消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

ついてこないで

2014-12-01 22:49:22 | 救急隊の本音
今日はお休み。午前中は雨、午後からはやんできましたがどんより空は変わらず。気づけば12月になっており、2014年も残すところあと1ヶ月となりました。

連休明け後の勤務も相当忙しく、寝れたのはトータル1時間も無く。日曜日でしたので、買い物行ってお昼を外で食べたのですが、途中かなり眠たくてキツかったです


今日は先日あった救急のお話。

とあるショッピングモールからの救急要請。子どもがけいれんしているとの内容で出場。

救急隊到着時は既にけいれんは治まっておりましたが、まだボーっとしているような状況。身体も少し熱いかな?と思うぐらいでしたが、熱測ってみたら39℃。

熱性けいれんだったのかなー…と。けいれんは治まっていましたが、病院搬送することになりました。


お母さんと子どもだけ救急車に乗り、お父さんとお姉ちゃん(だったのかな)は後から車で病院に向かうことに。救急車内収容してバイタル測定、病院選定している間に停めた救急車の脇にお父さんは車を持ってきていました。

受け入れ先の病院もすんなり決まり、病院搬送開始。行く病院をお父さんに告げて救急車を発進させましたが、その後ろをピッタリくっついてくる。

緊急走行ですので、避けてくれた車の間を抜けて走ったり、対向車線に出て走ったりしますが、それでもピッタリ後ろをくっついてくる。

緊急走行中の車の後ろをついてくるのは非常に危険ですし、反対車線にはみ出したり赤信号を超えたりすれば交通違反となります。

ミラー越しにそれが確認できたので隊長に後ろ付いてくる旨を伝えて車両を停めて、絶対についてこないように強く言いました。

その事案はその後、ついてくることはありませんでしたが。


片側2車線の道路において、左右に分かれて進路を譲ってもらう。

救急車はその間を抜けて走って行きますが、それに便乗してくっついてくるのもいる。(特にバイクが多いかな)

救急車が通り抜けた道路は普通の道路ですから、別に便乗して間を抜ける分にはすぐに交通違反とはなりません。赤信号無視したとかなら別ですが。

しかし、緊急車両は交通の流れに逆らって走っている分、事故のリスクも高くなります。当然、急ブレーキ踏んだりすることもあるし、緊急車両の接近に気付かずに突っ込んできたりする車もある。

便乗して走ることによって事故のリスクは高まるし、そこで事故が起きたらたとえ緊急車両が巻き込まれていなくとも一旦停めて事故状況を確認しに行かなきゃならない。

そうなると当然活動に支障が出るし、何よりもマナーと言うか、人としてどうか?と。

緊急を要す車のために道を開けてくれたものを便乗して渋滞を抜けて行く。緊急走行する立場としては非常に迷惑極まりない話なのです。

気づいた時点でマイクでやめるよう注意しますが、場合によっては事故を回避するために緊急走行をやめることもあります。

それが1分1秒を争う超緊急時だとしても、事故を起こすリスクには代えられないのです。


家族等が後ろからついてくる、心配なのは分かります。
(すぐ後ろついてこれる車があるなら、最初からその車で行ったって良いんじゃない?と言いたくなることも多々ありますが、とりあえずそこは置いといて)

だけど、その行動が自分も、他の人も事故に巻き込むリスクがある。そんな時、きちんと責任取れますか?

滅多にあることじゃないし、非日常なことが起こっているので心は穏やかでは無いと思いますが、そんな時でも慌てず落ちついて、きちんと信号とかも守って病院に向かって下さい。

決して便乗して緊急車両の後ろをくっついてきたり、反対車線にはみ出したり赤信号を無視することのないようにお願いしたいと思います。


明日は仕事。

消防隊の若い隊員が救急に乗る、イレギュラーな1当直。

事務仕事も報告書も溜まってますので、少しでも片付けられたら良いなと思います

救急車…?

2014-09-26 23:27:28 | 救急隊の本音
前回の当番は8件、またまた2ケタ以下の出場で終わりました。

比較的仮眠も長く取れた方ではあるんですが、家に帰ってからはやっぱり眠たかったので寝てしまいました。長い時間寝れたとしても熟睡はできてないんだなって実感する非番の日です。


今日はタイトルにもある『救急車…?』な事案のお話を。

幼稚園ぐらいの子どもの発熱。主訴はそれだけでけいれんがあったとか、意識状態が悪いとかは無し。

熱測ったところ確かにあるけど、高熱と言うぐらいのレベルではありませんでした。

抱きかかえにて車内収容しようとしたんですが、救急車が来たことに近所の人が心配になったのか近くまで来る。で、それを親が大丈夫ですよーって説明しておりなかなか救急車に乗らない。

さすがにしびれを切らして早く乗るように促したんですが、その間子どもは機嫌もよく近所の人に手を振り笑える元気はありました。


聞けば数日前から熱があり、薬を飲ませていたけど下がる気配が無いとのことで救急要請に至ったもの。

お薬手帳など飲んでいた薬が分かる物を持ってきてもらうようお願いしましたが、持ってきたのは薬そのもの。処方された分を飲み切っておらずに、熱が下がってないから、と。

その時間帯は平日の昼間でありまだ近所の病院、クリニックもやっている。まずは、その病院などに自分で連れて行くことは考えなかったのか?

せめて薬を飲み切っても症状改善せず、意識の状態が良くないだとか、食事水分もほとんど取れずならまだ分からなくもない。でも最初に熱出したときにはちゃんと連れて行けてるのだし、その時点で子どもは熱が多少あるが元気はあるのだし、まずはかかりつけの病院にかかるべきでは?処方されてる薬もきちんと飲ませるべきだと思いますし。

熱が下がらない以上また病院に行って診察してもらう必要はあるとしても、わざわざ救急車で行くような緊急性は無いでしょう?

