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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

こりもせず映画鑑賞

2016-04-14 16:07:10 | 社会・生活
先週は、娘に誘われて
岩井俊二監督の「リップヴァンウィンクルの花嫁」を観にいきました。
で、久々に映画館の大画面で映画を観ると
がぜん「映画観たい病」が再発して
「なんか面白そうな映画ないかなあ」とネットで検索。

珍しくダンナを誘って「モヒカン故郷へ帰る」という邦画を観てきました。

東京で、売れないデスメタルバンドをやってる永吉は
同棲している彼女の妊娠が分かったことで、7年ぶりに
ふるさとの戸鼻島という小さな島に帰る。

島で酒屋を営む父の治は、若い時からの、矢沢永吉の熱狂的なファン。
息子の永吉の結婚に、大喜びで知り合いを集めて大宴会を開くが
その直後に倒れ、末期の肺がんが見つかる。

実は、映画の告知のサイトで、お父さんが末期がんという話だと分かったので
娘を誘うか、ダンナを誘うか、ちょっと迷いました。
先日観た「リップヴァンウィンクル~」も、主要な登場人物の一人が
末期の乳がんという設定だったので
そんなに気にすることもないかなと思いましたが
やっぱり、それほど深く考えなさそうなダンナを誘ったほうが無難かなと。

伊藤計劃さんのブログに、こんな記述があります、
「自分が作ったわけでもない、誰かさんの映画に毎週毎日
こんなにも依存している、自分のほうがよっぽどおかしいのだ」

伊藤さんにはとても及びませんが、私も、本にも映画にもかなり依存しています。
けれど、ことギャンブルとかスポーツとかに関しては
正真正銘何が楽しいのか、どこが面白いのか、それこそ1ミリも分かりません。

「正直俺は運動会が大嫌いであり、スポーツ観戦というものに
子どもの頃から、ビタ一文関心がなかった」
と書かれる伊藤さんに、めちゃめちゃ親近感を覚え
まさに「師匠、一生ついていきます」という感じなのです。

「そんな、しょうもないものじゃなくて、こっちのほうが断然面白いよ」
と心の中では思いますが、こればかりは相手がそう感じてくれないことには
どうしようもないわけで、そこはお互い様ですから
長年、平行線のままで生きてきました。

最近クラフトで「相手の良いところを見つけてほめましょう」
みたいなことを勉強していますが
かつては「バラバラにして、トランク詰めにして捨ててやろうか」という
ところまでいったような夫婦関係ですから、勉強したからといって
一朝一夕に、歯の浮くようなセリフがいえるわけもありません。

そこで、私のほうも、ダンナが興味があるスポーツの話題で話を盛り上げる。
スポーツ界も、おめでたい話からダーティなネタまで
毎日ひとつくらいはニュースがあるので、話題には困りません。
ただスポーツにはどんな思い入れもないので
事件を起こそうがどうしようが「ふ~ん」という感じではあるのですが
それでも世間話のタネくらいにはできます。
ダンナもスポーツをネタにすれば、短いながらもコメントします。

そして、それと引き換えに私が観たいと思った映画やドラマを勧めてみる、と
お互いの趣味を通じて、接点を作る努力をしているわけです。
で「末期がんのお父さんが死んでしまう映画」を
そろって観にいったのですが、これが、いい具合に笑える、なかなかの良作でした。

だいたい映画やテレビでやる「病気物」というと
無駄に、感動をあおろうとする耳障りなBGMがうるさく
病人は、いまわのきわなのに長々としゃべり
号泣、嗚咽、涙、鼻水と、やたらに湿っぽいのですが
ほぼ予想通り、まったくそんな場面はありませんでした。

車を運転しながら、永吉がぼそっと言います。
「俺も最近知ったんだけどさ。やっぱ親って死ぬんだな」

そして治はそんな息子に何回も「早く東京へ帰れ」とせかし
「お前(永吉)にやさしくされると、明日にも死ぬような気がする」と言うのです。

どっちも素直じゃないと言ってしまえばそれまでですけど
そんな短い、普通の言葉のやり取りの中に
親と子、そして人間の生と死に直面したそれぞれの思いが凝縮されていて
くすくす笑いながらも、ちゃんとじーんとする映画でもありました。

ただ本当に真面目な方が観たら、不謹慎と思われるところも多いですので
あまりお勧めはしません。

今までダンナを誘った「猿の惑星」や「チャッピー」と比べると
ほんとに地味地味な映画だったので、ちょっと心配になって
帰り道に「どうやった?」と聞いたら
「月に一回くらいは映画も観に行ってもいいよ」という
返事が返ってきたので、まずまずではあったのでしょう。

「そうそう、今までギャンブルと、長年のアルコールの影響で
前頭葉が萎縮してるから、自分が知らない世界をどんどんみて
前頭葉を活性化させたほうがいいと思うよ」とは言いませんでしたが。

ついでだから書いちゃいますが、伊藤さんの映画論にはこんなのもあります。
「まず映画は「テーマを観にいくものではない」ということです。(中略)
「テーマがよくわからなかった」などという人は、映画を観に映画館へ行って
いるわけではないのです。代理店のコピーライターが考えた数行の
キャッチコピーを、わざわざ1800円払って映画館に確認しに
いっているだけなのです」

いつも私がもやもやしてる「愛と感動の○○」やら「友情の素晴らしさ」やら
「家族の絆」やらという映画のうたい文句を見て
「一行で要約できるものを2時間もかけて観る必要はない」という思いを
本当に的確に代弁してもらっています。最近の、特に漫画原作の日本映画は
まさにそんなのばっかりでげんなりしていましたが
「モヒカン故郷に帰る」は、なんの根拠も保証もない愛や希望や夢やらの
嫌らしい押し付けがましさがない良い映画でした。

リンクしている音楽ブログ「福岡のアーティストさんを応援するブログ」では
この映画の音楽ネタを書いています。「リップヴァンウィンクルの花嫁」は
「映画と本のある日々」に感想を書いています。



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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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こんばんわ (があこ)
2016-04-14 22:49:37
以前 どこかの映画評論家さんが
「全米が泣いた」「全米が震撼」「衝撃のラスト」というコピーの映画にいいものはない
と言っていたのを思い出しました

何かにドはまりした経験のない、そこの浅い私
本当に好きなことがない 「これをしてると幸せ~」という
ものがなく、なんとかしないと と思っています

一方旦那は、毎週のように、車の小さなパーツを購入し
車をいじっています
なんか楽しそうで悔しいです

旦那の良いところ?
出ませんねぇ(笑

電気に強く、修理ができるので便利です
でも業者を呼んだ方がましな場合が多々あり(爆
返信する
ありがとうございます! (りょう)
2016-04-15 15:21:54
今回の記事は、があこさんを不快にさせるのではない
かと心配でしたが、こうしてコメントを
寄せていただけて、ホッとしています。

二十年以上、映画館で映画を観るのは
とてもぜいたくで、子どもの映画に付き合う以外は
レンタルビデオで済ませていました。

でも、もうそんなにがまんしなくてもいいかなと
開き直ったというか何というか。
があこさんは、まだまだ現役ですから
たぶん自分の楽しみに向き合うには
あまりにもお忙し過ぎるのだと思います。
どうか体には気をつけてくださいね!
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