消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

そもそも救急車必要なのか?

2011-10-19 23:11:20 | 救急隊の本音
今日はお休み。先週からずっと仕事・訓練・その他の用事と何かしらあったわけですが、今日は久々の丸一日オフ。

嫁も仕事で子どもたちも保育園。疲れの溜まった身体を休めることに専念することにし、接骨院へ行き治療がてら身体をほぐしてもらい、少し昼寝をして疲れを取りました。

保育園へはお昼寝(子どもの)が終わった頃を見計らってお迎えに行く予定でいましたが、次男が少々体調を崩してお迎えコールが来まして、当初の予定よりも早いお迎えとなりました。

じんましんが出たのですが、皮膚科に行って薬をもらって。熱もないし元気には過ごしています。


さて本題に入りまして、『救急車必要?』のお話。

少し前の救急事案のお話、学校での生徒同士のケンカにより負傷者が出たとの内容。正門前に案内ありとのことでした。

直近の私達の部隊が出場したので、5分ほどで到着。現場付近に着くなり案内に出た先生が開口一番

『サイレン止めて下さい!』との強い口調。

緊急走行ですのでそれは無理です!毅然と返し、傷病者のいる保健室へと行きました。そこには傷病者と、先生が数人いる状況。ケガ自体は大したことが無いように見え、歩行も可能。

車内収容し負傷場所の確認とバイタルサインの測定。特に異常な数値も認めず痛い場所こそあれば受け答えもしっかりしている。緊急を要すような感じではありませんでした。


傷病者と先生から状況を聞き、一応加害による事故ですので警察を間に挟みますか?との問いにもそこまでは大げさにしたくない…と先生。

じゃあその後に何か問題起きた場合、学校の責任で呼ばなかったと言うことでよろしいですか?との問いにもそれは困ると。押し問答の末結局警察への連絡はこちらからはしないことになり、先生1人同乗してもらって病院へ行くことに。

ここでも誰が乗って行くのかで話し合いが始まってしまい、なかなか現場を出発できませんでした。


そして病院へ搬送中、後ろの患者室から走行中の様子をみていた先生。やはりなかなか道を譲らない車もあり、それにやや怒っている様子。

『なんでサイレン鳴らしてるのに避けないんですかね!』と。

その日は患者室に乗っていた私。今の車は防音もわりとしっかりしており、窓閉め切ってちょっと大きい音でオーディオかけてればなかなか聞こえにくいものであると言うこと。そして市民のモラルの低下も正直ありますよと。道を譲らないのもそうですが、自分たちで連れて行けるのにわざわざ救急車呼んだり、緊急の要ないのに、救急車じゃなくても良いのに救急車呼んだりとするんです、と。

最後に、先生がそう思われたのなら、自身で運転している時に救急車の接近に気づいたらすぐに道を譲って下さいね。ギリギリまで譲らないと言うことのないようにお願いしますねと言ってみました。


病院に着いて初診時の診断は打撲。軽症でした。


前々から記事でも書いており、その都度訴えかけているのですが、傷病者自身が意識清明で歩行可能。すぐ近くに病院もあり、連れて行けるであろう先生も何人もいて。どうしてそこで救急車となるのでしょうか?

道を譲らない車に対して先生は怒っていたけど、そもそもこの事案は救急車でなくたって良かった話。現場付近に着いて近寄ってくるなりサイレン止めろ!のようなことを言われ、警察を挟むかどうかの事にも、話を大きくしたくなく面倒なことになりたくない、言い方悪いが保身に走っているのが見え見え。正直カチンと来る事案でした。

救急車を何だと思ってるんだ!とこっちが怒りたくなるような事案でした。救急車内で携帯いじって談笑してる風景にとても救急車で病院に行かなくてはいけないような感じには見えません。


