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命がある限り希望を持つということ

ギャンブル依存者の家族にとって大切なこと(2)

2013-07-31 11:52:37 | ギャンブル依存症
五年前ダンナと一緒に
福岡県の多重債務者生活再生相談窓口を訪れた。

ダンナがそれより三年ほど前に借金の返済に困り
お兄さんに頼んでお兄さんの名義で借り替えてもらった借金
それだけを返済し続けるなら生活が成り立たないことはなかった。

しかしダンナは肩代わりしてもらって返済した消費者金融のカードを
そのまま持っていて(しかも返済したために借り入れ可能額が増えていた)
再び借金をしてはギャンブルを繰り返し、じきに行き詰った。
当時のダンナはといえば、表情は虚ろでげっそりして、話しかけてもうわの空。
おそらく24時間借金のことで頭が一杯のようで
あまけに女性問題まで起すなど、すべてにおいて常軌を逸していた。
ダンナを問い詰めると「自分でも何をやってるか分からない」という答えが返ってきて
私は「ギャンブルで人間がこんなふうに壊れるものなのか」と
深い戦慄を感じずにはいられなかった。

私はその頃には「ダンナは間違いなくギャンブル依存症だ」という
確信を持っていて、何とか最悪の事態を回避することを考えていた。
最悪の事態というのは、借金の返済に追われて
あるいはギャンブルがしたいという衝動に負けて犯罪を犯すことだ。
あれほど正常な判断力も、思考力も、人間性も失われていれば
もう何が起きてもおかしくない、そういう切羽詰った状況だった。

それでまずはダンナの借金を、ちゃんとした低利の機関で借り替えようと考えて
県の窓口に相談したのだった。
そこで担当の人にこれまでの経緯を隠さずに話し
ダンナがおそらくギャンブル依存症だということも言った。
その説明の後に現在の我が家の家計の収支を書き出すように言われ
それを見た担当の人が「多重債務を抱える人は、何とか借金を借り替えて
少しでも返済の額を少なくしようという風にしか考えられなくなっているのですが
この家計で返済に当てられるお金がどれくらいあるか、冷静に考えて見てください」
と言われた。

私はその言葉でまさに目が覚めた思いだった。
そこまではまさに自転車操業で借金を返し続けてきたが
それをせずに、一方ではお兄さんへの返済も続けながら
二人の収入から数万円を返済するのはほとんど不可能なことだ。
そして担当の人と一緒に弁護士さんにも会い
個人再生で借金の整理をすることになったが
費用の面で弁護士さんに依頼するのは無理があるということで
最終的に司法書士さんにお願いすることになった。

家族が依存者の作った借金を解決するのは良くないと言われている。
それをやる人間は共依存だとも。
しかし正常な思考力や判断力を失った依存者が
まっとうな道筋で自分の抱える問題を解決するのはかなり難しい。
夫婦であれば離婚という選択肢もあって他人になることもできるが
親子や兄弟となればそれほど簡単にはいかない。
事態を破綻させずに問題を解決しようと思えば
家族がそのための道筋をつける役回りを追うことになる。
そこで何をどこまで助力するかは本当に難しいことなのだ。

そこの担当の方からはギャンブル依存症やGAに関する資料もいただいた。
ダンナの多重債務や任意整理などの問題を通じて
出合った人たちの中でギャンブル依存症のことやその対処の方法を
一番正確に適切に理解していた人だったように思う。

電話で確認したところこの組織は現在も活動をされている。
福岡県が出資し、運営をグリーンコープ生協に委託していて
名称は福岡県多重債務者生活支援相談窓口
TEL 092-482-7788
(月~金 AM.9:30~PM6:00 曜日時間については要確認)

ここは福岡県に在住する人を対象に活動しているが
他の都道府県でもおそらく同様の機関を設置している所もあるのではないだろうか。

借金のもともとの原因がギャンブルである場合には
その借金をした人間はほぼ間違いなくギャンブル依存症なので
それについての何らかのアドバイスも受けることができるのではないかと思う。