近所の人と話し込んじゃって救急車なかなか乗らないし、子どもだってその間グッタリとかしてたわけじゃないし、その点は親も認識していたんだし。

私も人の親ですし、子どもが熱出して下がらなければ心配にはなるけど、それでも親としてやることはそうじゃないよねって。



もう一つ。

平日昼間の時間帯であれば救急病院もどこもやっているので、比較的現場から近い対応可能な病院で受け入れが決まることがほとんどです。

ですが、夜間や休日だと病院が限られています。救急告示病院(簡単に言えば救急車の受入れに協力してくれる病院)の中から当番の病院を順番に決めて受け入れ体制をとっています。

全科目そこが当番と言うことも我が地域ではたまにありますが、大抵科目によって分かれてたりします。内科は○○病院、外科は××病院と言った具合ですね。

そうなると、よほどのかかりつけの病院が無い限り、搬送先の病院が当番の病院になることがほとんど。そうなると現場から遠くの病院になることもありうるのです。

救急医療体制を説明し、ここから(現場から)少々離れてますが当番の病院がそこになりますので、これから受け入れOKか確認取らないとなりませんが、おそらくそこ(当番の)になると思いますと傷病者本人あるいは付き添いの家族に説明。

そうすると、遠いから行かない!って言い出す方もいます。辛くて呼んだんだし、病院行った方が良いんじゃないでしょうか?と言っても、(遠いから)行かない!と頑なに拒否し出すのです。


近ければ診てもらおうと思ったんだけど…遠いなら大丈夫です、結構ですって。

じゃあ何で救急車呼んだの?今ある症状が辛くて早く治療なり処置してもらいたいから呼んだんじゃないの?それがたとえ緊急性があるかどうかは別の話としても。

平日昼間でも言えることですが、救急車は必ずしも希望の病院に行ける乗り物ではないんです。


救急車の不適切な利用が叫ばれてる昨今、わりとよくあるパターンのお話を今回しました。

救急車の存在意義は生きるか死ぬかの瀬戸際にあるような、治療が遅れれば命の危険があるような。あるいは後遺症が残ってしまうような。そんな人を『救』うために『急』いで病院に搬送するための『車』です。

今回のお話にも書いたとおり、このようなことで救急車が使われたがために、真に救急車を必要とする人のもとに直近の救急車が向かえなかったことがあるんです。直近の救急車が向かえていれば違う未来があっただろう、命を助けられただろうと思ったことも何度もあるんです。

決して救急車をタクシー代わりに使わないで頂きたいと強くお願いして、今日のお話を終わりにしたいと思います。


明日は仕事、メンバーが変わっての当番勤務です

見てるだけならば

2013-11-02 22:04:11 | 救急隊の本音
昨日は6件、平均からすれば少なめ。しかし、消防署にはほとんどいませんでした。

1件にかかる時間が長くて…。病院が見つからないのもあったし、CPA(心肺停止状態)もあったし。少しばかりのモヤモヤを残した1当番でした。


そんな昨日のお話ではないのですが、先日の事案で思ったことを。

いつものように救急指令がかかって出場。道路上で倒れていてけいれんしているとのことでした。

エピ発作?低血糖?意識は?最悪はCPAか?そんなことを思いながら5分かからずに到着。到着間際に人だかりができており、予感はだんだん悪い方へ。

着いてみればCPAであり、すぐさまCPR(心肺蘇生法)を開始。目撃のあるCPAであり、直近で5分もかからずについたのでCPAになってからそんなに時間は経ってないはず。

AEDを装着してみれば除細動(電気ショック)の適応。ショック1度実施して車内収容の準備をしている間にもう1度ショックを実施。

消防隊も少し遅れて現場に来ましたので、協力して車内収容。途中でドクターカーとドッキングしてそのまま救命センターへと言う事案がありました。


CPRを行いつつ、最初に目撃をしていた方から状況を聞く。見ていたことを一生懸命お話してくれる。

人だかりができていたぐらいですので、一人だけではなく何人も現場にいた。変わる変わるその時の状況を伝えてくれてはいました。

どんな状況で倒れ、またその時から時間がどれぐらい経っているとかも判断するうえで重要な情報にはなります。


でも…


誰一人、私達が到着するまでの間、心肺蘇生法をやっていてくれてる人はいなかった。


一生懸命その時のことをお話はしてくれるんです。前述したように、それはそれでありがたいんです。でも、『誰か心肺蘇生法とかやっててくれましたか?』の問いには誰も…。

あれだけ人がいて、結果的にはAEDもちょっと行けばあるような場所に倒れていたんです。それだけ早く蘇生するチャンスはあった。でも、私達が到着するまでの間のロスがあって、確率が少しずつ落ちていった。救急車の中で自発呼吸は戻ったがしっかりしたものではない。意識も戻らないまま。ドクターも、予後は何とも…と。

その後、どうなったかな。


言葉は悪いかもしれませんが、見てるだけなら誰だってできるんです。その時のことを話すことも、その場にいれば誰だってできるんです。

本当に欲しいのはその先の行動。ほんのちょっと勇気を出して、心肺蘇生法をすること。何となくの知識しかないとしても、極論言えば胸だけを押すこともできるはず。

そこまでを求めるのはハードルが高すぎるのかな。でも、仮にそこで倒れている人が自分の大切な人であれば、同じことするだろうか。

他人だったらそこまでしなくても良い?