業務や授業があって忙しいと言うのはどうも嘘くさくて言い訳にしか聞こえず。忙しいなら保健室にそんなに集まれないでしょうよ。


救急車さえ呼べば責任取った、そんな考え方は好かないですね。その間に本当に救急車を必要とする人がいたらどうするんだろう。

仮にその事案で、搬送中に事故を目撃して、その現場には道路上に倒れて動けない人がいたとする。それを見てどう思うだろうか。

少しは考えてほしいですね。先生たちで病院に連れて行ったっていいんじゃない?反対に、連れていかない、いけない。その理由は何なのだろうか。疑問が残ります。


学校に関係する事案(私が出場したのではなく、報道で知ったこと)をもう一つ、後日改めて書こうと思っています。

色々あって大変なのも分かるしお世話になることもあるだろうからあまり文句は言いたくないですが、もうちょっとしっかりしてよって注文をつけたくなるような事案のお話でした。


明日は仕事です。

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4 コメント

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Unknown (ミツ)
2011-10-21 22:35:18
突然すいません!今日姉が救急車で運ばれた時の事なんですけど。症状は腹痛と下からの出血でした。それでちょうど一緒にいた妹が病院に連れて行こうとしたけど自力て行くには少し辛いじょうたい普通に病院に行けたとしても間違いなくすぐには見てもらえないだろうと思い困った妹が取った行動が病院に電話でも119でもありませんでした!直接地元の消防署に電話でした(^-^;そして、症状と状況を言って救急車を呼んでいいものかどうしたらいいか相談したそうです…そしたら親切に「すぐに救急車を向かわせます!」って言ってくれたそうです。そうゆう相談を消防署に相談するのってどっちかってゆうとありですか?なしですか?(^^ゞ 救急車が来て姉が歩けるからと自分で歩いて乗ると言ったけど隊員の人がお腹の辺りを触ると固くて結構出血しているかもと…動かない方がいいと言う事になり(ストレッチャー?)で運ばれたそうです。隊員の人でもそうゆうの分かるもんなんですね?感心しました(^-^)

その連絡を受けて僕が帰っていると救急車が進めなくて止まってました…まさかと思い救急車に書かれている文字を見ると地元の消防署の救急車姉が乗っている救急車でした…信号が赤で右折左折直進二車線全部車でうまっていて反対車線も植え込みの小さい木があって行けないじょうたいでした…譲らない?譲れない?どちらかはわからないけど結局青になるまで進めないじょうたいでした…僕は丁度反対車線の向かい側で信号に止まっていて一部始終を見ていてなんとも言えない気持ちになりました…

結局姉はそのまま入院となりました…


救急車をタクシーのかわりに使ったり道を譲らなかったり色々考えさせられた1日でした…。


長々とごめんなさいm(__)m
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ミツさんへ (ムサシ)
2011-10-22 23:28:49
火災の通報や救急車の要請で一般的に使われるのは119番、これで消防側がその事実を知る(覚知と言います)一番多い手段です。

圧倒的に多い119番ですが、その他の覚知の手段として今回妹さんが取られた方法の消防署の一般電話番号にかける加入電話での通報、消防署に直接来て知らせる駆け付け通報、職員が自身で現認する自己覚知と言う方法があります。

一般電話からの通報も時々ですがあります。最初は救急相談のような電話で、そのまま病院を案内することで終わることもありますが、その時電話を取った職員の対応によりけりで状況を聞き、救急車を向かわせるか判断することもあります。

救急車をお願いしますと言うことならば原則断らずに向かわせることをします。


救急隊員は医師ではありませんし、救急車にある資器材も観察やバイタルサインを測定する、応急処置をするぐらいの程度の物しかありません。

必要に応じて視診や聴診、打診や触診をして症状から疑われる病態を推測し、それに見合った病院を選定して搬送します。ただ、前述したとおり医師ではありませんので症状を確定することはありません。

例えばの話ですが、心疾患が強く疑われる場合には傷病者自身が歩けると言っても、救急隊としては歩かせるようなことはしません。お姉さんのことに関しても、その時の救急隊が歩かせない方が良いと判断されたのではないでしょうか。


