外交部長官が訪中の間に見せた柔軟な態度が注目を集めたかと思えば、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領と李強首相の首脳会談で合意した韓中自由貿易協定の2段階進入協議、13年ぶりに韓中投資協力委員会の再開合意、サプライチェーン問題に対する両国間での調整・協議体構築、外務次官および国防部局長級の2プラス2会議設置合意といった具体的な成果に対しても、異口同音にポジティブな意味を付与した。中国メディアとしては珍しい「高い評価」だ。

 しかし先週、北京現地で筆者が会った中国側当局者と朝鮮半島の専門家らの本音は全く違った。一言で「まだ道のりは長い」ということだ。彼らは大きく次のような4つのポイントを取り上げた。

 何よりも、中国の核心利益を刺激しながら北京との実質的な協力を期待するなということだ。韓中日首脳会議が終わるやいなやシンガポールで開かれたシャングリラ会合(アジア安全保障会議)に参加したシン・ウォンシク国防部長官は、米日の国防長官と共に「インド太平洋地域で(中国の)一方的な現状変更の試みに強く反対」すると同時に、南シナ海での中国の「不法領有権主張」を批判し、「両岸問題の平和的解決」を求める共同声明を採択した。これに加えて韓米日3カ国は今夏から共同軍事演習を開催することで合意した。

 中国政府の反応は非常に敏感だった。台湾問題に対しては「一つの中国原則に反して中国の内政に乱暴に干渉し、悪意的に攻撃」したと批判し、「南シナ海当事者でもない韓米日政府が域内の国家間の海上問題に介入してはならない」と釘を刺した。これは、主権と領土問題という中国の核心利益を阻害するなら他の分野の協力は難しくなり、韓中関係全般が破局に向かう可能性があるということを強く示唆するものだった。韓国としては負担とならざるを得ない部分だ。

 中国側の関係者らは、口をそろえて「韓米同盟は韓国の主権的権限であるため、中国側があれこれ言う権限はない」という点を明確に認めた。そのうえで、北朝鮮の脅威を口実に中国に対する軍事的けん制や封鎖を正当化するのは容認できないという言葉も忘れず添えた。例えば、THAADの追加配備や、米国の中距離弾道ミサイルの朝鮮半島での前進配備、台湾海峡と南シナ海一帯で中国を対象に行う軍事行動に韓国軍が参加するなどの場合、北京はこれを敵視行動とみなし、相応の措置を取ることになるという警告もあった。「相応の措置」の具体的な内容は言及しなかったが、THAAD対立当時の経済的報復を越える物理的な報復措置が伴う可能性もあるという蓋然性を暗示したりもした。

 また、中国側の関係者は、「韓米同盟を強固にして米政府の強力な支援を確保すれば、中国との交渉に有利な立場を占めることができる」という韓国の一部の保守層の思惑に対しても大いに否定的だ。米国に対する過度な依存と連帯が、韓国に資産ではなく負債として戻ってくることもありうるという話だ。現在の中国を1990年代の中国のように思い違えるな、という忠告も相次いで聞いた。米国でさえ中国を思い通りに動かすことはできない現実を考れば、米国の力を借りて迂回的に中国に圧力をかけるというのは時代錯誤的な発想だということだ。

 中国は伝統的に朝鮮半島の平和の安定と非核化、対話と外交による懸案の妥結を叫んできたが、最近の朝鮮半島の軍事的緊張の高まりに対しては傍観者的な態度を示してきた。筆者がこのような消極的な姿勢を批判したところ、北京の人々は以前と変わらない反応を示した。中国政府はすでに双中断(北朝鮮の核・ミサイル実験と韓米軍事演習の同時中止)、双軌並行(朝鮮半島の非核化と平和体制樹立の同時並行)、同時行動原則といった南北および米国が受け入れられる解決策を提示するなど十分に行なったが、韓米がこれを拒否し一方的な対北朝鮮強硬政策に出ているので、中国としても代案がない、ということだ。

 韓中日首脳会議と韓中対話の再開にもかかわらず、このように中国側の関係者らの本音は依然として国内外の期待とはかけ離れていた。韓中関係の将来がいまだに暗く見えるのはそのような理由からだ。原則に対する強調、韓米同盟の強化、そして韓米日3カ国の協力体制を深めることは必要だが、韓中の懸案を解決する解決策にはなりえない。国益と実用の観点から、韓中関係に対する本質的な見直しが急がれる。

ムン・ジョンイン|延世大学名誉教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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 型式認証制度は、新車の販売に際して安全・環境性能と品質の均一性について国土交通省の審査を受ける制度です。審査に合格して型式を指定されると1台ずつの検査を省いて同じ型式の車を大量生産・販売できます。

2024-06-16 19:48:53 | いったいどうしていたのか?

