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命がある限り希望を持つということ

なぜ子どもたちはこんなに生き辛いのか

2016-09-03 16:42:43 | 社会・生活
先日娘が猛プッシュして
芥川賞を取った「コンビニ人間」を貸してくれたと書きましたが
実はもう1冊抱き合わせで、同じ村田沙耶香さんの
「しろいろの街の、その骨の体温の」という本も置いていきました。

もはや還暦を過ぎた年で、中学生の女の子が主人公という小説に
どこまで感情移入できるか、共感できるかという不安はありましたが
あればなんでも読むという習性で、とにかく読んで見ました。

そして、今の学校における「スクールカースト」と言われる
クラス内での階級制度に悩む、子どもたちの感覚の一端が少し理解できました。
女の子の話ですから、選別の基準は主に容貌で
「上」のグループにいる子、容姿が醜いために一番「下」のグループにいる子
主人公は「下」から二番目の「大人しい女子」のグループに属していて
つねに「害のない存在」であろうとするが、「下層の人間」である彼女は
あることでクラスメートたちのいじめの標的になります。

もう十五年以上前ですが、私も子育てをしていますから
子どもたちの間にある、こうした階層や序列については多少理解はしています。
成績や運動神経、容貌や家庭環境
ありとあらゆる理由で、様々なパターンのヒエラルキー(階層)ができるのは
大人の社会も学校も同じです。
どういう階層に属することになるかは、なってみなければ分りません。
作者の村田さんは、現在30代の半ばで
実はうちの子どもたちよりも少し年長ですから
この小説に描かれた状況は、それほどかけ離れてはいないのでしょう。

現在学校に行けなくなっている子どもの数は
小学校で 約2万5千人、中学校で約10万人、高校では5~6万人
この数字は、ここ10年間ほとんど変わっていません。
もちろんその全てが、この小説で描かれた「スクールカースト」と名付けられた
学校や学級内での階層や序列が原因だとは思いません。
中学や高校に入れば、受験や進路の問題もあるし
生育環境や親子の問題もあるでしょう。
あるいはこの小説のもう一つの大きなテーマで
親には把握することが難しい性の問題もあります。
おそらく原因は、これとひとつに特定できるものではなく
いくつかの、あるいはすべての要因が複雑に関係していると思えます。

正直なところ、私のこの「しろいろの街の~」の読後感は
どうしようもないほどの息苦しさでした。
今の子どもたちの「空気が読めない」と思われることへの不安
「浮いた」存在や「ぼっち」になることへの恐怖
そうならないために神経をすり減らす日常。
一方の「コンビニ人間」では、幼い頃から人と違った言動が多く
そのために病気と思われた主人公の
社会で「普通」の人、「正常」な人と思われるようになるための戦いが
読み手の心をえぐるような、精緻な描写で描かれています。

娘は中学の終わりから不登校を経験し
その後通信制の高校を経て、その間好きだった絵を描き続けて
芸術系の大学に進学しました。
その頃の体験があるから、おそらく私の何倍も
この村田さんの小説に共感も感動もしたのだろうと思います。

私の仲のいい友達も、それぞれ子どもの不登校を経験しました。
対応の仕方はそれぞれ違いました。
カウンセリングを受けた人もいます。
現代の教育制度や不登校の問題について、勉強を続けた人もいます。
私はと言えば、ただひたすらご飯を作り続けて
子どもたちと、たくさん映画や文学、漫画や音楽の話をしました。
そこだけが思春期の子どもたちとの接点でした。
どれが正解ということではなく
みんなそれぞれに、自分にできることを試行錯誤しながら
精一杯やってきたという感じです。

もしも似ているところがあるとすれば
みんな、自分の子どもたちがなぜそうなったのかが少しわかった
つまり、親である自分たち自身にも
何かしら今の社会のあり方になじめない部分があり
だから何が何でも社会が要求する物差しに
自分の子どもを合わせなくてもよいと思えた
という点ではないかと思います。
まあそんな親だから、子どもがそうなるのだと言われてしまえば
そうなのかもしれませんが。

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