かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

「コトバは分からなくても・・・」ーーサンマウル高生交流の記

2013-02-07 16:31:38 | アズワンコミュニテイ暮らし

 コトバが分かったほうが、気持ちが通じやすいのかもしれない。

 かといって、コトバが分からなくては、気持ちが通じないという

わけのものでもないかも。

 

 韓国江華島にあるフリースクール・サンマウル高からアズワン・

コミュニティに交流にきていた4名が、6日の昼前、伊与田宅を

出発し、家路についた。

 

 出発前に通訳の人に来てもらって、ミーティング。

 スミンくん「帰りたくない」と第一声。このコトバの奥にどんな

気持ちがあるのだろう?

 イソリさん「わが家にいるようだった。津の港から帰るけど、

気がついたらここに戻っているかも・・」

 

 一週間、暮らしを見てきた伊与田節子さん。

 「コトバは分からないとこ、いっぱいあったけど、不自由なく

楽にやれた。気持ちを大事にやれたかな」

 

 女の子たち、昨夜は、日本の友だち小百合さんと明け方3時ごろ

までおしゃべりしていたとか。

 ヒジンさんが「ちょっと」と言って席をたった。

 みゆきさんが「体調わるいの?」とみんなに聞く。

 ヒジュさんが「彼女、今朝まだ歯を磨いたり、髪の手入れして

ないの。それをやりにいったのよ。ゆっくりなの。だいじょうぶ」

 サンマウル高の寮生活で、お互いがよく分かっているようだ。

 ヒジンさんも、ここでの立ち居振る舞い、わが家のように・・・

 

 ヒジンさん、お手入れタイムから戻って。

 「いつも、わたしって、ゆっくり目なの。アズワンで暮らしてみて、

ゆっくりでいいのよ、って受け入れてもらった感じがした。それが

よかった」

 

 実は、前日の夜、伊与田宅で送り出しの会があった。

 そのお知らせをコミュニティ通貨”リンカ”のメーリングリストに

載せた。

 直接かかわっていない人も含めて、大勢の人が集まった。

 この会の進行役の福田博也くんもびっくり。

 今回のサンマウル高の交流は、コミュニティにかかわる一人

ひとりが迎え入れる気持ちになって、受け入れができたという

感慨があった。

 

 ヒジンさん「じぶんは、韓国でずっと、みんなが受験を目指して

いるなかで、フリースクールのような別の生き方をしてきた。でも、

アズワンに触れて、間違っていなかったと思えたことが大きい」

 ヒジュさん「交流のなかで、アズワンではこうしているけど、

わたしは何をしていくのか、ふりかえることができた」

 

 この感想を聞いて。

 中井さん「みんなの目の輝きに触れて、元気がでた」

 月岡さん「高校生のみんなが、コミュニティに触れて、じぶんを

振り返るキッカケになったと聞いて、すごいいなあとおもった」


 サンマウル高生たちがコーラスを披露してくれた。

 「ゆっくり 行こう」という歌。


  (動画でも見れます)

http://www.youtube.com/watch?v=dxLe89Nunbs&feature=player_embedded

 

 そのあと、ふだん控えめそうに見える博也くんが、「あの、ぼくも

1曲」と言って、部屋の外に出た。戻ってきたら、なんとサングラスを

かけて、ギターを抱えて登場した。

 やああ、わああと、このハプニングで会場が湧いた。

 博也くんは、長渕の「乾杯」を最後まで、歌いきった。

 かれは、この1週間で、何かが大きく変わったと感じた。

 

 伊与田さんは、「いっしょに歌いましょう」と誘われた。

 いい顔して、歌っていたなあ。


 送り出し会では、いろいろな持寄りや贈り物。

 吉田順一さんは、晩白柚。

 本山勇二さんは、奈良観光に行ったときの写真のアルバム。

 岩田さんは、SCSアートタイムで仕上げた、ひょうたんの作品。

 ヒジンさんは、まだ完成していない。韓国で仕上げるといっていた。

 それに、岩田さんが、一人ひとりの似顔絵。

 それぞれ、もらって、歓声をあげた。

 

 「さあ、お開きにしましょう」と立ち上がった。

 誰かから、ヒジンさんがカフェサンスーシーのママ、大島美映さんに

送った手紙を読みたいと声があがり、小百合さんが読んでくれた。

 気持ちのこもった手紙だった。美映さんもこみ上げてくるもの

止められず、涙している人もいた。

 

 出発前のミーティング。

 節子さん「きのう、なんで”ゆっくりいこう”という歌を歌おうと

おもったの?」

 みんな「1年のとき、日本からきた学生と交流したとき、知った。

歌詞がいいなあとおもった。日本語でも、韓国語でも歌えるので」


 「ゆっくり行こう」は、あとでかんがえてみると、今回交流に

来た4名にとって、切実なものだったかもしれない。

 ミーティングのなかで、ヒジュさんやヒジンさんの夢の話に

なった。

 イソリさんも同じだけど、3人は2月にサンマウル高を

卒業しても、大学とかは行かない。

 イソリさんは、ワーキングホリディのビザを日本に申請している。

 

 ヒジュさんとヒジンさんは、「若い人が、お金がなくても、子どもの

ころ無心に学んだり、遊んだりしたように、自由に活動できる空間

をつくりたい」と、それこそ手振り豊かに、目を輝かせて語ってくれ

た。


 そのあと、スミンくんも入って、韓国の子どもたちが幼いときから

受験、受験で、朝から深夜まで勉強するような雰囲気の実例が

つぎつぎに出された。

 昨年の1月、アズワン交流に来たジュノくんも話題になった。

 いっとき、落ち込んで家出までしたそうだ。友だちはじめ、みんな

で探し出した。

 両親も「居てくれるだけでいいよ」とジュノくんを受け止めてくれて、

いまは落ち着いて、やっと大学の勉強をしているとか・・・


 4名の若者は、じぶんのことだけでなく、自分たちがおかれた

環境・社会に、熱い関心をもっている。

 それは、頭でかんがえたことというより、日々身に滲みて感じて

いるなから、出てきていると受け止めた。

 

 今回の交流では、アズワンにかかわるいろいろな人と接したに

ちがいない。

 かれらが、そのなかで何を感じたか?

 コトバで言ったことは、時が経てば、記憶の底にしまわれていく

のだろう。

 こころで感じたものは、これから一人ひとりのなかで、どんな現れ

になっていくのだろう?

 いっしょに、ゆっくり、いきたいなあ・・・