癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

精神保健福祉センターの取り組み(SMARPP)について

2015-12-20 06:53:36 | 依存症
前のブログにも書きましたが
先日送っていただいたジャパンマック福岡の会報には
今回私は参加できなかったのですが
11月29日に行なわれた開設二周年記念セミナーの概要が載っていました。

セミナーでは施設長さんの挨拶と、回復されている方の体験談
それに支援機関の方のお話があったようです。
お一人は、福岡市精神保健福祉センターの所長河野さんです。
その内容を一部要約しつつ転載します。

「福岡市精神保健福祉センターは、市民の精神保健機構のリーダーとして
活動しています。近年、力を入れているのが依存症対策(特に
薬物依存症)です。全国的な傾向ですが、薬物乱用防止のレベルは
上がってきましたが、依存症対策はまだまだの状態です。治療機関
医師、病院クリニックが少なすぎます」

薬物の使用は、お酒やギャンブルと違って、明らかに違法行為であり
緊急性や危険度も高いので、当面これが最優先の課題だと分かります。
けれど、前にも書いた通り、その薬物でさえ
欧米ではかなり以前から、処罰よりも治療をという流れになっていたのに
日本は、半世紀以上対応が遅れていて
それが、依存症全体についての一般の人の理解の遅れや
この治療機関の決定的な不足という現状になっています。

もちろんお酒やギャンブル、薬物といった既存の依存症も
ものすごく深刻な問題なのですが、それに加えて、若年層に急速に広まっている
スマホ、ネット、ゲーム依存の問題は
国が、上の人たちが動くのを待っていたら、たぶんあと百年くらいかかります。
その頃には、PCとかスマホといった実体のあるツールなんかとっくになくなって
ホログラム(3D映像)かなんかでゲームやってるかもしれません。

というわけで、私のこのブログも、最近は
現在子どもさんのスマホ依存に悩んでいる親御さんの中で
依存症というものを理解したいという意識を持たれている方に
まずは少しでも助けになればという内容に変わってきていることを
お断りしたいと思います。

河野所長のお話の続きです。

「薬物依存症は病院治療では完結しない病気です。病院からの退院後
地域での治療が重要になります。福岡市精神保健福祉センターでは
マトリックスモデルを使っています。ベースはSMARPP(スマープ)になります。
家族支援にはCRAFT(クラフト)を採用しています」

SMARPPもCRAFTも、現在の、依存症治療の最新の方法と思われますので
どういうものなのか、ウィキペディアからですが引用します。

SMARPP(スマープ)とは、アメリカのマトリックス研究所のマトリックスモデルという
依存症の治療プログラムを参考にして、神奈川県の精神医療センター
せりがや病院で開発された、外来の治療プログラム。
2006年からは、現在依存症治療の第一人者である松本俊彦先生が中心となって
各地の精神保健福祉センターなどでの運用が始まっている。

どういう内容かというと、依存物質の使用の防止には、認知行動療法を
回復を支持する場合には、動機づけ面接の原則を取り
8週間全21回の短期間で、依存症の知識と具体的な対処スキルの習得
に重点が置かれているということです。
ただこういう治療が、ネットやスマホの依存でも行なわれている機関は
今のところほとんどないというのが現状だと思いますが、それらの依存
に関する相談は、各精神保健福祉センターや、全国のジャパンマックなどの
民間の相談機関でも、受け付けてくださるはずです。

このSMARPP(スマープ)に関しては、セルフヘルプのワークブック
(自分で読んで、依存症への理解や対処の仕方を学ぶ)も出版されています。



「薬物・アルコール依存症からの回復支援ワークブック」

        松本俊彦,小林桜児,今村扶美著

   B5判 160頁 定価(本体2,400円+税) 2011年3月刊 

ネットでも購入することが出来るようなので、年が明けたら
私も入手して目を通してみるつもりです。

かねてからしつこく書いていますが「うちはスマホ問題だから
薬物とかアルコールは関係ないよ」という話ではありません。
依存症は、脳に変化が起きて、依存する対象から離れなくなる
依存対象に対する強い欲求、衝動が起きるなどの、大きな特徴は共通しています。
「薬物」「アルコール」と書かれている部分を
「ギャンブル」とか「スマホ」とかに置き換えて読めば
該当する点はたくさんあります。

そしてこれも度々書いていますが
依存の問題に向き合うことは「急がば回れ」でもあります。
対処法が分かっても、実行に移すのには慎重になってください。
動機づけ面接の話の時に書きましたが
依存症の治療には、患者と治療者との信頼関係が大切だと分かってきています。
親子で言えば、普通に話が出来ている、コミュニケーションが取れている
ことが前提で、それができない場合は
まずはお互いの信頼関係を構築するところから始める必要があるからです。
重症化して、日常の生活が困難になっているような場合は
家族だけで対応することは難しいので
やはり依存症に対応できる専門の医療機関や相談機関に
相談をしてみるべきだと思います。

また依存の問題は本人だけではなく
家族や周辺の人たちの理解や対応が大きく関わってくる話なので
それについては次回CRAFT(クラフト)についての話に書こうと思います。

去年の今ごろは「来年は喪中欠礼がいるんじゃないかしらん。
こっそり用意しとこうかな」などと妄想していましたが
今月の定期健診の先生のお話では「今のホルモン剤の
アロマシンが、急激な悪化を防いでいるという意味では効果あり」
との判断で、まだしばらくはホルモン剤治療でいけそうです。

とりあえず60才の誕生日もクリアしたし
新年も迎えられそうなので、来年も
「今日一日、できることをやる」という感じで
地道に、地味~にやっていきたいと思っています。





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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
少しうれしい (があこ)
2015-12-20 11:29:51
薬が効いて、進行がゆっくり
って聞いて、少し嬉しくなりました
ゴメンナサイ

思考ができる
楽しみが続けられる
大切なことだと思います
ありがとうございます! (りょう)
2015-12-20 13:08:24
私の病気のことを気にかけてくださり
無事を喜んでいただけて、本当にうれしいです。

乳がんは、がんの中ではわりと進行が遅い
ようですが、それも個人差があるみたいで。

先のことはまったくわかりませんが
一日一日を大切にしていきたいです。
お久しぶりです (トリー)
2015-12-21 01:20:17
りょうさん、お久しぶりです!
SMARPPもCRAFTも、ネット依存治療にあてはめられそうですね。久里浜での研修でも、やはり同じようなアプローチのお話をされていましたが、SMARPPとかCRAFTといった言葉は使われてなかったように思います。
りょうさんの情報、いつもとても興味深いです。ぜひ学んでいきたいなあと思っています。
心強いです (りょう)
2015-12-21 12:37:03
トリーさん、コメントありがとうございます!
ブログいつも読ませていただいています。

ネットやスマホの依存では、お子さんのことだけに
皆さん真剣に悩み、しかもあまり有効な具体策が
ないですから、本当に困られていると感じています。

けれど、そんな中でも、トリーさんのように
幅広く理解をしたいと考えられる意識の高い方
がいて下さることが希望です。

医療関係の方とか、公的な機関は
確かなデータの裏づけがある、お墨付きの情報
でなければ、公表も発信もされないのですが
それでは到底間に合わないと思います。

ですから役に立ちそうな情報については
依存症を理解するてがかりや
選択肢の一つとして発信していこうと思います。
トリーさんのように、しっかり受け止めて
くださる方がいてくださることが大きな支えです。

よろしくお願いします!

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