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癌と生きる 依存症と生きる

命がある限り希望を持つということ

今年最後の通院日

2016-12-10 16:20:58 | 癌のこと
今週の火曜日は、年内最後の通院日でした。
今月は特に検査などもないので、簡単な診察をして、お薬をもらうだけです。

「食欲はどうですか?」
「痛みは、今のお薬で効いていますか?」
「他に変わったことはありませんか?」
ドクターの質問は、毎回だいたいこんな感じです。

そこで前回聞き忘れた質問を。
私のがんの痛みは、何パターンかあって
夏から出たのが、胸骨の患部側の痛みです。
ここに、ズクンズクンという鈍い痛みが出ると
ロキソニンでは治まらず、トラマールを飲みますが
この2種類の鎮痛剤の飲み方
つまり何時間あけるとか、一日何錠まで、とかいうのを聞いてなくて
ドクターに聞いてみました。

すると「ああ、あんまり神経質に考えず、痛いときは飲んでいいですよ」と。
確かに、がんという病気は、例えば標準治療をしていたら
いろんな種類のお薬をたくさん飲む病気だし、私の場合飲んでいるのは
麻薬未満の鎮痛剤だけですから、先生の答えはおおらかなものです。

ロキソニンの袋には「6時間あける」と書いてあるので
それを目安にしていますが、トラマールはどう使えばいいのかがよくわからなかったのです。
すると看護婦さんが「トラマールを使用される患者様へ」という
小冊子を持ってきてくれました。

今は朝方から少し痛みが出るので、朝食を食べたらロキソニンを1錠
そのまま、日中痛みがなければ、夕食を食べて夜の9時ごろにトラマールを1錠
というスケジュールで痛み止めを使っていますが
貰った本を参考にして、途中で痛くなったら
間隔が短い時はトラマール、5、6時間空いている時はロキソニン
夜中に痛んだら、時間には関係なくトラマールというように飲み分けています。

診察が終わってドクターに
「また来年もよろしくになっちゃいましたけど
来年もよろしくお願いします」とご挨拶し
看護婦さんが「何かあったら、すぐご連絡くださいね。
良いお年を」と笑顔で送り出してくださいました。

告知を受けた年は、私自身も、そして家族や友人にも
「来年のお正月はないんじゃないか」という感じの
ぴりぴりした雰囲気がありましたが、それから3回目のお正月が来ます。
前に、伊坂幸太郎さんの「死神の浮力」という本で見かけた「還元キャンペーン」
本当はもう寿命なのに、死神界がキャンペーン中なので
ちょいと余命を伸ばしてくれるという話が出てきます。
私の余命も、その還元セールとかキャンペーンなんかで
死神さんがちょっと盛ってくれているのかもしれません。

「まったくめでたいお正月前に、なんてこと言うんだ」と怒られそうですが
「後ろ向きも行くとこまで行けば前向きになる」は私のモットーです。
「明るく前向きに希望を持って」と「ネガティブとマイナーを極める」という
正反対のベクトルを同時に生きることはできないので
そこは、来年もブレずに、この道一筋でいくつもりです。

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家庭内本屋生活

2016-12-05 10:44:51 | 社会・生活
11月は無事にSIONさんのライブにも行けて
「もうこれで思い残すことはない」モードでしたが
実は延び延びになっていた、伊藤計劃さんの「虐殺器官」のアニメ映画の公開が
2月に決まり、そこまではがんばらねばと決意を新たにしています(おおげさな)

Kindleが来てひと月半
寒くなってきたこともあって、引きこもりの度合いが加速していますが
先日ダンナが「Kindle何冊になった?」と聞くので数えてみました。
今野敏さんの警察小説「宰領 隠蔽捜査5」「転迷 隠蔽捜査4」そして「触発」
ダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」(上・中・下)の三巻
相場英雄さんの、原発事故に絡む補償金詐欺を描いた社会派小説「共震」と
榎本憲男さんの「エアー2.0」
そして貫井徳郎さんの「愚行録」と柴田よしきさんの「激流」(上・下)

あとは、久しぶりに円城塔さんの短編「世界でもっとも深い迷宮」と
伊藤計劃さんの「ハーモニー」とのつながりで
神林長平さんの「今集合的無意識を」
それとサンプル版でダウンロードされた「教団X」とか
吉田修一さんの新作「犯罪小説集」のお試し版とか。
ダンナには「数えてみたら買ったのは13冊やったよ。全然たいしたことないよね。
Kindleは1000冊くらいダウンロードできるみたいやし」と返事しましたけど
事実をなるべく少なく見たい、見せたいというのは、ばっちり依存症者の発想です(笑)
(100万円借金があるのに「50万くらい」なんていうアレ。
もしくは300万借金ある人に会って「俺は100万だから少ない」と思うアレ)

