◇「ホーム桃太郎」第3果が開花して
支柱を立てて3週間。木も大分大きくなって、大体1mを超えました。
となりの柿の枝が日陰を作り邪魔になっていますが、昨年はあまり生ら
なくて今年は生理落下も終わって大分実が大きくなってきたので柿もな
いがしろにできないし、狭い畑はこうした苦労があります。
伸びたトマトが柿の枝と接触しかかっている
樹高120センチくらい
第2果が大きくなって
第3果の花が咲いた
(以上この項終わり)
◇ 『怪物』
著者:東山彰良 2022.1 新潮社 刊
2015年直木賞を得た『流』の続編ともいうべき作品。
作者はまえがきともいうべきページでこの物語は私の夢である。夢の中で掴
んだ真実をこの物語に織り込んだ。読者はこれからいわばネタバレ小説を読ま
されるというのである。
前作『流』では作者である自分と従兄(王誠毅)と二叔父さん(王康平)の物語
だった。本書でもその内容が10年前に作者が書いた『怪物』作品の土台として
登場する。当時『流』で語り手であった青年(わたし=薄秋生)は10年後には
47歳の作家大先生(柏山康平)である。
『怪物』が英訳され国際文学賞最終候補に残ったことから、柏山康平先生は台湾
に招かれてサイン会に臨むが、担当編集者の植草に煽られて『怪物』の改訂に取
り掛かろうと意気込む。
柏山康平はサイン会で通訳担当の椎葉リサと妙に共振し合い男女の仲になる。
リサは人妻だった。
『怪物』の主人公二叔父の人生は殆ど彼自身の語りに依存していたが、果たし
て彼の自殺は本当だったのか。真相解明に向けて従兄の王誠毅や二叔父(作中鹿
康平)と一緒に台湾空軍偵察機に乗っていたという藤崎徹治の娘琴里の登場、藤
崎との面談など関係者の証言によって徐々に事の真相が明らかになってくる。こ
うして読者は柏山康平先生の夢の中に引きずり込まれ真実らしい物語に出会うこ
とになる。
作中毛沢東の愚かな大躍進政策下で農作を捨て鉄作りに追い立てられる人民の
悲惨な姿や撃墜された偵察機から九死に一生を得た二叔父の逃避行の過程が圧巻
である。鹿康平はどうやって民兵軍団の首魁蘇大方に取り入ったのか。
二叔父さんは蘇大方の200人爆殺という謀略をぶちこわし蘇も撃ち殺した。
こうして香港経由台湾への帰国を果たすという、二叔父の名誉回復ともいうべき
筋で『怪物』の改訂版、文庫版化がまとまった。
柏山先生はロンドン空港で偶然刑務所から出所したリサの元夫西峰と出会う。
出所後西峰とリサは離婚し、彼女はニュージランドで再婚し子供も生まれたとい
うことだった。
日本への航空機内でリサに夢を見た。彼女は自由を求め空を舞っていた。夢か
ら覚めたとき彼の頬を涙が伝わっていた。
(以上この項終わり)