調査士会では、毎年会員の皆様に「取扱事件年計報告」を提出していただくことになっています。これは、会則に定められた「義務」なのですが、この「義務」についての取り扱いは、これまで必ずしも十分であったとは言えません。
それは、二つの方向で言えます。一つは、何年も続けて提出しない会員が放置されてきたことがあった、という「会員サイドの問題」で、もう一つは、提出を受けた会の側が、これを有効に利用してこなかった、という「執行部サイドの問題」です。
今年は、その反省を踏まえて、昨年未提出者に対する「指導調査」を実施したことをも受けて、当たり前のことながら「全員提出」を実現したことの上で、今後提出された「年計報告」を有効に利用することを考えていきたいと思っています。
さしあたり、「平成23年分取扱事件年計報告」の集計表を、大分会のホームページの会員専用ページに掲載しました。会員の皆さんは是非見てみてください。私たちの業務の状況がどのようなものとしてあるのか、という「現実」こそが、私たちが調査士と調査士会の今後の方向性を考えて行く際の基礎になければならないのだと思います。
年計表については、以前に「事件数」のことについて少し書きました。法務局が公表している登記事件数との関係において、建物表題登記については、「法務局件数」と「調査士会年計件数」がほぼ一致すること、土地分筆登記については大きく食い違うことが見て取れる、ということです。これについては、今後その実態を研究するとともに、調査士としての業務展開のあり方を考えさせられるものだと思います。
今回は、「金額」について、です。年計報告においては、金額の報告までが義務的に必要なわけではありませんが、多くの方から報告をいただいています。その数は、全体の70%ほどにあたりますので、おそらくは統計上の意味のある数字、ということになるのだと思います。
それによると、分筆登記1件あたりの平均金額は「29万円」、建物表題登記1件あたりの平均金額は「82000円」となっています。もちろん、「分筆登記」と言っても、筆界資料が揃った土地を単純にに分割するものから、複雑に入り組んだものまでさまざまなものがあるのであって、このような「単純平均」が、具体的なケースにとっての指標になりうるのか、という問題もあろうかとは思いますが、サンプル数がある程度のものになればそれなりに「平均像」をみることができるものになるのだと思います。このようなことは、会として、「調査士報酬の実態」として国民に明らかにしていくべきことなのではないか、と思えますので、今後検討の上実施していきたいと思っています。
報酬に関する情報公開としては、日調連では、2年に1度「報酬実態調査」を行っていて、その結果を公表しています(日調連のホームページで「日調連の概要」―「情報公開」-「業務報酬登記資料」で)。これはこれで膨大な手間ヒマをかけて行っているものであり、意義のあるものですので、活用すべきものであるとは思いますが、その回答率はあまり高いとは言えず、アンケート形式の調査方法についても「厳密さを追求しているけれどさほど厳密でない」ものになってしまっているような感を受けます。もっとすっきりと、「実態」を示すものをそのまま示してしまった方が国民にとって有意義な情報になるのではないか、いう気がします・・・・が、いずれにしろ、今後大分会としての公開方法等を検討していきたいと思っています。