2024年6月16日(日)

トヨタの認証不正

問われるコストカットの体質

 国民は安心して車に乗っていられるのか。自動車の安全・環境性能と大手メーカーの経営姿勢に疑問符が付く重大事態です。自動車の型式認証をめぐり、トヨタ自動車、マツダ、ヤマハ発動機、本田技研工業、スズキのメーカー5社38車種で不正が発覚しました。

 型式認証制度は、新車の販売に際して安全・環境性能と品質の均一性について国土交通省の審査を受ける制度です。審査に合格して型式を指定されると1台ずつの検査を省いて同じ型式の車を大量生産・販売できます。

 ところが、トヨタは生産中の3車種の歩行者保護試験で虚偽データを提出するなど、6種類の不正を行っていました。マツダは生産中の2車種の出力試験でエンジン制御ソフトを書き換えていました。消費者の信頼を裏切り、認証制度の信用を揺るがす行為です。

■会見での開き直り

 深刻なのは、メーカー幹部らが「より厳しい試験をしている」と開き直ったことです。特にトヨタの豊田章男会長が記者会見で「本来よりも重い厳しい試験をやった」(3日)と主張した影響は大きく、問題は認証制度にあるかのような論調が広がっています。

 しかしトヨタ幹部らの言い分をうのみにはできません。法定の試験方法を厳格に守らなかったこと自体が問題です。そのうえ認証試験は市場に出すのと同じ完成車で行う原則なのに、トヨタは完成車試験を省き、開発段階の試験データを無断で提出していたことが判明しています。

■完成車試験を省略

 トヨタの不正6種類のうち5種類が開発試験データの流用でした。開発完了後の実車試験省略によるコストカットを常態化させている疑いがあります。

 昨年4月に発覚したトヨタの完全子会社ダイハツの認証不正も、トヨタの不正と同根です。ダイハツが設置した第三者委員会の調査報告書は、トヨタの子会社になって以降に強まった「短期開発」が不正の背景にあると指摘。「短期開発を促進するために開発段階の試験データを可能な限り認証申請用にも利用する取り組みが行われてからは、開発評価の試験と認証試験の区別が厳格ではなくなり、認証制度や認証試験の重要性の認識が不十分となった」と分析しています。

 経営幹部の多くをトヨタ出身者が占めるダイハツの安全性能担当部署(衝突試験関係)の人員数は2022年に2010年比33%へ激減しました。トヨタ本体の不正が判明したいま、問われるべきは利益を最優先するトヨタの体質です。

 日本の認証制度は国連自動車基準調和世界フォーラムが定める基準に基づきます。日独仏など61カ国・1地域が多国間協定を結び、国連基準に基づく認証の相互承認を行っています。日本の型式指定を取得すると、多くの国で試験を経ずに車を販売できます。国際展開する自動車メーカーは認証制度への不満を述べる前に、経営姿勢を安全最優先へ改めるべきです。

 同時に、不正を見抜けなかった国の責任も問われます。2016年の三菱自動車燃費不正以降も不正が繰り返されています。検査のあり方を抜本的に見直し、体制を強化するべきです。

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イタリアのミラノ裁判所がディオール・イタリア支社のカバン製造業者ディオールSRLに対して「司法行政予防措置」を命令し、1年間業者を監督する「司法行政官」を任命したと報じた。

2024-06-15 20:18:09 | しらなかった
 

労働搾取の産物「ディオールバック」…

原価53ユーロを2600ユーロで販売

登録:2024-06-14 19:12 修正:2024-06-14 22:46
 
24時間稼動の作業場で徹夜・休日勤務 
作業速度を上げるために機械の安全装置を外し 
イタリアの裁判所、1年間会社を監督下に
 
 
3日、スコットランドのクリーフにあるドラムモンド城で開かれた2025年ディオール・クルーズ・ファッションショーで、モデルがディオールのバッグを持っている/AFP・聯合ニュース

 クリスチャン・ディオールのブランドバッグが下請け業者の労働搾取を通じて作られていたことが明らかになった。下請け業者の労働搾取を調査する過程で、2600ユーロのバッグの原価が53ユーロに過ぎないことが明らかになった。

 ブルームバーグは10日(現地時間)、イタリアのミラノ裁判所がディオール・イタリア支社のカバン製造業者ディオールSRLに対して「司法行政予防措置」を命令し、1年間業者を監督する「司法行政官」を任命したと報じた。ディオールSRLは、中国の下請け業者の労働搾取を放置・助長した疑いを受けている。イタリアの裁判所は、特定会社が下請け会社を含む第3者の不法事業行為を通じて利益を得た場合、判事によって一時的に管理下に置くことができる。

 ロイター通信が12日公開した34ページにわたる判決文によれば、ディオールSRLは「下請け業者の実際の勤務条件を確認するための適切な措置を採択せず、数年間にわたり下請け業者に対する周期的な監査を進行しなかった」と記されている。

 判決文には、ディオールのバッグを作る下請け業者4カ所の労働実態調査結果も含まれていた。下請け業者は不法滞在者を雇用し、労働契約書をきちんと書いていない労働者もいることが明らかになった。労働者たちは生産ラインを24時間稼動しなければならないという理由で作業場で寝なければならなかった。また、電力の使用内訳を調査した結果、労働者は徹夜勤務や休日勤務など長時間労働を続けてきた。その上、作業速度を高めるために機械から安全装置を除去したりもした。

 裁判所は判決文でモデルコード「PO312YKY」のバッグを例に挙げ、下請け企業らはこのような過程を通じて費用を節減し、ディオールSRLに53ユーロ(約9千円)でカバンを供給できたと指摘した。ディオールはこのカバンを自社の売場で原価の約49倍に達する2600ユーロ(約43万円)で販売した。

 裁判所は判決文で「検察はイタリアのファッション企業の間で(このような)規定違反が単発性で現れるのではなく、利益追求のために体系的で固着化された方式で進行していると主張した」と書いた。4月にもジョルジオ・アルマーニがディオールSRLと同じ処分を受けている。

チョン・ボンビ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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