消防士 兼 旅人の日記

消防署での出来事、ダラダラした日常生活を綴ります。

それって救急車?

2008-06-19 23:17:34 | 救急隊の本音
仕事に復帰してからの2当番は件数も多く夜中もあり。

帰ってきてからは寝不足のためにすぐ寝てしまいましたが、昨日は件数も少なくて夜中も無し。久しぶりに非番は体が軽かったような気がします。


さて今日のお話は、これって救急車なの?と言う事案。

私の主観的な考え方ですが、実際にこういった使い方ってどうなの?と思った事案です。意見も下さい。


まず一つ。

朝方に足を怪我した若者。親が夜間・休日でも診察可能な医療機関を情報センターに問い合わせ、親が病院まで連れて行った。

平日日中の外来がやっている時間帯では無かったので医師も看護師も限られた人数で、しかも専門的な処置や検査もできない時間帯。

それでも診察を必要とする患者さんが集中してしまうので、当然待ち時間はかかってしまうものだが、待ちきれずに救急要請。


自分で病院を探して、自分で病院まで行って。

みんな痛い中順番を待っているのに、待てないからって理由で救急車なの?

ちょっと安易な救急要請じゃないのか?

救急車で行ったって、結局は待つようですよ。


もう一つ。

小さな子供の40℃の発熱。2日ほど前に近くの小児科へかかり、薬を処方されて医師からも様子を見てくださいと。

薬を飲ませても熱が下がらないため救急要請。


熱が下がらなくけいれんを起こしたのなら分かります。場合によっては酸素投与しながら搬送したりしますので。

しかしけいれんもなく、発熱のみ。ぐったりしているわけでもなく、バイタルは体温以外は正常。普通に会話もできる状態でしたし、しまいにはストレッチャーの上ではしゃぐ始末。


薬を飲みきっていないのに、医師からも安静にさせて様子を見てくださいと言われているのに、ただ熱が下がらないと言うだけで救急車を呼ぶ。

子供の熱はそんなに早く下がりませんし、大人と同じ様な薬は飲ませられない。

かかりつけの病院に連絡を取るなり、自分で休日夜間の急病診療所へいくなりすればいいのに…なんで救急車なの?

どこの病院に行ったって、様子を見てくださいとしか言われないですよ。

案の定、搬送先の医師からもこんなので救急車呼んじゃダメって怒られていました。


子供が辛いとき一番頼りにしてるのは、自分のお父さんお母さんじゃないのかな。

その親が全く何もせず、ためらわずに救急車を呼んでしまう。

私もこれから親になる身ですが、私ならもうちょっと自分で何とかしようと思うのです。

こんな仕事をしてるから言えるのかもしれませんが…


救急車の本来の目的は災害、事故、怪我、病気などで負傷し、一刻も早く病院に搬送して医師の診察を必要とする人たちを迅速に病院まで運ぶもの。そのために赤色回転灯をまわし、サイレンを鳴らして道を空けてもらいながら走るのです。

ですが、今ではそんな人たちは100件やって20~30件あるか無いか。

自分や家族が連れて行けるだろうし、様子を見て日中外来がやっている時間に行く事だってできる。

それが完全にタクシーとして使われたり、『念のため』や『一応』で呼ばれてしまう。

急いで運ばなければいけない人の下へ救急車は向かわなければいけないのに、『とりあえず救急車でも呼んどこう』では困るのです。

救急車の不適切利用は一般市民に限ったことではなく、警察官や病院にも言えることですが…。

その点に関しても、そのうち記事にしていきたいと思います。


何度も行っているような気がしますが、数少ない救急車。

本当に必要な人の元へ早く到着できるよう、ご協力をお願いします。



明日はお休み。

天気は崩れるようです。

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18 コメント

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わがままですね (たっくん)
2008-06-20 02:58:44
はじめまして。
時々こちらを訪れては、救急・消防の仕事の大変さを痛感しています。

近くの消防署で息子と一緒に消防車両を見せていただいた時に、救急車の適正利用について伺ったことがあります。
「私達はダメとは言えないので、皆さんの良識に任せるしかないのです」とおっしゃっていましたが、「これが現実なんだ」と実感しました。

市の広報の片隅に遠慮がちに「救急車は正しく使いましょう」と載っていますが、もっと堂々と書くべきだと、私は思います。
救急車をタクシー代わりに使うとどういうことが起こるのか、本当に必要な人が使えなかったらどんな危険があるのか、休む間もなく出動要請がかかることによって、救急隊員にどれだけ負担がかかるのか、不必要な救急車の走行で、ガソリン(=税金)の無駄遣いに気付かないのか・・・
現状をもっと知らせなければ、救急車の不正利用はエスカレートする一方だと思います。
自分勝手な使い方をしているなんて、やっている本人は気付かないですからね。
全国で統一して「適正利用強化月間」みたいなものを作るとか、小学生のうちから指導して、少しずつ自然に身に付けさせて意識改革を図っていかないと難しいのかもしれませんね。