そこで無念にも倒れ、助けて欲しいと思っているかもしれない。喋ることも、手を差し出すこともできないが、倒れた本人はまだ生きたいと強く思っているかもしれない。まだまだ家族のため、子どものために生きなくてはならないのかもしれない。

倒れた人のバックグラウンドは知る由も無いけど、そんなことを問いかけたくなるような出来事がありました。


明日は休みです

入院させてください

2013-07-26 23:06:56 | 救急隊の本音
昨日の当番は12件!10件を超えてきました。

梅雨の間はそれほど雨も降らなかったような気がしていましたが、梅雨が明けてからなんだか雨も多いような…?

猛暑日になるような日が無い分、熱中症を疑うような事案を扱うことも少なくなっているように思います。


今日のお話はタイトルにありますとおり、『入院させて下さい』と言う救急事案。

数ある救急要請の中で、現場到着すると入院準備をバッチリ整えられている方が時々おられます。その背景は様々。

1.自分(あるいは家族)でこれは一大事だと思い、救急車で運ばれる=しばらく入院すると言う図式ができてしまっている人。

2.高齢の家族の介護に疲れたとか、精神疾患を持っている家族の面倒を見きれずにどこかへ入院させろと迫ること。

3.ケガをして日常生活が不自由になっちゃった(既に他院で処置済み)から、どこか入院できるところを探して欲しいと救急要請する。

4.住所不定の人が寝床&食事にに困って仮病を使うパターン…。


これ全部、本当のお話。前にもあったけど、ここ最近こんな様な救急要請が続いています。ざっと4件ご紹介して、最後の2件は論外として…。

私達救急隊の仕事は、必要なら応急処置を行って、症状に適した病院に連れていくことです。病院を探すのも、あくまで診察してもらえる病院を探して搬送するのであって、入院できる病院を探すのではありません。

入院する、しないはあくまでも搬送先の病院の医師の判断によります。救急隊が接触して詳細観察をして、これはおそらく入院するようかな…とは思っても、その決定権はあくまでも医師にあるものです。


特に多いのが2番目の理由。厄介払いの様な感じで何かと理由をつけて救急車を呼び、病院搬送を迫る家族。でも、当の本人は症状も無いし観察しても特に異常は認めず。

お話を伺えば大変な苦労をなさっているのは十分に感じとれるし、解放されたいと言う気持ちも汲みとれるんですが、そこはなかなかお力にはなれないところ。身体的な疾患であればまだ病院を探す余地はあるんですが、精神疾患だと正直病院は見つからない。それが、夜間の時間帯だと尚更。


ここ数当直でこんな事案が続いたのでちょっと書いてみました。

上手くまとまらずで申し訳ありませんが、言いたかったのは、救急車で病院に行く≠入院する、ではないこと。

救急隊はあくまでも診察可能な病院を探して連れて行くのが任務であって、入院できる病院を探すわけではないと言うこと。

少しばかり、そんなことも知って欲しいなとの願いも込めて、今日はこの記事を書きました。


次の当番は夏休みを頂きました。

明日からはムサシ家の夏の行事、キャンプに行ってきます。

でも、明日の(キャンプ場の)予報は午後から雨の模様。


誰だ?ウチの雨男は…(苦笑)

常連さん

2012-11-14 22:46:14 | 救急隊の本音
11月になり少し経ちますが、だいぶ冷え込むようになりました。

ついこの間までは『暑い!』なんて言ってたのに、今度は逆で『寒い!』と。夏は長くて、秋は短かったような。

そんな気がしています。


さて、今日のテーマは『常連さん』。

記事を救急隊の本音のカテゴリーに入れていますので、仕事の話になります。


119番通報などにより、消防機関が救急要請を覚知して救急車が現場に向かっていくわけですが、指令がかかる度、『またあそこか…』ってなる時があります。

指令番地から地図で場所を確認するわけなんですが、指令から流れる住所聞いただけでため息が出ることも。もう住所やら生年月日やら、救急隊から聞かなくとも分かるぐらい、それだけ頻回に行ってる(救急車を呼んでる)人がいるわけなんです。これを俗に『常連さん』と。


救急車を呼ぶ理由が真に救急車で、一刻を争うようならばため息なんか出ません。

救急車じゃなくてもいい、あるいは病院に行く必要すら感じられない。搬送先の病院で度々トラブルを起こすため、受け入れ先も見つからない。

そして病院を指定して収容が無理なら行かない…等々、ほとほと困っている現実があります。


常連さんに関しては我が消防署だけの問題ではなく、おそらくどこの消防署でもそのような人がいるのだと思います。

中には救急隊や病院に暴言等を吐き、病院からはブラックリスト扱い。収容時に名前を告げただけで『うちじゃ無理です!』って切られてしまうことも。

せっかく受け入れてくれる病院があっても、度々問題を起こしブラックリストに入ってしまい、受け入れてくれる病院がどんどん少なくなってしまう。

診察は可能だけど入院はベッド満床で無理。それでも良ければ…との病院からの回答を伝えれば、じゃあ行かない!と言われて救急隊も困ってしまう現実。

経過観察で1日2日入院…ってなっても、治療が気に食わないからって勝手に退院してしまいまた救急要請。入院していたと言う病院に再度収容可能か問い合わせてみても、またまたブラックリストに入ってしまって収容不能。

どんな理由であれ要請があれば我々は行かねばならないし、病院へ行きたいとなれば受け入れ先が見つかるまで探さねばならない。それがたとえ、わざわざ救急車じゃなくたって…って思うようなものでも。