この一見バラバラな、自分の読書傾向を自己分析してみました。
まず「自分が生きている、半径1キロとか3キロの範囲の出来事が中心の物語」です。
自分自身とか家族(親子とか夫婦、兄弟姉妹など)職場の上司とか同僚、部下
学校の先生とか友人、隣人知人といった、限られた関係性の中だけで話が進むもので
「愚行録」とか「激流」、先日紙の本で読んだ「コンビニ人間」とか「クリーピー」がこれです。

もう一つは「自分の周辺だけではなく、日本とか世界の政治とか経済とか社会の現実を
視野に入れて、それらとの関係性の中で、人間を描いていく物語」で
今野敏さんや相場英雄さんの社会派ミステリーがそれで
松本清張さんや宮部みゆきさん、東野啓吾さん
そして吉田修一さんなんかの一部の作品ともリンクしていて、私はこのあたりが一番好きです。

過去にも書きましたが、例えば長年苦しめられた依存症の問題ひとつにしても
その原因や対応の方法を、半径1キロ(本人、家族、友人知人といった)の範囲だけで考えると
私のような凡人は、間違いなく行き詰まります。
本人が悪いのか、いや自分が悪いのかもしれない
生育歴に問題があった(親のせい)のか 仕事のストレスか などなど
どれだけ考えても堂々めぐりで、突破口が見えません。

そこで、個人を取り巻く社会のありようを知る努力をすると
これだけたくさんの、様々な依存症者を生み出している直接の原因が何で
その背景には、どういう政治や企業の考え方や姿勢があり
そのことが、さらに依存症を予防したり治療に取り組むために必要な
規制や対策をも阻害しているかを、おおざっぱにではありますが、理解することができます。

知ることで、即そうした現実を変えることができるわけではありませんが
少なくとも個人にすべての責任があるという、閉塞的な考え方からは抜け出すことができます。
そして更にその先に何があるのかを私に見せてくれたのが、伊藤計劃さんであり
伊藤さんを通して出会ったSF作家さんたち。
今月読んだ本であれば
「エアー2.0」とか「今集合的無意識を」などが描いている、第三の世界観でした。
まあそこは、人類が絶滅したり、人間の意識が消滅したりする
なかなか剣呑な世界ではあるのですが。

「圧倒的なリアルの力に対抗するには優れたフィクションしかない」
これは「今集合的な無意識を」の中のことばですが
このフレーズは、私の胸にすっと落ちました。「ああ、そういうことなのだな」と。

「何を言ってるのかサッパリ分からん!」と怒られそうなオチしか書けませんが
老化と劣化でヨレヨレの前頭葉を何とか活性化させながら
こうして折々に頭に浮かんだことを書いているこのブログ
読んでいただいている方には本当に感謝しています。


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私にとっての「今日一日」

2016-11-30 10:58:11 | 社会・生活
そろそろ来年のカレンダーを、という季節になりました。
当然猫物で、この三年ほどは「猫川柳」というシリーズにしています。
岩合さんのカレンダーと、どっちにしようかと迷いましたが
やっぱり来年も「猫川柳」でいくことにして、アマゾンに注文しました。

一昨年の春、乳がんステージⅣの告知を受けた時は
私も、おそらく家族や友人の脳裏にも「来年のお正月は無理かも」という
思いがよぎったと思います。病名と進行状況からいって
そういうイメージの病気だからです。

最初から治らないということは分かっていましたから
とにかく一日でも長く普通に暮らしたいと思って
比較的副作用が軽いといわれる
ホルモン剤での治療を選択して、今に至っています。

ホルモン剤には腫瘍を縮小させるほどの強力な効果は望めないので
自壊している患部は、少しづつ増大し続けていて
あと少しで腋のリンパ節の転移部分とくっつきそうです。
浸出液は終日出ていて、大量ではないまでも出血もあります。
患部のある左の手は、肩から手首までむくみがあって
まっすぐ手を挙げるのは無理で、あまり重いものは持てません。
そんな状況ですから、主治医の先生にも、私自身も
これから、いつごろ、どんな風になっていくかの予測は立ちません。

