このところすがすがしい秋が続いています。気持もからだも自然に外へと動きだします。散策と二つの展覧会を楽しみました。10月5日 損保ジャパン東郷青児美術館で開催されている《
モーリス・ドニ展》と終了前日の10月9日 サントリー美術館で開催されました《
あこがれのヴェネチアングラス展》を観賞し感動のひとときを過ごしました。
モーリス・ドニ展~いのちの輝き、子どものいる風景~
19世紀フランス印象派を代表するモーリス・ドニ(1870-1943)の展覧会は今までに日本で2回(1981と 2003年)開催されていますが今回の展覧会は「家族」と「子ども」をテーマにした点で趣を異にしています。自身の家族はもちろん知人や友人の家族の幸せな姿を描き、幸せに包まれた瞬間をとらえています。大震災後家族の絆が強まり家族の愛が見直されているいま、この時期に開催されたのは偶然なのでしょうか。家族の優しさ温かさが伝わってくる数々の作品に胸がじーんとなりました。
家族の肖像 ログデュイのおやつ ポールの昼食
上段左《
家族の肖像》「家族」はドニにとっては重要なテーマでした。母(ドニの妻マルト)のあふれる愛情に包まれた3人の子どもの和やかな可愛い表情に惹きつけられます。しかしドニの美しい妻マルトは5人の子どもを残して48歳の若さで亡くなります。
下段左《
バルコニーの子どもたち》2人の姉妹が末っ子の妹に注ぐやさしい温かい眼差し、愛情が感じられます。病床にある母親代わりをしています。夕暮れの光が洋服に反射してピンクに染めています。背景の水色とピンクの組み合わせがとても美しいです。
下段真中《
子どもの身づくろい》子どもを抱く母親を父親の視線を通して描いています。ドニは家族のくつろいだ姿を多く描きましたが毎日の生活の中でごく自然な母子の姿を愛情深く表現しています。リラックスした様子の中からやさしさが伝わってくる作品です。
下段右《
ボクシング》兄と弟がボクシングをしています。母の病気でかまって貰えないで寂しい思いをしている弟を兄は元気づけています。自分も寂しいのにがまんしているのでしょうが兄弟愛がボクシングを通じて伝わってきます。
あこがれのヴェネチアングラス展
サントリー美術館開館50周年記念《美を結ぶ 美をひらく》をテーマに開催され、10月10日に終了しました。16~18世紀の140作品が展示されましたがいずれも繊細優美で豪華。”息をのむような美しさ”とはこのようなことをいうのかを実感しました。ひとときの夢を見させて頂きました。
レースグラス ドラゴンステム・ゴブレット 舟形水差