前述したように、どんどん受け入れ先がなくなって、近くの病院は全部ブラック(リスト)になってしまってるので遠くの病院をあたるようになる。

それでもどんどんブラックリストになってしまい、現場滞在時間が長くなる。遠くで見つかったとしても、そこまで行くのに時間がかかるし、帰ってくるのにはもっと時間がかかる。

その間、消防署に救急車がいなくなる時間が長くなり、その消防署管内で救急要請があった場合、よその消防署から救急車がやってくる。例えば3分ぐらいで到着できるはずだったのが、10分以上かかってしまうことも起こりうる。

これが真に救急車を必要とするような事案であって、1分1秒を争うような緊急性のあるような場合、命を脅かすことだってある。

こんな悪循環に陥っていることが今現実に起こっています。


救急車を呼ぶことに対しては料金がかかることはありません。だけど、それだけ病院にかかれば診療代だってバカにならないはず。

でも、生活保護を受けていることにより、医療費はかからない。それもまた、頻回な救急要請に拍車をかける。これもまた、現実。


一時期、マスコミを賑わした生活保護の問題。

国が生存権を保障する制度であり、その制度自体を否定はしません。障害があったり病気など、様々な理由で働くことができずにやむなく受給されている方が多数だと思っています。

だけど、十分な収入があるにも関わらず受給していたり、どうせお金がかからないからとこんな様に救急車を使われたり。

そんなのを見てると正直頭にも来るし、一生懸命やるのが本当にバカらしくなってくる。



今までいた署でも似たようなのはあったけど、ここまでひどいのは初。

今までの出場件数やら概要やら全てデータに残して、消防だけでなく他の機関にもかけあって今解決に向けて動き出してはいますが、まだまだ解決には時間がかかりそうです。


どんなに急いだって、ベストな活動ができたと思ったって、助からない命はある。

その中で、もう少し何かできなかったか?もう少し何か言葉をかけてあげれなかったか?それがたとえ蘇生するには厳しいと思えるような事案でも。そう思いながら、糧にして日々仕事に励むのですが、今日ご紹介したようなことばかり続くと正直心が折れそうにもなる。

職場の人間関係がこじれて嫌な思いした時が小さい悩みに思えるぐらい、そっちの方がよっぽど辛いと思えるぐらいです。無力感に襲われて、使命感が無くなってしまう。そんな思いがあります。

幸いにもまだまだ折れちゃいませんが、こうも続くとさすがに嫌になってくるなって。


以前にも、酔っ払っての救急で受入先が見つからずにいる間に、直近のCPA(心肺停止)事案に出場できず、遠くから救急車がやってきたってことがありました。

報道等では、救急車の不適切な利用により、本当に必要な人に救急車がすぐに向かえなくなる恐れがあります、と。

私から言わせてもらえば、『恐れ』ではなく、もう現実に起こっているんです。安易な救急車の利用によって、誰かが命を落としている。

大げさな表現じゃなく、本当に起こっていることなんです。もしこれが、自分の身の周りで起こったらどうでしょうか?

こりゃ救急車呼ばなきゃ!と思うようなことに遭遇して、近くの消防署の救急車は出場中のため遠くからやってくる。直近の救急車がくれば助かったかもしれないが、その救急車は救急車を使わなくたってもいいようなことで出場していた。

それが分かったとして、果たして納得できるでしょうか。

私だったら、悔しさばかりが残るな。近くの救急車が来れば助かったかもしれないのに…って、諦めきれない気持ちが残るな。


どんな時が救急車が必要で、どんな時に救急車呼ばずに自力で受診、あるいは様子をみて…って、線引きが難しいです。

現に私達が出場した中で、救急車じゃなくたってもいいけどこれは仕方ないよな…って思うのもありますし、急いで病院に行った方がいいこともあったが、結果的に軽症ですぐに帰れたなんてことだってあります。

でも、自分の足でスタスタ歩いて救急車から乗り降りしたり、後から家族が追いかけると行って救急車のすぐ後ろで待ってたり。今日、診察の予定だったってこともあるし、交通事故とかで受傷してからだいぶ時間が経っていて、何で今更救急車?って言うのも。


こりゃ救急車呼ばなきゃ!と思えばためらわずに呼んでもらって構わないものだし、判断に迷ったら呼んだって構わないものです。

来た以上は病院へ行くことを勧めますが、やっぱり自分たちで行くと思えば断ったっていいのです。

でも、とりあえず救急車呼んでおこう…ぐらいの軽い気持ちならば、少し考えて頂きたい。他に手段はないのか、それは今すぐに救急車で行かないといけないようなものなのか。

安易な利用で、誰かの命を脅かすかもしれないし、それが自分の周りに起こるかもしれない。

そんなことは決して、あってはいけない。そんなことを少しでも、理解して頂ければと思います。



長文&駄文になってしまいましたことをお詫びいたします。

半分は愚痴、半分はいち救急隊員からのお願い。本当に救急車の必要な人のところへすぐに救急車が向かえるよう、ご理解とご協力をお願い致します。

救急車?必要ですか?

