孫のわたるを二晩預かることになった。
夜、部屋のなかを闊歩しながら、ジジの机にやってきた。
手に触ってきた。
「ジジの手、冷たい!」と感嘆符。
今、2歳半。
たしかに、ここ数年、夏でも手足は冷えている。
いまの心臓の力では、末端まで血流が行き渡らないらしい。
わたるは、ただ感じたままをコトバにしただけんだよね。
翌朝、わたる、オシメ姿で現れる。
寝起き。「おはよう」と声かけても、どこか放心している。
わたる、ジジのそばの椅子に座って、テレビを見たり、
絵本を開いたり。
まだ、半分夢のなか、だんだん血のめぐりがもどりつつあるのか。
ババがズボンを履くように声かけても、「いや」と顔を横にふる。
今朝は梅雨曇。
シンとした朝。なんともいえない、言葉がないひととき。
二日目の朝。
わたるは、先に起きている。
やっと起きた布団の上で胡坐をかいて放心していた。
わたるは、ぼくをじっと見ていて、そのうちぼくの膝に座りに来た。
そのうち、また何処かに行ってしまった。
わたるに声をかけるわけではない。
ジジのペースで寝起きの儀式。
わたるがやってくるのを拒むわけでもない。
ジジがしてほしくないときは、そのように言う。
寝室でパソコンを見ていたら、わたるがやってきて、ぼくの椅子の
端に割り込んできた。
きついので、膝の上に抱っこしてやった。
動画を見ていたんだけど、最後まで、いっしょに見た。
http://www.dailymotion.com/video/x4h49ep
見終わった。ババの居るほうへいったらしい。
わたるは、わたるのペースでやっている。
ジジはジジのペースでやっている。
拒むものはない。
コトバのない、何気ない豊かな時間。