サイレンを鳴らし赤色回転灯をつければ緊急走行となり、赤信号を通過したり反対車線に出ての走行が可能となるなど様々な免除規定がありますが、どうしても進めなくなるときもあります。

中央分離帯のある道路ですと避ける場所が無くなりますし、前車との距離を詰めて止まっていれば避けれないなんてこともあります。青になるまで動けないなんてこともよくあります。無理に動かして事故を招くわけにもいきません。

極力避けるようにはしていますが、時に踏み切りを超えないといけないこともあります。しかし、タイミング悪く遮断機が下りている時はどうしても進むことはできません。

避けられるのに避けないのはもう論外だとして、避ける場所がなく仕方なく…と言うこともあり得ます。


私はお姉さんのその事案に関しては、タクシー代わりだとは思わないですよ。救急車は必要だと思えば遠慮なく読んで頂いて構いませんが、とりあえず救急車呼んでおこう…では困るのです。

診察の結果が入院の必要が無く軽症であったとしてもそれはあくまでも結果論です。軽症だったから不適切な利用と言うのではなく、何で今になって救急車?ですとか、すぐそこに病院があって連れて行ける人がいてどうして(自分たちで)連れて行こうとしないで救急隊に丸投げしちゃうの?とか。

自分で病院へ連絡を取って診察OKとの回答をもらって、自分または家族等運転できる人がいる中でどうしてその車で行かないの?と言う人が多いのです。

今までもそんな救急車の使い方はどうなの?と投げかけていますが、今後も同様の事案があれば投げかけ、少しでも現実を知ってもらえたらと思っています。


こちらこそ長々と失礼しました。
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ご苦労様です (新米)
2011-10-30 09:56:48
自分は明日から消防学校の救急科に入校が決まってる者です。いつもブログを拝見させてもらい勉強させてもらっています。
自分はタンク車の機関員を今はメインで行っています。タンク車は大きくて目立つのでわりかし道を譲ってくれる気がします。たまにとんでもない人もいますが。
救急車は沢山の問題を抱えていますよね。自分もその一員になれるよう頑張りたいです。
一つ質問があります。救命士の方でいろいろ考えがあると思いますし、やり方も人それぞれだと思いますが、救命士が求めている標準課程の救急隊員とはどんな隊員ですか?
もしよろしければ教えてください。
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新米さんへ (ムサシ)
2011-10-30 20:29:05
初めまして、コメントありがとうございます。
明日入校されること、今頃準備に追われている頃でしょうか?

火災や救助事故に比べたら字のごとく桁違いに出場が多い救急。でも、その中に真に緊急を要し救急車を必要とするのって、10あったら1か2ぐらい。3つはまぁ救急車も仕方ないよな。残りの5つは自分たちで病院に連れていったり、今病院に行かなければいけませんか?と思えるようなものです。(私の経験上)

私も救急隊員になりまだ日が浅く、10年やってようやく1人前と言われる中での、やっと半分になろうかと言うぐらい。今年度末で救命士研修所の入校資格を満たします。


以前一緒に勤務した上司がおっしゃってましたが、救命士だからと言って特別なことは無い。CPAじゃなければ救命士だろうが標準課程の隊員だろうがやること、やれることは同じだと。

ただ、救命士が特定行為を行うにあたり、その補助ができると隊としてのレベルはあがるんじゃないかと思います。

私も救急隊になりたては何もできませんでしたが、上司の指導の下輸液ラインの作成やLT(ラリンゲアルチューブ)の準備、気管挿管の準備や補助をできるまでになりました。手順こそ覚えましたが、手際はまだまだ悪く、もっと頑張らなければとは思っています。


最初こそ何もできませんでしたが、やっぱり経験がモノを言ってくるのかなと思います。勉強もそうですが、場数を踏むことによって症状や観察、バイタルサインから病態が読めて来たりするのかな、とも。

私も最近になって、ようやく点が線になってきたかなと言う感じがしています。面白くなってきた、そんな感じがしますね

明日から、頑張って下さい
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