2012-06-18 14:44:16 | 救急隊の本音
前回は1件の出場、夜中はありませんでしたが、真夜中の時間帯に通信勤務が入っておりましたので、仮眠は途切れ途切れでした。

この日にあった救急出場も、『救急車じゃなくても良かったのでは?』と思うような事案でしたが、他署に応援で行っていた先輩が帰り際に言ってた事案も、『救急車?』な事案。

救急車じゃなきゃダメなの?と言うよりも、じゃあ何で救急車呼んだんだ…って。呆れかえるような、腹ただしいような、そんな事案でした。



夕方の、子どもの発熱。

38℃台の熱が2日前から続き、熱が下がらないため救急要請。玄関前で救急車を待っており、抱きかかえられたまま車内収容。

バイタル測定しましたが、確かに熱はある。でもそれ以外はこれは明らかにおかしいと言えるような数値ではなく。

近所の小児科は休診であったために救急要請。救急要請に至る過程からバイタル測定、既往症や現病歴等を聴取して病院連絡。

もう休日夜間の診療体制であったために診察可能な病院は限られています。その点を説明し近くの病院から収容依頼をしていきましたが、一番近い小児科対応の病院は収容不能でした。


直近の病院が断られたので、隊長は次の病院をあたる。次の小児科対応の病院は少し遠くなることを説明しましたが、親から『じゃあ(病院)行かない』と。

既に病院と話をしている最中で、収容可能とのお返事を頂いて傷病者情報を病院へ伝えている最中でしたが、どうしても病院には行かないとのこと。病院スタッフの準備もしていたところですが、丁重に謝ることになりました。


(重症度・緊急度はここでは別にして)病院に連れて行きたいから救急車呼んだんじゃないの?

病院が遠くなるなら行かないって、それは親の勝手な都合なんじゃないの?


あくまでも聞いた話ですが、久々にガッカリと言うか、腹ただしい事案。そう言えば過去にも同様の事案に私も出場したことを思い出しました。


だったら何でもっと早く病院に連れて行ってやらなかったんだ。

救急病院が夜でも診察しているのは、急な入院を要したり緊急に処置を要する人たちのためにあるんだ。コンビニのような感覚で来るものじゃないんだ。

そんな人たちが本当に多すぎる。もしこの間に重症・緊急度の高い事案が発生して、近くの救急車がいなかったがために…なんてことがあったらどうするんだ。


もし自分の周りで真に救急車を要するようなことが起こり、直近の救急車がくだらない理由で呼ばれていたがために遠くから救急車が来ることになったら…。

そんなことをちょっと考えてみてください。少なくとも、これは救急車なんて必要なかった。そんな事案でした。


救急車は、命を救うために急ぐ車。救急車が必要だ!呼ばなきゃダメだ!の時には躊躇することなく呼んで頂いて構わないものですが、今一度救急車の利用について考えてみて頂けたら幸いです。

Load & Go

2012-01-05 21:53:00 | 救急隊の本音
今日はお休み。子どもたちと嫁をそれぞれ送り届けた後は夕方まで自分だけの時間。

いつも走っているランニングコースをちょっと変えてみたり、図書館に行き勉強をして…と言う感じで過ごしました。

もうお正月の雰囲気は抜け、いつもの日常に戻ったような街中の雰囲気でしたね。


さて今日は仕事の話。いつかの救急現場を振り返って思ったことです。

バイクの単独交通事故により、負傷者が1名いるとの通報内容。頭を負傷しているとの情報でした。

受け持ち区域内での事故でしたので、直近の私達が出場。現場到着時には道路上で仰臥位(ぎょうがい、仰向けの状態)で倒れていました。

事故を目撃した人が、救急隊が到着するまで付き添って下さっていました。隊長が状況を伺うのと同時に、残った2人で処置に当たるわけですが、どうも通報内容と聞いた話が噛み合わず。

実は単独の交通事故ではなく、バイクが絡んだ交通事故。負傷していたのは歩行者でした。傷病者接触時に発語はありましたが、意味不明な言葉に不穏状態。

バイクもほぼノーブレーキで衝突していることから高エネルギー外傷(※1)と判断してLoad & Go(※2)を宣言。現場で最低限の処置をして救急車内収容、その後も最低限医療機関に送らなくてはいけない情報、バイタルサインを測定してすぐに現場出発。搬送先は救命センターでした。


傷病者接触時から病院到着まで意識レベルは良い方だとは言えませんでしたが、レベルが落ちることはなく持ちこたえたまま救命センターへ収容。色々と手は尽くしたようですが、残念ながら帰らぬ人となってしまいました。


搬送先の病院まで遠かったのと、状態から少しでも早く医師の手を…と言うことでドクターカーやドクターヘリも選択肢としてあったのですが、どちらも運悪く出場不能。

運行時間外と言うのもあったし、先に別の事案に出場中と言うのもありそれらが使えなかったことがとても残念だったこと。

バイスタンダーが現場にいて、交通外傷時の基本となる頭部保持がなされていたこと。(詳しく聞きませんでしたが、たぶんそれなりの知識をお持ちの方なのかな?と推測)

同じくしてたまたま現場の近所の方が毛布等でくるみ、交通整理をしてくれていたこと。それに引き換え、救急隊が着いた頃既にパトカーが1台いましたが、交通整理を代わるわけでもなく傷病者に付き添うでもなく。ただ単に事故を起こしてしまった運転手から話を聞いてるだけと言うのを見てしまい、なんか無性に腹が立ったこと。そんなの後にできないのか!と率直な気持ち、そう思いました。

目の前で倒れている人をに声をかける、手を差し伸べるのよりも、加害者から話を聞くのが優先されるのか…と思えば、正直警察官にならなくて良かったなと。


この救急現場を振り返れば、色々と思うことがありました。

ドクターカー、ドクターヘリどちらかでも使えれば違う未来があったかな?とも思いましたが、ドクターカーもドクターヘリも、救急車も含めて変な話ですが『早い者勝ち』。

ほぼ同時期にCPA(心肺停止状態)の傷病者、片や酔っ払いとか本来ならば救急車の必要のない傷病者が発生し、本来ならば必要のない方が先に通報が早かったために直近の救急車が出場。そしてほんの少し通報が遅かった、より重症度、緊急度の高いCPAの傷病者の元へは遠くの救急車が来ると言うことも現実には起こっています。

