その晩はなつかしいマスターのお家へ。
スキーシーズンは栂池高原でお店をやっていたのですが、もう息子さん夫婦に任せて、でも、まだ御隠居でもない。塗装やさんをやっています。(雪国には塗装業が不可欠みたい。長野オリンピックのジャンプ台はオレんちが塗ったずら、と自慢しています)
白馬で一番おいしいお蕎麦屋さんはまだ営業していませんでした。あと、1週間くらいで、と、残念。次においしいお店に連れて行ってもらいました。
「われはよう飲んだずら」
「そうでしたぁ?でも、今はもうそんなに飲めない」
マスターはお店をやっていていろいろなアルバイトや居候がいたけれど、また会ってみたいと思う5本の指に奈良(おかあさんは、当時、奈良に住んでいたので”奈良”と呼ばれていました。今も電話するときは”もしもし、大阪の奈良です”)は入るんだな、となつかしそうに言ってくれます。
そんなうれしいこと言われて気を良くしたおかあさん。奥さんはお酒を飲めないのでにこにこしながら、なんやかや食べています。マスターは糖尿病でお酒はダメなはずなのに、お店の人にも、もうこの辺でやめといたらと言われるくらい、二人で”ちょっぴり”飲んでしまいました。
翌日、みそら野のペンションからおとうさんがお迎えに来てくれました。奥さんは私たちを田んぼの跡地に挿し木をしていったというブルーベリーの畑に連れて行ってくれました。今年の初収穫ということで、もうできているかな、と。
そういえば、ずっとまえにお邪魔した時、おかあさんはとうもろこし、っててっぺんのふさふさしているところに生る、と思っていると言う話をして、笑われ、じゃ、トウモロコシ畑にと、連れて行ってもらったことがありました。段ボール箱いっぱいのトウモロコシのおいしかったこと。
ブルーベリーも木になっているのを摘むのは初めてです。お孫ちゃんや、他の親戚の人の分もあるし、と少しは遠慮しながら、でも、けっこう図々しくたくさん収穫してしまいました。奥さんは車で家まで帰る途中、会う人、会う人に「これ、初物~」と惜しげもなくおすそ分けしています。ああ、これが田舎のいいところ。もっとも、奥さんは東京の人ですが、もうすっかり土地の人になっています。