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お能を鑑賞して

2007-07-29 15:09:34 | Weblog
 神楽坂にある矢来能楽堂で友人ご夫妻が出演するお能を観てきました。演目は平家物語に登場する平安後期の僧侶「俊寛」です。俊寛は藤原成親・成経親子や平康頼とともに平家打倒を企てますが(鹿の谷事件)裏切者によって密告され逮捕されます。1177年成経、康頼、俊寛ら3人は鬼界が島(薩摩半島南方の洋上にある硫黄島)に流されます。翌年中宮平徳子(後の建礼門院)の安産祈願により恩赦によって成経、康頼の2人は赦免されます。しかし俊寛だけは許されませんでした。理由は清盛の口添えで出世したにもかかわらず鹿の谷山荘(京都東山)を密議の場所として提供した俊寛を清盛が大変憎んだからだといわれています。

 俊寛は絶望の淵に沈みます。赦免の使いが島にやってきて成経、康頼の2人を船にのせ、俊寛は島にとり残されます。出て行く船の纜(ともづな)にすがりつき、さらには船端にすがりつきますが振り払われ、船は無情にも波間に遠ざかり消えていきます。一人浜辺に取り残された俊寛は、子供がするように足摺(倒れこんで両足を交互に地面にこすりつける動作)をして大声で泣き叫びます。

鬼界が島にひとり取り残されることになった俊寛の絶望的な失意の嘆きを、哀愁こめて謡う声の音色と響きに涙が流れました。お仕舞い、独吟、連吟と感動的な場面が続き本当に良いときを過ごすことが出来て幸せでした。
14世紀後半、観阿弥、世阿弥親子によって大成された能楽が今日まで継承されてきたのは素晴らしいことです。今後も絶えることなく世界に誇れる日本古典文化が大事に継承されていくことを願わずにはいられません。



江戸・東京たてもの園へ

2007-07-20 19:20:55 | Weblog
 広大な小金井公園の敷地内にある江戸・東京たてもの園を訪れました。1993年両国にある江戸・東京博物館の分館として、現地保存が難しくなった文化的、歴史的に価値がある建物がここに移築され、復元、展示されました。地域的には下町から山の手、多摩地区にわたり、時代的には江戸時代から昭和初期にかけて各時代を代表する建物が集められました。散策をしながらそれらの一部を見てきました。高橋是清邸は港区赤坂にあった邸、庭園の一部を復元しています。高橋是清は明治から昭和初期にかけて政治の重臣にありました。2階は書斎や寝室として使われていましたが、寝室は1936年(昭和11年)2.26事件の現場となった歴史的な部屋です。寝室、書斎の二間続きの廊下のガラス戸に昭和初期の和風住宅の特徴が見られます。 写真はクリックしますと大きく見られます。

  高橋是清邸正面玄関   廊下とガラス戸    全景(パンフレットより)

下町中通り商店の建物が展示されています。昔の商家、居酒屋、銭湯など下町の風情を感じます。丸二商店(荒物屋)千代田区神田神保町にあった昭和初期に建てられた荒物屋です。小さい銅板片を巧みに組み合わせて模様をかたち作り、建物の正面を飾っているのが特徴です。堂々とした建物ですね(写真左)。
鍵屋(居酒屋)台東区下谷の言問通りにあった居酒屋で1856年(安政3年)に建てられたと伝えられています。震災、戦災もまぬがれたそうです。建物と店内は1970年(昭和45年)の姿に復元しています(写真中央)。武居三省堂(文具店)昭和初期に創業した文具店で千代田区神田須田町にありました。建物は震災後に建てられた看板建築で前面がタイル貼りになっていて屋根の形に特徴があります。右隣の建物は昭和初期に建てられた花屋花市生花店です。建物の前面は花屋らしくデザインされています(写真右)。銭湯を代表する子宝湯も復元されています。宮崎駿のアニメ「千と千尋の神隠し」に出てくる湯屋「油屋」のモデルになった銭湯です(写真なし)。

 
山の手通りにも様々な建築様式の住宅を展示、復元しています。小出邸文京区西片町に1925年(大正14年)に建てられた住宅で、当時ヨーロッパで流行していたデザインと、日本の伝統的な造形を折衷した造りです。前川國男邸日本の近代建築の発展に貢献した建築家の自邸で品川区上大崎に1942年(昭和17年)に建てられた住宅です。外観は切妻屋根の和風、内部は吹き抜けの居間を中心に書斎、寝室とシンプルな間取りです。田園調布の家(大川邸)1925年(大正14年)郊外住宅の一つである大田区田園調布に建てられた住宅です。当時としては珍しい洋館でさぞや人目をひいたことでしょう。

和洋折衷の小出邸     前川国男邸    田園調布の家(大川邸)

27棟もある建物を見て歩くには一日がかりです。緑溢れる公園ですから家族ずれでお弁当をもってピクニック気分で訪れてみてはいかがでしょうか。


うれしい便り

2007-07-09 16:34:24 | Weblog
 絵手紙3通と切り抜きを貼り付けた面白いお便りが3通届きました。その切り抜きとは新聞に入ってくるチラシや広告の中から写真や絵などを切り抜き、それらをアレンジして、ひとつのテーマを決めて貼り付けていき、風物詩を作成していくものだそうです。豊かな創造性、独創性でユニークな作品が出来上がります。ここに掲載しました3点にはそれぞれどんなテーマが想像できますか。画像の上でクリックしますと大きく見られます。

   

次は絵手紙3通です。