命と直接向き合っている人にしかわからないご苦労があると思いますが、救急隊の方の気持ちが、少しでも多くの人に届くことを願っています。
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ため息が… (ネコむし)
2008-06-20 10:11:57
ちらほら動きが出ているようですが「有料化」や「重症度判定」等も検討されても仕方ないですね。もちろんケースバイケースで。誰からでもお金取るとかではなくて。現実には難しいでしょうけれど。
在宅訪問の仕事をしていた時、倒れた高齢者宅で要請した事がありました。反応ないし、大いびきかいて失禁もある状態…早く早くと焦っている時、救急隊から電話が。
近くの隊が出払っていて、遠くから来られてたので道が分からなかったようで。
自分が呼ぶ時もこうなっちゃうんだよと、周りに知ってもらわなきゃ(>_<)広報活動は大切ですね。
余談ですがその時の救急隊との道案内のやり取り
私「周りに何か目立つ建物とかありますか」
若い隊員「電柱があります!」
後ろでエライ人らしきオジサンの声「アホか!!」
…その後、携帯を引ったくった様子の年輩隊員とやり取りしましたが、人間焦るとこんなだと思いました
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う~ん (ちかりん)
2008-06-20 14:39:46
両方とも、救急事案じゃないですよね・・・

確かに子供の熱は心配ですが、熱だけで食事もできて、元気なら様子見るしかないですよね。子供のことはちょっとしたことでも心配になるのはよ~くわかるけど、様子見るしかないってこともたくさんありますよね。

どこかの消防で試験的に始まった、通報時点でのトリアージってどうなったんでしょうね?少なくても一つ目の事案は、救急要請を断れそうですが・・・
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おつかれさまです (けい)
2008-06-20 17:45:09
救急車の適切利用って、何度も何度も、何度も何度も、何度も何度も(以下略)繰り返し呼びかけることで、少しずつ変えていくしかないのかなという気もします。小さい子を持つ親御さんたちも、失敗して怒られながら学んでいくということもあるでしょう。

以前、熱性けいれんで救急要請して叱られた友人がいて、涙目状態だったのですが、いまの風潮を本当に変えるためには、利用者にとって少し敷居が高いと感じられるぐらいの態勢にしないといけないのかもしれないですね。
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たっくんさんへ (ムサシ)
2008-06-20 19:13:41
初めましてですね、コメントありがとうございます。

一刻も早く医師の下へ送り届けなければ生命の危険がある。こういった人の下へ救急車が行くと言うイメージをお持ちの方もいると思いますが、今はこれが現実です。

こんなのはほんの一握り。実際はもっともっと『?』って思うのもありますし、悪質なケースや常習犯もいます。

どうしても苦痛で動くことができなくて救急要請。その結果軽症だったのとはまた話は別ですが…。


確かに医師の診察を必要とするだろうけど、何で今のタイミングなの?なんで救急車の必要があるの?って思うことがたくさんです。

権利意識ばかり主張して、自分のやっている非常識に気付かない人もいます。


救急車の不適切利用問題、浸透するまではまだまだ時間がかかりそうですね。
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ネコむしさんへ (ムサシ)
2008-06-20 22:04:06
私はどちらかと言うと有料化には反対です。ですが、このままの状態が続くのであれば、止むを得ないのかな、とも思います。

表向きはいざと言う時に近くの救急車が来れなくて、本当に必要とする人の下への到着が遅れる恐れがあると言ってますが、もう既に最悪の状態が起こっています。

4番目に近い私の署の救急隊がCPA事案で出場。近隣3つの署は皆出場中。この事案、現場到着まで10分以上要しました。そして搬送先の病院で死亡診断。

なんでそんな場所へ呼ばれるの?ってその時は思いましたね。
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ちかりんさんへ (ムサシ)
2008-06-20 22:10:25
やっぱり2つとも救急事案では無いですよね。

最初に書いた順番待てなかった事案ですが、残念なことに病院の職員が119番通報したのです。


待てないから救急車呼んでくれと母親が言ったらしいのですが、それを説得できなかった病院もどうなの?って思ったのです。受付までしたのに…。

救急病院じゃないと理解が無いのかな。


東京で試験的にトリアージをしたようですが、思ったより対象外になったのは少ないとのこと。

ですが現場の声を聞きますと、トラブルになるぐらいなら運んでしまえと言うのが本音のようです。


良識ある救急車の使い方をしてもらう以外、今のところ方法は無さそうです。
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ムサシさんへ (ちかりん)
2008-06-20 22:23:04
やっぱり要請があったら 運んだほうが 楽なんですね…


弟もよく 現場について こんなの運ぶのかって思うことが多いみたいです(>_<)


救急車の適性利用を呼び掛けていくしかないんですかね 助かる命も助けられないし 救急隊員も疲弊していくだけですよね

なんだか やりきれないです
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けいさんへ (ムサシ)
2008-06-20 22:27:32
私は熱性けいれんは救急車呼ぶのはアリだと思っています。

記事にも書きましたが、現場到着時にまだけいれんが治まっていないようでしたら酸素投与する場合もありますし、二次当番の小児科へ搬送します。

けいれんが治まってたら一次の急病診療所で十分ですが。


本当に必要な時は遠慮なく呼んでもらって構わないのですが、その前に救急車って何のためにあるの?と言うのを理解してもらわないとダメでしょうね。


マスコミは公務員の不祥事ばかりとりあげていますが、モンスターペアレント、モンスターペイシェントと化した一般市民の非常識さも、もっと報道して欲しいなと思うこの頃です。
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ちかりんさんへ (ムサシ)
2008-06-20 22:47:02
トラブル起こると後々面倒なことになりますし、私達を守ってくれる法律も何も無い。

押し殺して運んでしまったほうが、楽だって言い張る人もいます。

私はそんなの納得いかないタイプの人間ですが…


こう言ったことに嫌気がさして、救急を降りてしまう人もいます。モチベーションの低下が原因です。

私も今は救命士を目指すべく、日々頑張ろうと思っていますが、いつ気持ちが切れてしまうか分かりません。

常識のある救急車の利用を!と、これからもこのブログで訴えていきたいと思います。
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