そう考えると運が悪かったのか…。でも、その一言で片づけてしまって良いものなのか。もう少し何かできなかったか。

この事案から本当に色々なことを考えさせられたような、そんな感じがしました。

まとまりの無い話ですみません。ただ、こんなことが現実にはある言うことを知ってもらえたらと思っています。


明日は仕事です




※1 高エネルギー外傷(高エネルギー事故とも言う)

身体に大きな力が加わり、生死に関わるような外傷を負っている可能性があること。具体的な例を挙げると以下のとおり。

・高所からの墜落
・車、バイクの損傷度が大きい
・車(バイク)と歩行者の距離がだいぶ離れている、または5m以上跳ね飛ばされた
・車(バイク)×歩行者または自転車の交通事故
・体幹部を挟まれた
・車が横転している
・救出に時間を要した(概ね20分以上)


※2 Load & Go(ロードアンドゴー)

上記のような高エネルギーによる受傷の場合、生命危機に関わるような最低限の処置を行い、早期の現場離脱をすると言うもの。

生命危機に関わらないような負傷部位に関しての処置は極力省略し、とにかく一刻も早く救命センター等の高次医療機関への搬送を優先する。

宝の持ち腐れにならないように

2011-11-03 21:22:57 | 救急隊の本音
今日はお休み。11月になりだんだん寒くなってきましたね。

寒くなってきた分、だんだん救急件数も増えてきたと言う感じがしています。


今日は以前に出場した事案のお話をしたいと思います。

救急指令が鳴り、向かった先は管轄内にある老人ホーム。ここで入所している方が呼びかけに反応が無い、脈もわずかに触れるぐらいで呼吸も弱いとの通報。

在署してましたので5分そこそこで到着できる距離。通報内容がちょっと疑わしく、CPA(心肺停止)では?と疑っていたところ、第2報でCPAとの内容。ここで支援のため消防隊も出場。

現場到着して傷病者を観察したところ、やはりCPA状態でした。


救急隊3人だとマンパワーが足りないので消防隊が到着するまで救命士による特定行為とCPR(心肺蘇生法)を実施。

消防隊の到着後すぐに車内収容して、近隣の病院で受入OKとの回答を得たため搬送。病院到着後もCPRを続け、医師による薬剤投与など処置が行われましたが、残念ながら帰らぬ人となりました。


老人ホームに入っておられる方でしたので、もう高齢。年齢的にもいつ来ても…と言うような状態ではありましたが、DNR(蘇生拒否)の意志も無し。

119番して私達が到着後、老人ホームの職員は付き添っているだけで何もしていませんでした。


私が残念に思ったのは、この施設に対して半年ほど前に救命講習会を行ったこと。私が直接講師として行ったわけではありませんが、私の同僚がこの施設に救命講習会に非番で眠い中出向いていたのを覚えていました。

講習会をやってまだそんなに時間も経っていない中で、せっかく教えたのに何も行われておらず、ただ付き添っているだけ。隊長の、『いつからこんな状態だったのですか?』との問いにも、『119番する少し前からです』との返事。

『何で(CPR)やってないんですか?』との問いにも、『少し息をしているようだったので…』と。

私達が心肺蘇生法を教える際、傷病者(倒れている人)がどんな状態であれば心肺蘇生法をやらなくてはいけないかを説明するわけですが、その中に『傷病者の呼吸が普段通りで無い場合』と言うのがあります。

普通であればスーハースーハー呼吸をしているわけですが、これが極端に遅かったり、あえぐような呼吸をしている場合は普段通りとはみなさず、呼吸が無いものと考えて心肺蘇生法をやって下さいと教えています。

今回の事案では、救急隊が到着していた際には完全に呼吸停止している状態。なので心肺蘇生法を実施するべきであったのですが、これが行われておらず。救命講習会での内容が全く活かされていませんでした。


話はちょっと変わり、9月に埼玉県のある小学校で女子児童が突然心肺停止に陥ったが、学校にあったAEDが使われずに命を落としたと言う報道がありました。

この事件の報道を見ますと、大きく息を吸う動作をしたようですが、呼びかけ反応は無く、指先は冷たかったとのこと。大きく息を吸う動作が『あえぎ呼吸』=普段通りの呼吸で無かった可能性が高く、指先が冷たかったと言うことは普通心臓から送られる血液が指先まで届いていない=血流が無い=心臓がまともに動いていないと考えられる可能性もあったわけで。

あえぎ呼吸を普段の呼吸と誤って判断した可能性もあります。意識が無いとのことで救急車を呼んだが、心肺停止状態に気づけず結果的にAEDを使うタイミングも逃し、死亡したと言う痛ましい結果となりました。


話を戻しまして、私がこの事案で行った老人ホームにも、先ほどご紹介した埼玉の事案でも、その施設にAEDは備え付けられていた。だが、心肺停止状態だと分からずにそのまま傷病者に適切な処置をしなかったため命を落とした。

私が救命講習の講師を務める際にも、また、このブログでも何度も何度も言っていることですが、AEDは止まった心臓を動かしてくれる魔法の機械ではありません。

心肺停止状態にある傷病者にAEDのパッドを貼り、心臓が細かく震えているけいれん状態であれば除細動(電気ショック)をすることが可能ですが、全く動いていない心臓には効果なし。

心臓もいきなりピタッと止まるわけではなく、ブルブル震えてやがて動かなくなる。このブルブル震えている時に電気ショックができるチャンスと言うわけです。


この記事で私が何を言いたいのかをまとめますと、AEDがあるからと言って必ずしも心肺停止状態の人を助けられるとは限りません。AEDがあっても、電気ショックができないような心臓の状態だと心肺蘇生法をするしか助かる道はないのです。

