今邑彩 著
かくれんぼ、だるまさんがころんだ。
こんな遊びには必ず夕暮れの橙色がつきまとう気がする。
長い夏の日、むっとする熱気が立ち込め、セミの声がまだうるさいほどに響く頃。
秋のはじめ、はっとするほど冷ややかな風に、もの悲しさを覚えるひととき。
あっという間に橙が闇に浸食され、気が急くばかりの冬。
桃色がかった橙に包まれ、輪郭があいまいになっていく春の宵。
その中にひっそりと姿を隠している、鬼。
人の心から生まれ、夕暮れの中で育ち、やがて闇を支配する。
どこにでもありそうな恐怖と幻想に、すっかりとりこにされていた。
短編なのでさらりと読めるが、8編がそれぞれに特徴的で面白い。
罪深いテーマを取り上げたものもあるが、いやらしさや拒否感よりも
なぜそうなってしまったかに想いは傾く。
じんわり怖く、静かに心に残るそんな一冊だ。
かくれんぼ、だるまさんがころんだ。
こんな遊びには必ず夕暮れの橙色がつきまとう気がする。
長い夏の日、むっとする熱気が立ち込め、セミの声がまだうるさいほどに響く頃。
秋のはじめ、はっとするほど冷ややかな風に、もの悲しさを覚えるひととき。
あっという間に橙が闇に浸食され、気が急くばかりの冬。
桃色がかった橙に包まれ、輪郭があいまいになっていく春の宵。
その中にひっそりと姿を隠している、鬼。
人の心から生まれ、夕暮れの中で育ち、やがて闇を支配する。
どこにでもありそうな恐怖と幻想に、すっかりとりこにされていた。
短編なのでさらりと読めるが、8編がそれぞれに特徴的で面白い。
罪深いテーマを取り上げたものもあるが、いやらしさや拒否感よりも
なぜそうなってしまったかに想いは傾く。
じんわり怖く、静かに心に残るそんな一冊だ。