今でも日常生活にはほとんど支障がなく暮らせていますが
だから半年後、一年後も大丈夫というふうには考えていません。
けれどそれは、自分の病気や将来を悲観的に考えているのとは少し違います。
何回か書いていますが、治らない乳がんを告知されてから
今まで依存症の話の中で、何回も聞いた「今日一日」という言葉が
私にとって、大きな意味を持つようになりました。

もしかしたら、これが最後の一日になるかもしれない
今日一日が、何事もなく終わるだけで幸せ、なんて書いていると
「あ~あ、きれいごといっちゃって」と、頭の中で悪魔の声がします。
最近ずっと浦沢直樹さんの「ビリー・バット」を読んでいたので
もしかしたらコウモリの声かもしれませんが(笑)

自分の病気については、それほど心配をしてないのですが
ダンナのこと、子どもたちのことでは、不安がまったくないなんてことはありません。
特にダンナ。酔って煙草つけたまま居眠りしてたりするのを見ると
「私が死んだあと、この人は大丈夫なのか」と思いますが
そんなことを考えていたらきりがありません。

そのダンナ、先日一緒に行ったSIONさんのライブが
よっぽどインパクトがあったのか
ライブ後「車で聴くからCDを買いたい」と言うので
入門編として、代表曲がほとんど入っている2枚組を買いました。

乳がんを告知された頃、音楽のブログで
SIONさんの「後ろに歩くように俺はできていない」という曲を紹介しました。

「後ろに歩くように俺はできていない 今日を行くだけだ たとえ亀より遅くとも」

という歌詞が、その時の自分の気持ちにピタッとハマったからです。
その私の心の師匠であるSIONさんの歌に、ダンナの気持ちが少しでも動いたとしたら
こんなにうれしいことはありません。

そしてこの前、娘に「お母さんみたいに、60才近くなったからの乳がんっていうのは
高血圧なんかと同じで、老人病の一種だと思うよ」と言ったら
「またそんなことを。お母さんのそういう俺様理論は認めないから」と
手厳しくはねつけられましたが
私としては、こんな感じの「今日一日」を一日一日つないで
行けるところまでいくのが今の目標。
そして、できるだけ自然に、終わりに近づけていけたらといいなと
こっそり考えているわけです。



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りりィさん

2016-11-24 10:33:03 | 社会・生活
思い出話をするようになると、なんだか自分がひどく年寄りになった気がするのと
基本的に「過去」になった時間を蒸し返さないというか
振り捨てていくほうが性に合っているので、あまり昔のことは言いたくないほうです。

そんな私でも、不意に30年、40年昔にタイムスリップする瞬間があります。
SIONさんのライブに行く直前
二人の、とてもなつかしいミュージシャンの訃報が流れました。

そのうちの一人がりりィさん。
十代の頃に「タエコ」というアルバムを買いました。
「私は泣いています」という曲がヒットして、それが入ったアルバムでした。
当時、初期の中島みゆきや浅川マキ、そしてりりィ
ハスキーヴォイスの、これでもかというくらい暗い歌が好きでした。
亡くなられて知ったのですが、りりィさんは、私よりも3つ年上。
その頃20代の前半だったわけですが、すごく大人の雰囲気がありました。

その後しばらく活動されていない時期があって
再びりりィさんに出会ったのは、黒沢清監督の映画「ニンゲン合格」
それからは、ちょくちょくドラマや映画に出演されていました。

今年の春、娘に誘われて観にいった「リップヴァンウィンクルの花嫁」
AV女優をして大金を稼ぎ、そのお金で御殿のような屋敷に住み
おとぎ話のような暮らしをする真白(Cocco)という女性の母親役。
末期の乳がんを告知されていた真白は、自ら命を絶ち
遺骨を届けにいった、黒木華さんと綾野剛くんの前で
りりィさんは全裸になって「裸は恥ずかしい」と叫ぶ。
さすがの黒木華さん、綾野剛くんもかすんでしまうほどの渾身の演技でした。

現在封切られている「湯を沸かすほどの熱い愛」などにも出演されていて
音楽のほうも、中止になったものの
5月までライブをされる予定だったようです。
ミュージシャンとか俳優とかの肩書にこだわらず
自分にできることを精いっぱいやる
その揺ぎなさが、かっこいいです。心から憧れます。

