今日の「赤旗」で、不破哲三さんの「古典教室第一巻『賃金、価格および利潤』『経済学批判・序言』(マルクス)」の本についての対談が掲載されています。
不破哲三さんと石川康宏さん(神戸女子大学教授)さん、山口富夫さん(党社会科学研究所副所長)の対談です。
私は、最近の不破哲三さんの本の特徴ですが、時代背景・歴史をヨーロッパだけでなく日本も含めて科学的社会主義の立場から学べるということです。一般の歴史書と合わせて読むには絶好の書です。
特に、日本共産党の戦前の分析とたたかいの方針の意味に注目していましたが、不破哲三さんは「日本の戦前のマルクス主義研究は、スターリン以前の国際的なマルクス主義研究を吸収しながら自主的に発展したのです。」と述べています。現在まで続くどんな権力や権威にも左右されず、国民の立場でがんばる一貫した歴史的姿勢がわかります。
それと、一般的な解説ではなく、マルクスの文章そのものを読みながら解説するという方法です。私は、それにつられて、マルクスの手紙のやりとりなども読み始めましたが、その時代のマルクスと対面しているような不思議な気持ちになりました。
もう一つは、日本社会の現状と発展方向を示した綱領の根底にマルクスの実践と理論の創造的な発展があるということです。
マルクス自身、革命の方法については時代の発展の中で、フランス革命型かたら多数者革命論への発展しているのですが、日本は歴史発展の典型だと言うこと、現代での社会変革の決め手は、膨大なマスコミや官僚機構を従える「大企業・財界は労働者よりはるかに組織され、階級的意識をもっいる」意識の問題であり、原発ゼロや地球温暖化など現実の中で国民自身が運動の広がりの中で変化と力を持ってくるということでしょう。
今回改めて思ったのは、マルクスは書斎での理論家ではなく、現実に労働組合運動や住民の闘いの戦闘にたつ革命家であったということです。
「賃金、価格および利潤」はまさに、当時の世界の労働運動家に向け、現実的なたたかいの方向を示す上での実践的な資本主義の仕組みを語ったものです。
そして、不破哲三さんは紙面で、現在の労働者の状態が続くとこれが当たり前、「労働力の価値そのものに響いてくる危険さえ感じます。」「いわば国民的な生活水準を決める闘争という覚悟でたたかわなければいけない。」とブラック企業問題など、運動の歴史的意義も示しています。