AEDがある施設で働いている人は、『AEDがあれば助かる』と言う意識を即、捨ててもらいたい。そして、定期的に救命講習を受講してAEDはもちろんのこと、万が一の際には心肺蘇生法をやるんだと言う意識を持ってもらいたい。そう思っています。

私の理想と言いますかあくまでも私論ですが、AEDのある施設で働く人に対し、救命講習を義務付けても良いんじゃないかと思います。よく夏のプールシーズンになると、学校からAEDの講習をお願いします、時間がなかなか取れないから1時間だけで…なんて依頼がありますが、その1時間だけで心肺蘇生法も含めてバッチリできるんでしょうか。この埼玉のような事故が起こった際に判断できるのでしょうか。

とてもじゃないけど、1時間だけじゃ無理だと思います。

意識が無い、普段通りの呼吸をしていない、顔が真っ青であれば心肺停止状態かも…と疑える、判断できないと助けることができない。このような痛ましい事故を繰り返さぬ様、今一度考えてもらいたいものです。

そして救命講習を受けたからには、そう言った場面に遭遇したらやらなくてはダメだと考えます。一般の市民対象に行う場合には勇気を持ってやって下さいと半分お願いのような形でお話しますが、AEDが備え付けてあるような施設で働く方、特に今回救急で出たような老人ホーム等で働く職員の方は勇気を持って…じゃなく、講習を受けたからには必ずやって下さい。それが職員はもとより、その施設の名誉のためだと思います。


同僚が非番で眠い目こすりながら3時間講習をして、何の意味もなさなかったこの事案。私自身も、がっかりしました。

今後、このようなことが起こらないよう切に願っています。


明日は仕事です。

そもそも救急車必要なのか?

2011-10-19 23:11:20 | 救急隊の本音
今日はお休み。先週からずっと仕事・訓練・その他の用事と何かしらあったわけですが、今日は久々の丸一日オフ。

嫁も仕事で子どもたちも保育園。疲れの溜まった身体を休めることに専念することにし、接骨院へ行き治療がてら身体をほぐしてもらい、少し昼寝をして疲れを取りました。

保育園へはお昼寝(子どもの)が終わった頃を見計らってお迎えに行く予定でいましたが、次男が少々体調を崩してお迎えコールが来まして、当初の予定よりも早いお迎えとなりました。

じんましんが出たのですが、皮膚科に行って薬をもらって。熱もないし元気には過ごしています。


さて本題に入りまして、『救急車必要?』のお話。

少し前の救急事案のお話、学校での生徒同士のケンカにより負傷者が出たとの内容。正門前に案内ありとのことでした。

直近の私達の部隊が出場したので、5分ほどで到着。現場付近に着くなり案内に出た先生が開口一番

『サイレン止めて下さい!』との強い口調。

緊急走行ですのでそれは無理です!毅然と返し、傷病者のいる保健室へと行きました。そこには傷病者と、先生が数人いる状況。ケガ自体は大したことが無いように見え、歩行も可能。

車内収容し負傷場所の確認とバイタルサインの測定。特に異常な数値も認めず痛い場所こそあれば受け答えもしっかりしている。緊急を要すような感じではありませんでした。


傷病者と先生から状況を聞き、一応加害による事故ですので警察を間に挟みますか?との問いにもそこまでは大げさにしたくない…と先生。

じゃあその後に何か問題起きた場合、学校の責任で呼ばなかったと言うことでよろしいですか?との問いにもそれは困ると。押し問答の末結局警察への連絡はこちらからはしないことになり、先生1人同乗してもらって病院へ行くことに。

ここでも誰が乗って行くのかで話し合いが始まってしまい、なかなか現場を出発できませんでした。


そして病院へ搬送中、後ろの患者室から走行中の様子をみていた先生。やはりなかなか道を譲らない車もあり、それにやや怒っている様子。

『なんでサイレン鳴らしてるのに避けないんですかね!』と。

その日は患者室に乗っていた私。今の車は防音もわりとしっかりしており、窓閉め切ってちょっと大きい音でオーディオかけてればなかなか聞こえにくいものであると言うこと。そして市民のモラルの低下も正直ありますよと。道を譲らないのもそうですが、自分たちで連れて行けるのにわざわざ救急車呼んだり、緊急の要ないのに、救急車じゃなくても良いのに救急車呼んだりとするんです、と。

最後に、先生がそう思われたのなら、自身で運転している時に救急車の接近に気づいたらすぐに道を譲って下さいね。ギリギリまで譲らないと言うことのないようにお願いしますねと言ってみました。


病院に着いて初診時の診断は打撲。軽症でした。


前々から記事でも書いており、その都度訴えかけているのですが、傷病者自身が意識清明で歩行可能。すぐ近くに病院もあり、連れて行けるであろう先生も何人もいて。どうしてそこで救急車となるのでしょうか?

