それでも僕はテレビを見る

社会‐人間‐テレビ‐間主観的構造

僕らの楽曲

2012-07-24 19:20:12 | イギリス生活事件簿
エースとイタリアで例の曲をちゃんと完成させようと約束した。

大した曲ではない。一曲作るだけだから、そんなに難しいわけではない。

が、お互い忙しいだけじゃなく、やる気が出たり出なかったりで、なかなか進まなかった楽曲制作。

帰国間際の今日、一応、僕のレコーディングが終わった。



昨日の晩、彼からメールが来て、「明日の朝やろう」と言ってきた。

何度も明日やろうって言いながら、エースはその約束をすっ飛ばしてきた。

そもそも、ギターのコード進行だけ聴かされて、僕に作詞、作曲、コーラスワーク全部やれっていう無茶苦茶な課題だったから、もう放っておくことにしていたのだ。

けれど、エースが以前作った楽曲を聴いたとき、少し考えが変わった。

その楽曲は確かに少し荒削りだったのだけれど、ものすごくユニークで心を惹くものがあった。

ボーカルがなくインストゥルメンタルだけだったその楽曲に(あるいは、同じような曲をもう一曲作ってもらって)、ぜひともボーカルを入れたいと願い出たほど、それは良かった。

やればできるじゃん、とその時思ったのであり、出来ないから全部丸投げしているわけではないんだな、とも思った。



僕らがレコーディングを開始したのは半年以上前。

イギリスに帰ってきて直後に録音させられて、それで不本意な結果になった。

そこで3か月くらい前(つまりイタリアに行く前)に新しい歌詞、新しいメロディで再録音していた。

考え抜いて作った新しい楽曲だったのだが、エースはそれを聴いて渋い顔をした。

「・・・Jポップだね。」

何でもいいわけじゃないんだな、と初めて気付いた。

前回のテイクはひどかったのに、誰から構わず聴かせて、やたら褒めてくれたエース。

きっと何でもいいんだろうと思ったのに、全くそうじゃなかった。

「最初のやつが良かった。あれは本当に良かったんだよ。母さんも言ってたよ。」

君のお母さんの感想は知らんけど、そうか、あれが気に入っていたんだね。

僕は最初に勢いで作ったメロディと歌詞をもう一度歌うことにした。ただ、その後、レコーディングは先延ばしされることになる。



今朝、エースはちゃんと起きてきて、そして録音機器をすべてリビングに揃えていた。

本気だった。

僕は図書館に行こうと思って下に降りたのだが、そのままレコーディングすることになってしまった。

前の晩、修正した歌詞を手に僕は歌う。

コーラスもどんどんつける。コーラスを付けるのは慣れている。学部生の時、ずっとやっていたから。

エースが席を外している20分あまりの間にすべて録音し終わった。

完璧ではないけれど、荒削りなままでもいいだろう。

エースはまさかその間に全部のコーラス(5声)を録音しているとは思わなかったようで、とても驚き喜んでいた。

「早いね!あの短時間で!?すごいね!」



さっきエースからメールが届いた。エースは「メール送ったぁ!」と、彼の部屋から叫んでくれた。

曲のミックスが出来たという。

聴いてみたら、エースがギターをいくつも足しており、僕のボーカルとコーラスも編集され、リバーブもかけられている。

僕のボーカルは相変わらずひどかったし、人に聴かせられるようなものではないのだが、でもエースのミックスはとても素晴らしかった。

帰る前にできて良かった。イタリアに一緒に行ってした約束だから。

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