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9月の終わりに

2012-09-25 20:21:35 | 画像をすべて表示
「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り21日から急に涼しくなり秋本番をむかえました。季節の変わり目、体調を崩さないように気を付けていきましょう。

お彼岸の日、菩提寺(傳通院)へお墓参りへ行きました。墓参をした後いつも素通りしていたのですが横の道へ入ってみますと、かわいい阿弥陀三尊像と歌碑に出会いました。山門の完成とともに境内の中もきれいになり、樹木で隠れていた仏像が美しいお姿となってあらわれ、お顔は優しく柔和で微笑んでくれているようでした。そばには歌碑も他の場所から移され、辛夷の花の満開のころぜひとも観たいと思いました。




勢至菩薩   阿弥陀如来  観音菩薩


国立能楽堂で秋の「金剛のお能」を楽しみました。最後の演目「天鼓」(てんこ)は親子の心の強いつながり(絆)を切々と謡いあげ舞う姿に心を打たれました。

ストーリーは、中国、後漢時代のお話。昔中国に王伯王母という夫婦がいました。妻は天から鼓が降り下り、胎内に宿る夢を見て一子を生み、その名を天鼓とつけました。その後本物の鼓が天から下り、その子どもの手に入ります。それは実に美しい音色を奏でます。その噂を伝え聞いた天子(皇帝)は鼓を献上するように命じます。少年はそれを拒んで山中に逃げましたが探し出され、鼓は召し上げられ、その身は呂水に沈めれれてしまいます。宮中に運び込まれた鼓は、その後、誰が打っても音を出しません。

(この能はここから始まります)
そこで勅使が少年の老父のもとにつかわされ、宮中へきて鼓を打つように命じます。愛児を失なった老父は、日夜悲嘆にくれていますが、勅命を受け、自分も罰せられる覚悟で参内します。恐れ且つ懐かしむ心で鼓を打つと、不思議にも妙音を発しました。この奇跡に、天子も哀れを感じ、老父に数多の宝を与えて帰らせます。

老父は最愛の子 天鼓のために、呂水の堤で追善の管弦講(音楽法要)を行います。すると天鼓の霊があらわれ、いまは恨みも忘れて手向け舞楽を謝し、自ら供えられた鼓を奏し、喜びの舞を興じます。



親子の愛情と名器の神秘を主題とした作品です。二段構成から成り前場(まえば)では最愛のわが子を失った父の痛ましいまでの悲しみと、誰一人として鳴らすことのできなかった鼓、亡き子のかたみの鼓が鳴り響いた時、こどもと心の交流感を得た父の満足感と喜びがそこにあります。後場(のちば)では鼓と戯れ遊ぶ少年の喜びに溢れた姿が表現され、ゆったりとはこぶ舞が優美です。
時の権力者にも自由にならないものがあることを象徴するような親子の心のつながりの深さを感じます。
素晴らしい日本古典芸能に触れる度に絶やさず大切に保存していってほしと思います。



白金台周辺を歩く

2012-09-16 14:04:47 | 画像をすべて表示
 暫くブログを休んでしまいました。出かけることが多く落ち着いてブログをする暇がなく時間は過ぎていくばかり。相変わらず日差しが強く夏日が続きますがそれでも朝夕の爽やかな涼風に秋の訪れを感じほっとする時があります。
一昨日従姉妹の案内で白金台の散策を楽しみました。先ず白金台駅から徒歩5分のところにあるレストラン「OZAWA」でフレンチ料理をいただきました。和の素材を使ったメニューはバターやクリーム控えめのヘルシーなお料理、お味はいずれも繊細で絶妙、とても美味しく、盛り付けもきれいで食欲をそそります。3か月ぶりに会った従姉妹たち4人の話は尽きません。

楽しいお食事会の後はプラチナ通りを歩いて松岡美術館を訪れました。創立者松岡清次郎氏は80歳を契機にこれまで自分のために蒐集してきた美術品を一般公開し「広く愛好者に楽しんでいただこう」と昭和50年(1975年)港区新橋の自社ビル内に松岡美術館を設立しました。その後も蒐集は続き美術館をメインとしたビル建設計画の志半ばにして亡くなりました。遺志を継いだ遺族たちは氏がお気に入りだった白金台の自宅の跡地に平成12年(2000年)新美術館を完成し現在に至っています。
「人はどんなに偉くなっても、いつかは忘れられる。しかし一級の美術品はずっと後世に残る。自分が集めたものを、未来の人々に鑑賞してもらう。これが私の夢です」と松岡氏は語られています。

美術館を入りますと日本庭園に面してゆったりした広い空間が広がり、そのロビーや階段踊り場にペネロープ(ブールデル)や猫の給仕頭(ジャコメッティ)が置かれています。
           
           
           美術館正面玄関     猫の給仕頭(ジャコメッティ)


ぺネロープ(ブールデル)       現代彫刻


一階には現代彫刻や古代オリエント美術、ガンダーラ彫刻、中国仏教彫刻、インド彫刻など常設展示作品が見られます。見応えがあり感動しつつ鑑賞しました。
この美術館は「ゆったりと鑑賞していただきたい」という思いから監視員を置かず、モニターによる監視を行っています。またカメラによる撮影やデッサンを自由にしています。それだけに来館者のマナーが大切になります。私は観るのに夢中になってしまいほとんど撮影するのを忘れてしまいました。

   
色彩木棺        色彩木棺の一部分


2階には古代中国の白磁・青磁の陶器や≪エコールド・パリの画家たち≫と≪フォーヴィスム、キュビスムの画家たち≫のタイトルで、ピカソやシャガール、モジリアーニ、ユトリロ、ルオー、マリーローランサン、藤田嗣治など私たちに馴染みある画家の絵が並びます。いま展示されているのは9月23日までです。

  
ピエール教会(ユトリロ)   マーサー嬢(モジリアーニ)


10月3日(水)~12月19日(水)カラフル・チャイナ/四季の色彩 応挙・雅邦・観山などの描いた日本の四季が展示されます。静かなゆったりとした美術館で気持ちまでゆったりとして心がリフレシュされます。まだ訪れたことがない方にお勧めの美術館です。
近くには東京都庭園美術館(いま休館中)や自然教育園があります。