道を譲らない車に対して先生は怒っていたけど、そもそもこの事案は救急車でなくたって良かった話。現場付近に着いて近寄ってくるなりサイレン止めろ!のようなことを言われ、警察を挟むかどうかの事にも、話を大きくしたくなく面倒なことになりたくない、言い方悪いが保身に走っているのが見え見え。正直カチンと来る事案でした。

救急車を何だと思ってるんだ!とこっちが怒りたくなるような事案でした。救急車内で携帯いじって談笑してる風景にとても救急車で病院に行かなくてはいけないような感じには見えません。


業務や授業があって忙しいと言うのはどうも嘘くさくて言い訳にしか聞こえず。忙しいなら保健室にそんなに集まれないでしょうよ。


救急車さえ呼べば責任取った、そんな考え方は好かないですね。その間に本当に救急車を必要とする人がいたらどうするんだろう。

仮にその事案で、搬送中に事故を目撃して、その現場には道路上に倒れて動けない人がいたとする。それを見てどう思うだろうか。

少しは考えてほしいですね。先生たちで病院に連れて行ったっていいんじゃない?反対に、連れていかない、いけない。その理由は何なのだろうか。疑問が残ります。


学校に関係する事案(私が出場したのではなく、報道で知ったこと)をもう一つ、後日改めて書こうと思っています。

色々あって大変なのも分かるしお世話になることもあるだろうからあまり文句は言いたくないですが、もうちょっとしっかりしてよって注文をつけたくなるような事案のお話でした。


明日は仕事です。

道を空けて下さい

2011-10-01 22:17:49 | 救急隊の本音
連休最終日、今週1週間はほぼ休みであったために普段と違うことをやろうと決めていた1週間。

実践したことを振り返ってみますと、記事にも書いた洗車、献血(32回目)、それからパソコン上の写真・ビデオの整理、DVDを借りて来ての観賞。

いつもの嫁子どもの送り迎えにプラスしてこんなもんですね。1人でないとなかなかゆっくりできないものばかり。

比較的のんびり過ごせたかな?と思います。昨日ちょっと仕事の都合で出かけたのが余計だった気もしますけど


さて、最初から話が脱線してしまいましたが、ここからは仕事の話。

普段救急車にに乗っていると、タイトルにもあるとおり『道を空けて下さい』と思うことが多々あります。

サイレン鳴らし赤色回転灯を回しながら走っていれば緊急車両とみなされ、赤信号を通過できたり反対車線へはみ出して走行できたりなど色々な特例があるわけです。

それでも緊急車両側が気をつけなくてはいけないことがあるわけですが、車を運転するドライバーであれば免許があるわけですので、当然道を譲らなくてはいけないことは承知しているはずだと思います。

ですが現実、道を譲ってくれない車があるのが事実。これが本当にごく一部の…と言うわけでもなく、意外と多かったりする。10人いたら1割2割は道をなかなか譲ってくれないものです。


例を挙げますと、救急車がサイレン+赤色回転灯をつけて緊急走行中。

いつかのお話にも書いたとおり、救急車って緊急走行だからって極端にスピードを出して走っているわけではありません。

・救急車の存在には(たぶん)気がついているんだろうけど、そのままのスピードで走行する前の車。反対車線が来ていなければセンターラインをまたぐようにして走り、救急車が接近しているよってアピールするものの、一向にスピードを落とす気配は無く。間隔が詰まってきてようやく左に避けて止まるケース。

・早い段階から救急車の接近に気がついているが、左に避けただけでそのまま走り続けるケース。救急車を運転している側としては危なくて追い越しかけれません。

・救急車の2台前を走っていた車は救急車に気がつき、早めに左側に避けて止まったものの、そのすぐ後ろを走っていた車(救急車から見たら、救急車のすぐ前の車)は前の車が救急車の接近のため止まったにも関わらず追い越しをかけ、結果2重追い越し未遂のような感じになるもの。


サイレンなどを過信せずに運転するようには常々言われており、止まらない車もあることを考えて運転しろとは口酸っぱく言われてはいるものの、明らかに気がついているのに譲らないっておかしいんじゃないか?って思うこともあります。止まらない車があるから気をつけようと言うのは建前で、本音としては免許取った時に教わらなかったの?とイライラすることがあるのも事実です。

それが結構急ぐような容体の傷病者を搬送するときに限って多かったりします。

前述したような、なかなか譲らない車をようやく追い越した時にチラッと見てみれば、携帯電話で話しながら運転しているのもいますし。


最近の車は意外と防音がしっかりしているような感じがしており、窓閉めてオーディオかけていれば聞こえにくいと言うのもあります。

それでも近づいてくれば音にも気がつくでしょうし、赤色の回転灯にも気がつくはず。ミラーでも確認できるでしょうし、夜ならば尚更。

それにプラスして日中ならばハイビームにして走りますし、夜でも必要に応じてハイビームにして救急車の存在をアピールすることはあります。(特に夜間は事故を誘発しかねないので、やる時は慎重にやりますが)

とにかく救急車が走ってるんだよ!と言うのをこっちから積極的にアピールしないとなかなか譲ってくれないような、そんな感じがしています。


マイクとか使って具体的に指示をするものの従ってくれることのないまま平気で無視して走る車もありますし、救急車を避けようとしたら事故を起こしそうになった、と苦情の電話が入ることもごくごくたまにあります。これが緊急回線である119番で言われるもんだから困ったもの。いざ火災入電の時に繋がらない可能性も出てくるわけです。


なのでここで改めて言うのも変ですが、あえて言います。

救急車や消防車など、緊急車両が近づいてきたら道を譲って下さい。なかなか近づいてこないからまだ良いやではなくて、気がついたら早めに(原則)左によって緊急車両が通れるスペースを作って下さい。そしてできれば一度は止まって下さい。左に寄りながら走っている車を追い越すのは正直危なっかしく、対向車線の車も来ていたら正直追い抜くのは怖い。事故のリスクがあります。

サイレンを鳴らして走り、急ぐにはそれなりの理由があります。火災や事故、急な病気などにより生命を脅かすような状態になっている人がいるかもしれないと言うことを考えて頂けたら幸いです。


明日は仕事です。