それでも僕はテレビを見る

社会‐人間‐テレビ‐間主観的構造

イタリア式コーヒーとお母さん

2012-02-19 22:06:21 | イギリス生活事件簿
家では、毎日イタリア式のコーヒーと呼ばれるものが飲まれている。

僕はコーヒー自体は好きなのだが、精神に変調をきたすことがしばしばあるのでタイミングを計って飲むようにしている。

イタリア式のコーヒー、それはつまりエスプレッソなのだが、エスプレッソはそれ用の機械が必要だ。

エスプレッソとはその名の通り、短時間という意味で、お湯でコーヒーを出すのではなく、蒸気でコーヒーを一気に出す方式だ。

日本にいる私の彼女はエスプレッソマシーンを持っていて、それでよく甘いコーヒーの飲み物を作ってくれたものだ。

これに対して、うちのフラットの方式はそうしたマシーンによるものではない。

写真にある小さな金属製のひょろ長いヤカンのようなものを直接火にかける。

この道具の下半分には水が入るようになっていて、その上にはコーヒーの粉が入るケースがある。

火にかけ、一気に蒸気を上げることでコーヒーは濃く入り、それを少量飲むのがイタリア式だ。

少し砂糖を入れて甘くすると最高に美味しい。

しばしばそこにミルクを入れて、それをミキサーにかけてラテのようにする。

このラテ用のミキサーがどういうわけか、エスプレッソマシーン並みに大きいのだが、そんな必要があるのか全く分からない。



今日はエースのお母さんが遊びに来て、何人かで一緒にランチに行った。

彼女はエースから僕のこともずいぶん聞いていたのか、名前を覚えてくれていてとても嬉しかった。

以前録音したが、あまりにも下手だったゆえに封印したい例の僕の歌も「聴いたわ、とても上手だったわ!」と述べてくださり、それは僕の心を打ち砕き、生きる力を削る衝撃の事実であった(自分の曲をお母さんに聴かせるなんて頭どうかしてる、良い意味で、良い意味で)。

本当は僕の好きなイタリア料理のレストランに行きたかったのだが休みで、美味しい料理で有名なパブも満席で、結局、中華料理屋さんに行くことになった(エースはこの地域のレストランを知らないというから、僕がいくつか紹介したのだが不本意な結果となった)。

フラットメイトの親御さんと食事に行くというのは何とも奇妙というか、緊張してずいぶん疲れた。

お母さんは音楽が結構好きな様子で、エースとビートルズの話をしていたら参加してくれた。

「私はビートルズよりもローリング・ストーンズの方が好きだったわ。ビートルズの良さが分かるまでにはずいぶん時間がかかったわね。」

妙齢の女性がローリング・ストーンズについて語っている様子は僕にとってはとてつもなく格好良く映ったのだが、イギリス人がローリング・ストーンズについて語るのは全く普通のことなのだろう。

せっかく来てもらったのだからもっとサービスしてあげたかったのだが、結局、何も出来なかった。

こういう外交仕事は向いていない。日本にいたときの海外接客はいつも僕の彼女がやってくれたものだ。ここに彼女がいてくれたらと思うが、自分で頑張れという話である。

すぐにではないが、次はイタリア人のお母さんが遊びに来るらしい。一体どういうお母さんなのか非常に気になる。

たぶん僕のことも色々聞いているだろう。バレはお寿司を作ってあげたいと言っていた。気が変わってくれればいいと思う。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