読書・水彩画

明け暮れる読書と水彩画の日々

ジェフリー・ディーヴァー作「ウォッチメーカー」

2009年06月29日 | 読書

ウォッチメーカー」原題:The Cold Moon)
 Jeffry Deaver著 池田真紀子訳 株式会社 文藝春秋 2007.10刊

 ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズ第7作目。J・ディーヴァーお得意の二転
 ・三転どんでん返しが立て続けに起こり、ページターンナーの面目躍如たる作品。

  ご存知ライムは元NY市警科学検査部長。現場鑑識中に事故に遇い、脊椎損
 傷を受け四肢麻痺となる。識見を買われ市警顧問として難事件の捜査指揮に
 当たっている。
  公私ともパートナーとなって活躍するのがアメリア・サックス。そのほか介護士のトム、
 刑事ロン・セリッター、メル・クーパー、フレッド・デルレイ、ロナルド・プラスキーなど個性的なメンバ
 ーがチームを組んで活躍するが、犯罪現場の「微細物的証拠」の鑑別がライムと
 サックスの真骨頂。最近はロナルド・プラスキーもルーキーながらめきめき腕を上げてい
 る。
  そんな最中、ウォッチメーカーなる連続殺人犯が登場、先々7件もの殺人を予告し
 て来た。新任刑事となったサックスはこの事件のほか別の事件も抱え、存在感を
 示そうと張り切るが、捜査先で不審な殺人話を聞き、ウォッチメーカー事件との奇妙
 な符合に気がつく。ここいらから次第に話が混迷してくる。実はNY市警118分
 署に汚職警官グループがあって証拠隠滅のために殺し屋まで雇って・・・グループ
 はかなり上部の人間まで取り込まれているようだ。ライムの捜査チームにも?
  
  J・ディーヴァーの代表作「悪魔の涙」では筆跡鑑定・文書検査士という職種の
 パーカー・キンケイドが活躍するが、本書では「Kinesics Analisit」キネシクスという専門
 職が登場する。証人や容疑者のボディランゲージや言葉遣いを観察・分析し、真
 実を解明していく。嘘発見器と異なり、性格・生育環境までも挙措言動から読
 みといてしまうというのだ。
 
  二転三転どんでん返しの詳細は語るのを差し控えるが、ストーリーが息つく暇
 もなく展開するので、なるべく休日前夜以外は夜寝る前には読まないほうが
 いい。止められなくなるから。

  J・ディーヴァーの最新作は「Sleeping Doll」本作品に登場したキネシクスの
 キャサリン・ダイムが主人公となる。

          

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