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人生、いつだってこれから

2010-07-31 14:02:19 | Weblog
最近読んだ本の中で感銘を受けた2冊をご紹介します。ひとつは「露の身ながら」《集英社発行》。突然の脳梗塞で声を失い右半身不随となられ、嚥下障害もある免疫学者多田富雄氏と原因不明の難病のため研究生活を断念され、30年余り病と闘っておられる遺伝学者柳澤桂子氏、お二人のいのちへの対話を往復書簡形式で語られています。お二人の生命科学者が苦しい闘病生活のなかで科学やいのち、病気、介護、老い、家族、友人、戦争、平和などなどについて述べられています。多田氏は左手を駆使してパソコンで文章を書かれ、著書活動もしておられます。生きる力、活力の元となったのはこのお手紙のやりとりであったと結んでいます。能楽にも造詣が深く新作能の作者としていくつかの作品を手がけています。
私はこの本を読んで”生きる”ということについていろいろ考えさせられました。

もうひとつはテレビでも取り上げられ話題になっている詩集
くじけないで」《飛鳥新社発行》。作者は今年99歳になられる柴田トヨさんです。詩を書くきっかけは腰を痛め、趣味の日本舞踊が踊れなくなり気落ちしていた時息子さんにすすめられたことでした。
90歳を過ぎてから産経新聞の「朝の詩」に応募し、入選した感動が忘れられず、ずっと続けてきました。老若男女を問わず読者の反響が大きく、多くの感想が寄せられています。ひとつひとつの言葉が新鮮で深みがあり、心やさしさと温かさに満ち溢れ、心に響きます。時々訪れてくる息子さん家族や訪問看護をしてくださる医師や看護婦さん、ヘルパーさんに感謝しながら「ひとり暮らし20年、私しっかり生きています」「人生、いつだってこれから。だれにも朝は必ずやってくる」という柴田トヨさんの言葉に元気を頂きました。



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8 コメント

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柴田トヨさん (m-kei)
2010-07-31 20:15:49
産経新聞の「朝の詩」に掲載されたとき、90歳を越えているとは思えないみずみずしい感覚で書いている詩を楽しみに待っていました。今から5年ほど前でした。1冊の詩集にまとめられた「くじけないで」はまだ読んでいません。反響があるようなので早く行かないと売り切れてしまうかもしれませんね。
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露の身ながら (RUNA)
2010-08-01 11:57:54
お二方ともきっと科学方面では著名な方なのでしょう。難病の中でワープロで文章を打ち著書を書かれていらっしゃるのはすごい事ですね。どんな往復書簡なのか本をぜひ読んで見たいです。

詩集「くじけないで」は読みました。ご高齢とは思えないみずみずしい感覚で物事を捉えていらっしゃるのに驚きます。柴田トヨさんは皆さんから愛される心やさしい方なのですね。素朴でありのままの詩が心をうちます。
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2冊の本 (ゆかり)
2010-08-01 14:20:29
良い本を紹介下さいまして有難うございます。
普段あまり読書をしない私です。時々本屋さん
へ行きますがずらりと並べられた本に目移りし
て結局何も買わずに帰ってきます。
人生についてというか生き方について書いた本
を読み少し考えてみたいと思います。

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m-keiさま (モナリザ)
2010-08-03 12:45:26
産経新聞のみならず朝日新聞、読売新聞など
多くのマスコミで大反響があり、感動と共感
をよびました。90代というご高齢なのに意欲
的で前向きに生きていらっしゃるのがすごい
ですね。いろいろご苦労があったからこそ
今日があるのでしょう。
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RUNAさま (モナリザ)
2010-08-03 12:54:40
多田富雄氏は今年4月21日にご永眠されました。
心からご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
世界に名の知れた免疫学の第一人者であり多数の
著書を残されました。
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ゆかり様 (モナリザ)
2010-08-03 12:58:21
まだお若いのですから各方面の本を読んで
あなたの人生への糧となさってください。
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柳澤桂子氏 (NOBUKO)
2010-08-04 18:23:12
柳澤さんの「生命(いのち)の不思議」という著書を読んだことがあります。非常に頭脳明晰で科学者には稀に見る文才。お写真で拝見しますと美しい方です。研究生活半ばで原因不明の難病が発病してどんなにか悔しかったことでしょう。苦しい病気と闘いながら何冊かの著書を書かれています。
多田富雄氏はご永眠されましたが世界の科学者として惜しい方を失い本当に残念に思います。
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NOBUKO様 (モナリザ)
2010-08-09 12:02:03
「生命の不思議」私も読みました。
原因不明の難病から奇跡的に回復されましたが
しかしいまだ完治せず時々の激痛と闘いながら
著書を書き続けておられるその生命力はどこ
からくるのでしょうか。お勧めの氏の著書は
「愛をこめ いのち見つめて」
「すべてのいのちが愛おしい」(生命科学者が
孫に宛てた手紙の形をとっています)
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