浅川マキさんは、りりィさんよりももう少し年長で、8年ほど前に他界されました。
そしてこのお二人は、私が知る限り
女性ミュージシャンの中では、とにかく「紫煙の似合う女性」でした。
あれから40年が経った今でも、
煙草の煙が漂う中での、浅川マキさんとりりィさんのたたずまいは
やっぱり私には絶対届かない大人の女のイメージなのです。

りりィさんが亡くなられた原因は肺がんだったということですが
向こうの世界でも、おいしそうに煙草をくゆらせておられるのでは
なんて思っています。ご冥福を心からお祈りします。

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ジャパンマック福岡3周年記念セミナー行きました

2016-11-18 13:22:08 | 依存症
ずいぶんご無沙汰をしたので
この前の日曜日に「ジャパンマック開設3周年記念セミナー」に行ってきました。
ただしあまりハードスケジュールを強行するのはさすがに不安なので
お昼休みをはさんでの午後の部のお話を聞いてきました。

受付に「クラフト学習会」の講師をされた先生がおられて
「お久しぶりです」と声をかけてくださり
クラフトでご一緒した方ともお話しできました。

午後の部の最初は「ゆうきあきな心のクリニック」の結城先生のお話。
依存症だけに限定するのではなく
最近あらゆる年代に共通し、さまざまな心の問題を引き起こす原因となる
「生き辛さ」とどう向き合うか
どうすれば生きていきやすくなるかということを
医療者の視点から、わかりやすくお話していただきました。

その後現在マックを利用している方の家族のお話や
東京のみのわマックの職員さん(ご自身がアルコール依存症からの回復者)のお話があり
最後に利用者さん全員によるコーラス。
選曲はブルーハーツの「終わらない歌」とボウイの「only you」
最初の曲はたぶんGReeeenだと思うんですけど
私の管轄外なので分かりませんでした(笑)

施設長さんも言われてましたが、利用者さんがかなり増えて
現在50名近い方がプログラムによる回復に取り組んでおられるということで
全員が前に出てのコーラスは壮観でした。
それでも、福岡市の人口だけを考えても
潜在的に何らかの依存の問題を抱えている人や、その家族の数は
おそらくその何十倍というか、下手をすれば何百倍にもなるはずで
その中のたとえお一人でもいいから
「相談できる場所がある」という情報にたどり着いていただきたいと願っています。
セミナーでも「何かご相談がある方は遠慮なく
スタッフに声をかけてください」と呼びかけられていました。

もう一つ、私の長い間の懸案だったのが「ビッグブック」
これは、AAの創始者ビル・Wとドクター・ボブによって書かれた
「アルコホーリクス・アノニマス」の略称というか愛称で
どうすれば回復できるのかが克明に書かれている本です。

12ステップによって依存症から回復しようと努力されている方にとっては
「回復のバイブル」とも言えるような本で
「読んだほうがいいんだろうな」と思いながら、今まで未読でした。

それでセミナーが終わったあとで、会場の書籍販売のコーナーで
「あの~、ビッグブックのことを分かりやすく書かれた本はありませんか」と聞いて
「プログラムフォーユー」という本を買ってきました。
が、が、が、序文に「ビッグブックを入手し、240ページまで
注意深く読むことが必要不可欠である」と書かれていて
いきなり「ズルは駄目です!」と怒られた気分でした。
「そもそも興味本位でダイジェスト版で済ませるというその根性が」と
天国のビルさんとボブさんに、小一時間説教をされそうです。

けれど「依存症」とひと口に言っても
AAやGA,NA,あるいは家族のためのギヤマノンや抗酒会のような自助グループ
精神科や心療内科、セラピーやカウンセリングのような医療と
様々なアプローチがある中で
そこで用いられている用語のひとつひとつにしても説明も
簡単には理解できないことのほうが圧倒的に多いのです。
結城先生のお話の中にも、最近耳にする「マインドフルネス」という言葉が出て
来ましたが、ぱっと聞いただけではやはりよく分かりません。

日本は依存症治療では、欧米よりは半世紀以上遅れていて
まだ鎖国していた江戸時代くらいと、ほとんど変わりありません。
おまけに未だにこの鎖国のような状態が続いています。
ですから依存症について勉強し始めて、かれこれ8年近くなりますが
まだまだ知らないことが山のようにあって、まったく手探りの状態なのです。

なので、たとえダイジェストにしろ、さわりだけにしろ
「知らないよりは知っていたほうがいい」という
広く浅く的なな私のやり方について
ビルさんとボブさんには、あまり怒らず
温かく見守っていただきたいなと思っています。


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