昨日の朝日新聞夕刊に、「凄腕つとめにん 伊達源一さん 船積みの工夫で救った車 651万台」という記事がありました。
仕事のプロとして、その分野で世界的に有名な方を紹介するコーナーです。
日本郵船・自動車プロジェクトグループ特別海技監の伊達源一さんは、自動車を輸出するときに船に積み込み、現地で下ろす自動車運搬のプロです。
1977年に、オーストラリアのシドニーに、車を満載した自動車専用運搬船に乗って着きます。
「ギャング」と呼ばれる荷役会社の運転手が、手当たり次第に、商品の新車に乗り込み、好き勝手な経路で船外へ動かしました。
開けたドアが隣の車に「ガツン」、バックして柱にぶつけても、苦笑いでおしまいでした。
「こりゃあ傷だらけになるはずだ・・・」
日本車の輸出台数が右肩上がりの一方で、輸送中の傷も増え、メーカーから苦情が続出していました。
会社からは「解決するまで戻るな」と送り出されました。
船を追いかけて8つの港を回り、車の傷を一つずつ分析すると、多くは下ろす際のものだと分かりました。
「カギは車の並べ方だ」
車の100分の1サイズの紙を、船の図面に貼り付けながら、規則正しく下ろすことができる車の並べ方を考えました。
当時は、積荷室の奥から、順に前進(出すときはバックになる)で並べていました。
「右ハンドル車なら、車が出入りするスロープを中心に、壁に沿って右回りに並べてみるか」
バックで止めれば、下ろすときは前進でき、接触事故が減るはずとも考えました。
車同士の間隔は、運搬中の接触事故防止のため30cmあったのを、端の車からしか乗り込めないよう10cmにしました。
積み込みの運転手からは「作業時間が倍になる」と苦情が出ました。
「傷だらけの車を送り続ければ信頼を失い、仕事も減る。日本の輸出を支えているのは、あなた方だ」と訴えました。
新方式で、傷付く車の割合が、2ヵ月間で17%から6%に減りました。
100台を積む「積み付け時間」も、元の1時間になりました。
運転手が時間外に訓練を繰り返して習熟したと知り、胸が熱くなりました。
右ハンドル車は「クロックワイズ(右回り)」、左ハンドル車は「カウンタークロックワイズ(左回り)」の積み方は、世界標準となり、海外の会社やライバルの開運会社、自動車メーカーにも指導に行きました。
日本郵船で運んだ分だけでも、32年間で651万台を、ダメージから救った計算になります。
ダメージ率は、今は0.001%となりました。
車を積みこむ際は、約30人の「ギャング」が、8時間で1500台を積みこみます。
時間との闘いなので、車はかなりのスピードです。
ギャングは、バックで、左右10cm、前後30cm間隔に素早く止めていきます。
サイドミラーは閉じたままで、頼りは笛の号令と勘のみだそうです。
下ろす際に、体の大きな外国人ギャングが乗り込みやすいよう、運転席はいっぱいまで下げ、鍵は取りだしやすいように灰皿に置きます。
「彼らは本当のプロ」と伊達さんはおっしゃるとのことです。
-------------
自動車のCMで、船への積み込みの様子がありました。
魔法のように、高スピードで車をすれすれに並べていて、印象的でした。
積み方を図で説明されていました。
出口に向かって、順に前進で出られるよう、自動車の列が順番待ちをしている状態をあらかじめ作ってあり、理にかなっていると思いました。
仕事のプロとして、その分野で世界的に有名な方を紹介するコーナーです。
日本郵船・自動車プロジェクトグループ特別海技監の伊達源一さんは、自動車を輸出するときに船に積み込み、現地で下ろす自動車運搬のプロです。
1977年に、オーストラリアのシドニーに、車を満載した自動車専用運搬船に乗って着きます。
「ギャング」と呼ばれる荷役会社の運転手が、手当たり次第に、商品の新車に乗り込み、好き勝手な経路で船外へ動かしました。
開けたドアが隣の車に「ガツン」、バックして柱にぶつけても、苦笑いでおしまいでした。
「こりゃあ傷だらけになるはずだ・・・」
日本車の輸出台数が右肩上がりの一方で、輸送中の傷も増え、メーカーから苦情が続出していました。
会社からは「解決するまで戻るな」と送り出されました。
船を追いかけて8つの港を回り、車の傷を一つずつ分析すると、多くは下ろす際のものだと分かりました。
「カギは車の並べ方だ」
車の100分の1サイズの紙を、船の図面に貼り付けながら、規則正しく下ろすことができる車の並べ方を考えました。
当時は、積荷室の奥から、順に前進(出すときはバックになる)で並べていました。
「右ハンドル車なら、車が出入りするスロープを中心に、壁に沿って右回りに並べてみるか」
バックで止めれば、下ろすときは前進でき、接触事故が減るはずとも考えました。
車同士の間隔は、運搬中の接触事故防止のため30cmあったのを、端の車からしか乗り込めないよう10cmにしました。
積み込みの運転手からは「作業時間が倍になる」と苦情が出ました。
「傷だらけの車を送り続ければ信頼を失い、仕事も減る。日本の輸出を支えているのは、あなた方だ」と訴えました。
新方式で、傷付く車の割合が、2ヵ月間で17%から6%に減りました。
100台を積む「積み付け時間」も、元の1時間になりました。
運転手が時間外に訓練を繰り返して習熟したと知り、胸が熱くなりました。
右ハンドル車は「クロックワイズ(右回り)」、左ハンドル車は「カウンタークロックワイズ(左回り)」の積み方は、世界標準となり、海外の会社やライバルの開運会社、自動車メーカーにも指導に行きました。
日本郵船で運んだ分だけでも、32年間で651万台を、ダメージから救った計算になります。
ダメージ率は、今は0.001%となりました。
車を積みこむ際は、約30人の「ギャング」が、8時間で1500台を積みこみます。
時間との闘いなので、車はかなりのスピードです。
ギャングは、バックで、左右10cm、前後30cm間隔に素早く止めていきます。
サイドミラーは閉じたままで、頼りは笛の号令と勘のみだそうです。
下ろす際に、体の大きな外国人ギャングが乗り込みやすいよう、運転席はいっぱいまで下げ、鍵は取りだしやすいように灰皿に置きます。
「彼らは本当のプロ」と伊達さんはおっしゃるとのことです。
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自動車のCMで、船への積み込みの様子がありました。
魔法のように、高スピードで車をすれすれに並べていて、印象的でした。
積み方を図で説明されていました。
出口に向かって、順に前進で出られるよう、自動車の列が順番待ちをしている状態をあらかじめ作ってあり、理にかなっていると思いました。
活かされているのかも知れませんね。
お話を伺っていると、このシステムを作り上げた人も
それをマスターした人も、共にすごいプロ。
かっこいいです!
記事を読んで、私も「格好いい」と思いました。
その道のプロって、尊敬しますね。
ふだん報道されないけれど、いろいろな分野で活躍していらっしゃるのでしょうね。