◇ 明治時代の洋画・木版画の大家吉田博
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我が水彩画クラブの総会は2月。新型コロの際限ないまんえん防止期間のさ中、 総会が開
かれ、その後は自由制作ということで、かねて気になっていた明治から昭和にかけて活躍し
た西洋画・木版画の大家画家の吉田ふじをは博の妻である。
この原画は1896年(明治29年)の作品で、34.4×51.6㎝とあるので凡そf8の大きさである。
(以上この項終わり)
◇ 『R.P.G.』
著者:宮部 みゆき 2001.8 集英社 刊
R.P.G.とは ロール・プレイイング・ゲームの略である。
つまり、役割実演法。実際の場面を想定し、様々な役割を演じさせて、
問題の解決法を会得させる学習法とされる。
この作品では作中ネット上で知り合った他人同士が父・母・姉・弟の役
割を演じて、疑似家庭を営んでいる(家族ごっこ)うちに、父親役の人物
が刺殺されたことによって疑似家庭内の様相が暗転する。この父親役の男
性を巡る別の殺人事件との関連が重視され、関係者に執拗な事情聴取が行
われる。宮部みゆきの別の作品に登場する刑事がここにも登場し(『模倣
犯』の武上刑事、『クロスファイアー』の石津刑事)名推理、取調べで鮮
やかな手口で事実解明を展開する。
今から20年前、すでにネット社会を舞台に様々な犯罪やトラブルが問
題視されていた。ネット社会の匿名性が生み出す無責任な誹謗中傷やなり
すまし、ストーキングなどが犯罪の温床となっていて、作者はこうしたネ
ット社会が生み出した新しい人的交流の危うさに着目しミステリー作品を
作り上げた。
とりわけ父親役のリアルな家庭での一人娘一美という16歳の高校生が
実に見事な存在感をもって事件をかき回す。現代の年頃の女性の感性や心
裡と表現方法、家庭内での自己の存在に対する不安感、家族や社会への痛
烈な批判精神などを的確にとらえて、ストーリー展開に生かしている。作
者の作家としての高い能力が遺憾なく発揮されていると言ってよい。
犯人特定の結果と経緯はミステリーとしての意外性があると言えばそう
だがやや無理筋といえなくもない。
(以上この項終わり)
◇『海に消えた神々』
著者: 今野 敏 2005.3 双葉社 刊
これまでに読んだ今野敏の作品とは印象が違う。やや異色の長編サスペンス。
古代史をさかのぼる紀元前1万2千年の超古代文明の世界が背景にある。
沖縄列島にムー大陸があったという説を主張する地質学者仲里昇一が自殺した。
海底の鍾乳洞に発見された古代文明の痕跡を捏造したという記事が発端で自殺し
たと報じられた。
この自殺説に不審を抱いた高校生園田圭介から「仲里教授の無念を晴らしてほ
しい」という依頼を受けた元警官の探偵石神達彦が沖縄の現地で真相解明に取り
組むというのが大筋である。
また石塚の口を借りて政治家、学者、新聞記者などに対し歯切れよく小気味よ
い批判をしていて共感の拍手を送りたい。
ムー大陸を巡る諸説、沖縄ムー大陸説、沖縄陸橋説、邪馬台国沖縄説、沖縄の
ニライ・カナイ信仰、沖縄・南西諸島のトラフ海底火山活動によるムー大陸沈降
説など興味は津々と尽きない。
石神が調査の過程で必要になったスキューバダイビングの体験と海中世界もリ
アルに紹介される。
海底に鍾乳洞があった。鍾乳洞は地上のもので海底に生まれるはずはなく、彗
星か隕石の衝突で海底に沈んだに違いない。
仲里麻由美という仲里教授の娘、探偵事務所の助手明智大五郎がアクセントに
なる存在。
警察組織の上層部がどこかからの要請で事件捜査をうやむやにする。よくある
話だが、今回もその匂いが濃厚になったところで仲里教授の遺跡捏造をチクった
洞窟調査同行のダイバーが事故死したという事実が出て事態が複雑化する。
石神に張り付けられた志喜屋という刑事が鍾乳洞に潜って帰って来た石神に濡れ
た海水パンツを見て言うシーン。
「おい、シートを海水で汚すな」
「心配するな、新聞紙でも下に敷くよ」
私ならこう書くかもしれない。「心配するな、沖縄の海水だ」
この本ではサスペンスという本道よりも超古代文明史と海底遺跡のロマンに浸
った方が良いかもしれない。
(以上この項終わり)
◇ 発芽まで1ケ月~1年という難物
昨年12月クリスマスプレゼントに「ソダテマス」という盆栽キットを貰った。
種類としては「黒松」、「山桜」、「もみじ」と3種類あって、「山桜」の場合
時期によっては発芽まで1ケ月~1年かかるいう代物。
冬を越すという疑似体験をさせるために3か月も冷蔵庫に入れて待った。
そして3月、ひな祭りを期して種蒔き。
まず枡に付属の培養土を入れ、50ccほどの水を加えて苗床を作ります。
冷蔵庫から出した桜の種は、40℃のぬるま湯の入れて1昼夜浸しました。
十分に水を含んだかどうかやや不安ですがこれを蒔きます。
鉛筆のお尻で1.5センチほどの深さまで穴を作って、種を蒔きます。
種を蒔いた穴は周りの土を被せて湿度を保つためにラップをかけました。
この状態で直射日光は避け、明るい場所に置きます。
発芽の適温は15~20℃ありました。
この状態で測ったら20.7℃ありました。
あとは土の表面が乾かないようにしながら発芽を待ちます。
発芽が待ち遠しい毎日となるでしょう。(1年かかったりして(泣))
もちろん花が咲くのはさらに4~5年かかります。
花見の宴は盛大にやりましょう。
(以上この項終わり)
◇ おずおずと顔を見せたるフキノトウ
例年2月中旬頃に顔を出していたフキノトウ、今年はどういう加減か今頃になって
ようやく顔を見せた。3月に雪が降ることもあのだが、もう大丈夫と思ったのか、
コロナ変異株でみんな右往左往しているので気兼ねしたのか。
吾輩が名付けて「春告げ株」。フキノトウが顔を出せば間違いなく春到来である。
明日はフキ味噌を作り酒を酌み、春の香りを満喫しよう。
コロナ禍も どこ吹く風と フキノトウ
(以上この項終わり)